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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛25
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マキの…本名!?
あまりの衝撃に、不覚にも顔に出た。
そんな俺を見て、茉爲宮清史郎は意味深に目を細める。
追い打ちをかけるように、彼は戸籍を取り出し提示してきた。
茉爲宮清史郎の養子に優絆と書かれていた。
それだけではなく、優絆がマキである証拠として、幼少期の写真数点を出してきた。
それは、紛れもなくマキだった。
人形のように綺麗な顔、そしてあのジュピター色の瞳。
彼のたった一言で、俺の心の体制は完全に崩れた。
清史郎「優絆は、4年ほど前に突然家出してしまいまして、ずっと探していました。初めは、母親を探してるのかと思ってました」
百目鬼「母親!?マキの母親は死んだんじゃ…」
清史郎「〝優絆〟の母親は生きています」
完全なカウンターだった。
朱雀や瀧本の線を疑っていた、だから、奏一か俺を探ってると思っていたが、探偵の依頼主は茉爲宮清史郎で、ターゲットはマキ。
マキが家出してるのは聞いていた。だが、名前が偽名だなんて…、半年も付き合ってて名前を知らないなんて有りかよ!しかも母親が生きてるだと?!あの嘘つき野郎!!
荒れ狂う怒りを抱えながら、北海道での出来事を思い出す。あの時、全てじゃなくても、殆ど話してもらったと思ってた。確かにまだなんか隠してそうというか、だいぶ綺麗に纏まった話を聞いた印象があったが。何かあるとは思ったが、全て嘘か?
しかも、名前を隠されてたとは…。マキは、育ててくれた人達を良くしてくれたと言ったが、なら、どうしてこんなにマキの性格に闇があるのか引っかかってた。
それに、ずっと気になってたことがある。荷解きが半分な事だ。だが、ずっとそんな気がしてた。引っ越した部屋に物がないのは、マキが、いつでも消えれるようにするためだったんじゃないかと…、何もかも捨てて消えれるようにしてたんじゃないかと…。
俺との関係も簡単に捨てて消えるんだと…
マキに対して、ずっと、信じきれないものがあった。蝶々のように妖艶にヒラヒラと飛び回る。どこか掴み所のないマキが、俺を好きだと言いながら、素直にもなれず、隠し事を抱えてた。
俺は、恋人の事は全て知りたいと言った。だが、〝人の心を全て知る事はできない〟と修二に言われ、我慢した。マキが言ってくれるようになるまで、待とうと…、俺の事を好きだと言うマキを信じれば、きっと前進していけると…、期待していた…。
マキは、セラピストを目指してる、性癖から苦しい片思いをしてる奴らの気持ちを救うバイトをしていた。
俺も、最初はそのターゲットだった。
最初だけだと思っていたが…、今もそうなんじゃないだろうか?俺が立ち直ったら、俺に別の人間をあてがって、消えるつもりなんじゃないだろうか?
名前一つで、半年もの間築き上げた関係が脆くも崩れた音がする…
清史郎「先日、友人の結婚式場で偶然、優絆と再会しました。だけど優絆は今は話しが出来ないと、後日会う約束をしました。だが、私としては、また、優絆が消えてしまうんじゃないかと不安で。こちらの探偵事務所様に優絆の身辺調査を依頼しました。ですので、貴方様に不快な思いをさせた事は、心よりお詫び申し上げます。優絆の事が心配だっただけなので、どうか穏便に済ませて頂けませんか?」
申し訳なさそうに、そして物腰の柔らかい茉爲宮清史郎は、確かに、とても良い人に見えた。
マキの何を信じれば良いのか分からない。
マキの言った事が真実じゃない可能性さえ感じる。
清史郎「私は、優絆に帰ってきてほしいだけなんです。優絆が何故家出してしまったのか、ずっと分からず、優絆が帰ってきてくれるならどんな事も叶えるつもりです」
打ち拉がれる中。
僅かに、違和感を感じた。
マキの何を信じたら良いか分からなくなりながら、その違和感が気になった。マキの言葉が真実だとしたら、清史郎の一言に、見逃せない言葉がある。
百目鬼「…事情は分かりました。悪いんですが茉爲宮さん、貴方と2人で話しをしたいんですが…」
俺はこんな風貌だから仕方ないが、探偵事務所の所長が慌てて「それは…」とか言葉を濁してきた。俺が茉爲宮清史郎をとって食うとでも思ったんだろう。
だから俺は言ってやった。
百目鬼「茉爲宮清史郎さん、俺は、マキから、あんたの事は聞いてる。あんたとマキがどんな間柄だったのかもな」
清史郎「…分かりました。2人っきりでお話ししましょう」
清史郎は、慌てる事もなく、静かにそう言うと、所長に席を外してもらい、個室に俺と2人っきりに。
清史郎「話しとは?」
百目鬼「マキを連れ戻してどうするつもりだ」
清史郎「〝優絆〟は私の家族です。一緒に暮らします」
百目鬼「マキがどうして家出したかも分からないのに、連れ戻せる訳ないだろ」
清史郎「〝優絆〟は、正確には家出ではありません。百目鬼さんは、優絆の出生をご存知ですか?」
百目鬼「回りくどい話しは要らないよ。知ってる。あんたの兄弟がマキの母親と不倫して出来た子供だ。あんたの事も聞いてる。マキの母親が好きだったんだろ、そんでマキを代わりにしてたんだろ?マキは自分から望んでそうしたと言ってたが、10才かそこらの子供に手を出した時点で、責任はあんたにある」
俺の言葉に、驚いたように眉を上げた茉爲宮清史郎は、次の瞬間、明らかな敵意俺に向けた。
清史郎「貴方、優絆の何なんです?」
百目鬼「…本性が出てるぜ。あんた、マキを連れ帰って、またマキを母親の代わりにするつもりなんだろう、あんたのやってる事は児童虐待だ、通報すれば捕まる」
清史郎「待ってくれ!誤解だ!」
百目鬼「何が誤解だ!マキを母親の代わりにして、精通もない幼い子に如何わしい事教えて、挙句、マキと関係しながら女と結婚しといて。それで、家出した理由が分からないだと?」
俺の言葉に茉爲宮清史郎の顔色が変わった。どうやら、本当に分かってないらしい。
清史郎「待ってくれ!優絆が話したのか?本当に全部?」
百目鬼「全部知ってる。マキはあんたを悪く言わないが、未成年への性行為は犯罪だ、それに今あんたが探偵使ってやってるのは、いくら家出人捜索でも、ストーカー行為と同じだろ。本気で探してるなら、警察に捜索願は出したのか?」
清史郎「ッ…、捜索願は出してない、出せないんだ…。聞いてください!確かに私のした事は犯罪かもしれない、だけど、私は優絆を愛しているんだ!」
茉爲宮清史郎は、マキをいかに本気で愛しているか語り出した。だが、どんなに愛していようと、10才の子供に手を出した。マキが言い出したかもしれたいが性行為に及んだ。それがマキと茉爲宮清史郎の同意だとしても、マキが誘ったことでも、茉爲宮清史郎は、マキの母親の面影を重ねて行為に及び、マキを傷つけ続け、さらには、マキと関係していながら、女性と結婚しようとした。100歩譲って、同意だからしょうがないとしても、今はマキが逃げているのだから、無理やり追い回すのはストーカー行為に等しい。
そう突きつけると、茉爲宮清史郎は、そこまで聞いているなら、と、マキの生い立ちから育った環境を話し出した。
その内容は、驚くべきもので、マキの言った〝良くしてもらった〟という言葉に疑問を感じるものだった。
マキは、出生後すぐに父親の手に渡り、その後世間体のため、叔父にあたる茉爲宮清史郎が養子にしたそうだ、しかし、清史郎は独身で、仕事があるので、マキは殆どベビーシッターに育てられた。マキの父親は、時々マキを〝おじさん〟として会いに来ていたらしく。父親の正妻はマキを邪険には扱ってはいなかったが、毎日顔を合わせては、厳しく躾をしたそうだ。マキと清史郎は、マキの父親と同じ敷地内の別の家に住んでおり、行き来していたそうだ。
だが、基本、マキはシッターと2人で家に居て、小学生に上がった時からは夕飯を1人で食べて、夜も1人で眠っていたという。
そして驚くことに、マキには腹違いの兄弟がいた。3つ年上の兄で、殆ど話した事はなく、皆んなで集まる時に顔を見る程度の兄だと言う。
そうして静かに生活していたが、ある日、その兄が、些細な喧嘩からマキに、お前は愛人の子供だ、とマキに言ったそうだ。マキに真実を問われた清史郎は、マキに真実を打ち明けた。マキは、全てを静かに受けとめたそうだ。今のマキからも、その時の様子が想像できる。
そんな生い立ちなのに、マキは、明るく成績優秀で美人に育った。だが、小学四年生の時、変質者に襲われる未遂事件があり、茉爲宮清史郎は、自分の天使が汚される恐怖を覚えたという。だから、身体検査としてマキの体に触れてしまったと。
1度触れて仕舞えば、もう後戻りはできず。行為はエスカレート、マキが告白してきたのをきっかけに、体の関係を持ってしまった。
そして、1度関係を持つと、時間がある時は全てベッドで過ごしたと言う。
そうして中学生になっても体の関係を続けた清史郎の元に、見合いの話しが来る。政略結婚の意味もあった見合い。だが、清史郎は丁度いいと思ったそうだ、これで結婚すればマキに母親の温かみを与えられると。
しかし、見合いは、マキと引き離すための罠だった。マキの父親の正妻が、2人の関係に気づき、見合いをセッティング、そしてマキには、「清史郎さんの幸せを考えるなら、出て行け」と、お金を渡し、マキは追い出された。
マキは、母親の親戚を頼って留学。マキの突然の留学に驚き調べたら、正妻が金を出して厄介払いしたと気づき、直ぐにマキを連れ戻そうとしたが、マキは少し自由にさせて欲しいと言ってきたそうだ。今まで一度も我儘を言ったことがないマキからのお願いに、承諾したら、マキは、留学から1年帰国と同時に姿を消したそうだ。
警察に捜索願いを出そうにも、親戚一同に反対され、清史郎が1人で、探偵なんかを使って調べたりしたが、足取りは掴めず。先日やっと見つけたと言う。
清史郎「私は、優絆が大事なんだ!今度こそ大事にしたいんだ!だからどうか百目鬼さん、優絆に早く私の元に来るよう説得してくれまいか!」
茉爲宮清史郎の言うことが、全部が全部が本当かどうかは分からない。
マキに聞かなければ分からない。
だが、俺はマキの…
茉爲宮優絆の言葉の何を信じたらいい?
俺たちの今までは、いったい何だったんだ。
あいつは、何を考えてるんだ…
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