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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛27
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〝…どうしてッ……話してくれない〟
〝どうして、内側を見せてくれない〟
〝どうしてだッ!!…〟
〝ッどうして……………〟
〝…こんなに……す…き…なのに……〟
〝マキッ……マキ……〟
頭の中が真っ赤に染まり、ただそれだけを繰り返した。
〝なぜ俺に全部よこさない!!〟
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気が付いた時には、マキの意識はなかった。
まるで、死体のように……目の前に横たわってた。
乱暴された体には、無数のキスマークと噛み痕。全裸に剥かれ、ギャグボールを噛まされ、手を上に束ねた状態で拘束されベッドに繋がれたマキは、グッタリとして白濁に汚れていた。
陶器のような色白の体には、真っ赤な痕が散らばり、左肩の噛み跡からは血が滲んでいた。泣いたのだろう頬は濡れていて、髪は乱れてぐちゃぐちゃだった。
ッ……!
自分のしたことに、剣山で心臓を挟み込まれたようにゾッ傷んで、手が震えた。
俺は、ついに…やっちまった…
死体のようなマキの姿に、過去、修二にした仕打ちが重なる。
俺は…、ただ大事にしたいだけなのに、可愛いと思っただけなのに…、…俺の気持ちは…マキを不幸にする……。
こんなに後悔してるのに、泣き乱れたマキの姿に高揚感が湧き上がる。そして同じだけ、引き裂かれるように胸が苦しい。
マキ…すまない…マキ…
修二と約束したのに…笑顔にすると…
水森泉や賢史に警告されても引き止めたのは俺なのに…
檸檬や雪哉にざんざん言われたのに、またこんなこと…、嫌われても別れが来ても仕方がない…
震える手でギャグボールを取り外し、気絶して目の開かないマキを思わず抱きしめた。マキの体からは、酷い目にあったとは思えない、穏やかな心音が聞こえていた。
謝ってもどうにもならない、こんなのDVと同じだ、暴力振るって我に返ったら後悔する、このままでは、本当にマキを殺しかねない……
俺は、ただ…穏やかに、大切な人を笑顔にして愛してやりたいし愛されたいだけなんだ…、ただ、それだけのことなのに、それだけのことなが…出来ない。
全部欲しくて、独占したくて、俺だけのものにしたくて、同じ言葉を並べても足りないくらい…丸ごと手に入らないと気が済まない…。
動かないマキに恐怖を感じながら、泣き跡を見ると、なぜか安心する。泣いて好きだと言うマキに安心してしまう愚かな俺は、マキの涙の跡を拭おうとしても、震える手は躊躇って、悔しさを噛み締めながらマキから離れ、マキをベッドに横たえた。
マキを手放した瞬間、涙が溢れてきた。
俺の心は複雑で矛盾してて訳が分からない、だけど、マキを手放さなければと思ったら、目から溢れ出てしまった。
もっと早くこうするべきだった。
俺が触れなければ傷つくこともない。
俺に好かれなければ泣かされることもない。
大事なら手放すべきなんだ。
修二の時に思い知ったはずなのに、俺じゃない方がいいに決まってる。俺みたいなクズには、マキは合わない。マキの羽根を喰いちぎる。
マキは可愛いから、直ぐに次が現れる。無邪気で人の気持ちを大事にできる優しいマキなら、その寂しさを埋めてくれる誰かが必ず現れる。
俺は、変われると思った……。マキの泣き顔に欲情以外のものを感じた時、マキの見すかす目が、俺を信じてくれるなら…。マキが全てを俺にくれるなら、好きになって大切にできると思った。あの惚れ薬のマキなら、俺は普通に恋愛できると思った。
だが、幻覚は所詮幻覚だ…。薬が作り出した幻だったんだ。
クッ…
『神さん…、あなたに溺れたい』
俺じゃあ、マキの寂しさを埋めてやることは出来ない!!
ドタッとベッドから崩れ落ちて、マキから視線を背けるように、ベッドを背にした。
涙にぼやける視界に見上げた窓。真っ黒な闇に包まれて…。
百目鬼「…ッ………」
俺は、どうしてこんななんだ…。こうやって後悔する俺は俺じゃないのか?
マキ「ど…めき…さん…」
かすれた声が聞こえてきて、思わず罪悪感で肩がピクッと動いた。振り向くことなどできない。もう、マキを見ちゃいけない。
百目鬼「……すまん……。こんなことがしたかったんじゃない…」
マキ「僕こそ…ごめんね…」
謝るな…俺が全部悪いんだ…。
こんなの犯罪だ。
百目鬼「ちゃんと…聞くつもりだった…」
マキ「ごめんね…。僕が悪いんだよ。百目鬼さんは、悪くない…。
あのね…百目鬼さん。名前は…捨てたんだ」
どうしてそこまで自分を投げ捨てる…
マキ「僕の母親のことは、本当に知らない。死んだって聞かされてたから…」
百目鬼「…」
マキ「お金は、借りたの…。最初は確かに、出てって欲しいって、お金出されたけど…、それは、僕が清史郎叔父さんとセックスしてたから。清史郎叔父さんね、結婚決まってた。頼子さんは被害者。愛人の子に文句も言わないで耐えたのに、その愛人の子が旦那の兄弟とセックスしてたんだよ?僕、裸で放り出されてもおかしくなかった…」
掠れた声で笑ってみせるマキの痛々しさに、胸が引き千切られそうで涙が止まらない。
マキ「僕は、中学生で何も出来なくて。清史郎さんは家族だから、離れなきゃいけなかった。清史郎さんのことは好きだったけど、清史郎さんは、僕を好きだったわけじゃない、結婚するなら、離れるべきだと思った。頼子さんは、その手助けをしてくれただけ…」
誰にでも、理由がある。誰にでも、その言葉の下に心がある。マキは誰にでも優しい、俺にだけ特別理解あるわけじゃない、そういう性分なんだ。
誰にでも優しい。幼いマキに手を出した清史郎も、愛人の子供をいびったかもしれない正妻頼子も…、マキに言わせれば〝仕方なかった、本当はいい人なんだ〟ってことになる。俺のことも…
マキは、一生俺のものにはならない…
マキは、誰をも救える優しい心の持ち主だ、誰かの心を救っていける人物になるだろう、だから…いつまでも自分を大事にしない。マキの孤独が埋められなければ、マキの行動を正すことは出来ない…
俺には、そんなことは出来ない…
俺といても、マキは傷つくばかりだ…
自分を犠牲にしてばかりだ…
百目鬼「お前のソレは、一生治らないんだろうな」
マキ「え?」
百目鬼「自分を犠牲にすればいいと思ってる。お前は、きっとこの先も反省なんかしない、誰かにナイフが飛んできたら、また飛び出すんだ」
俺という狂気の前に、何度でも身を捧げるんだろう…
マキ「…そうだね」
百目鬼「俺は、お前のそういうところが、嫌いだ」
マキ「…うん」
百目鬼「お前は、何もわかっちゃいない」
どうして…、自分を幸せにしてやらない、お前が傷つけば、同じだけ傷つく奴らがいる。
マキ「ごめんね」
お前が俺に身を捧げるのは、ナイフの前に飛び出すのと同じだ。
俺は、お前を殺すだろう。修二の時のように、縛って監禁して、お前の全てを手に入れるまで、俺しか見れなくするまで、この手に閉じ込めて誰にも見せたくない。
百目鬼「お前といると、苦しい」
全部手に入れるなんて出来ない。だけど欲しかったんだ、お前の全てが欲しかった。お前は俺が好きだと言うけど、俺に全てはくれない。
全部くれてたら、お前を好きだと言えた…、だけどお前は…くれないばかりか…
百目鬼「お前のことが分からない…」
〝俺を好きだと言うマキ〟ですらなかった。
何者かも分からない…
愛情に飢えた、寂しい子供。
茉爲宮優絆。
マキは、好きだからSEXしたいと言ったけど。俺は、好きだから全部欲しいと言った。お前は我慢してると言ったが、俺だって我慢した。知りたいのも、甘やかしたいのも、泣かせたいのも、独占したいのも…。
お前が全部くれれば…俺も全部やったのに…
マキ「ごめんね…」
俺の欲しいものは…いつも、俺の手の中で壊れてゆく。大事であれば大事であるだけ、優しくしたいと思えば優しくしたいと思った分だけ、どんなに我慢しても、どんなに抑え込んでも、牙を向く。
結果が、これだ…
百目鬼「俺たちは、半年もあったのに、結局、何も進んでなかった…」
マキ「…」
好きになったらこうなると分かってた…
だから…可愛いと思えてればよかった…
だが、可愛すぎた…
好きにさえならなければ……
大事にできると思ったのに……
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