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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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宣言通り、成一さんがやってきた。
それも清史郎さんが仕事でいない時を狙って。
そして弁護士立会いのもと、遺産放棄の書類を書かいた。
こんなに急いで手続きするってことは、実の父親はそんなに具合が悪いのだろうか?
弁護士「以上で遺産放棄の手続き終了です」
弁護士が淡々と書類を仕舞い、これでもう関わることもない。だが、成一は弁護士を部屋から出すと、自分は残って僕に向かってニヤッといやらしく笑う。
成一「清史郎叔父さんをまた拐かしてるのか?俺の親父の金が貰えないからって、清史郎叔父さんをたらし込んで。フッ、お前は母親と同じアバズレだな、体使って誰かに寄生して生きてる害虫だ」
成一は、僕をイビってるつもりなんだろうが、僕にとってはどうでもいい話だ。
うざいから早く帰ってくれないかな?
成一「お前に関わった奴はみんな不幸になる。親父は経営が悪化しストレスで病気になるし。その看病で母さんは体を壊した」
頼子さんが?!
成一「お前を育ててた清史郎叔父さんはお前のせいで人の道から外れてあんな汚らわしいことを毎晩…。お前が消えて、やっと結婚してまともになったと思ったのに」
マキ「…」
成一「俺の家族をメチャメチャにして、みんなを不幸にして。お前なんか生まれてこなきゃよかったんだよ」
耳に入ってくる言葉は、どす黒い重い空気がまとう。だけどそれは、吐き出してる本人も同じ。
成一さん相当ストレス溜まってるんだなぁ
成一「お前が生まれてこなきゃ百目鬼って男も不幸にならなかったろうに…」
ズキン……。
百目鬼さんの名前を聞いただけで泣きそうになる、胸が詰まって息ができない。
僕と出会って百目鬼さんは不幸になったのかもしれない。
彼の大きな背中が項垂れ、涙ながらに言った、『お前と居ると苦しい…』って言葉。苦しめてると知りながら側にいた。僕が我儘を通したばかりに、好きになったばかりに、本当に申し訳ないことをした。
成一「男のお前に好かれて人生狂わされて、気の毒によ」
ブロック出来てた成一さんの言葉が突き刺さる。百目鬼さんとの別れ、まだ何の手当てもできてない生々しい傷口に爪を立てられたような痛みが襲う。
百目鬼さん…ごめんなさい…
成一「だから償えよ。百目鬼ってやつの所でもその体で仕事取ってたんだろ?お前のその体使ってやっから、人生狂わせた父さんのために尽くせよ。枕して契約取ってこいよ。その薄汚ねぇ体使ってよ」
……僕への恨みで相当頭に血が上ってる。
僕のことはなんとでも言えばいい、だけど、百目鬼さんのことを言うなら許さない。
マキ「…ふふッ、よく言うよ。僕と清史郎さんがシてるの何度も覗いてたくせに」
成一「なッ!?」
マキ「僕は女装してシてたから、女の子のSEX覗いてたみたいだったんでしょう?タダでAV鑑賞できて楽しんだんだろ?」
清史郎さんは、僕をマリアにするために、いつも可愛らしい服を着せてた。
下着も女ものを着せ、パンツは決して脱がさなかったから、はたから見たら女の子とSEXしてるように見えたろう。
成一さんは当時丁度中学生で、何度も何度も夜中に覗きに来てオナニーしてた。
マキ「ふふ、〝私に〟興味がある自分が許せなかったんでしょう?本当は私の体に興味津々なんでしょ?」
成一「黙れ!気持ち悪りぃんだよ!そんなわけないだろ!この厄病神!!」
図星を刺され逆上した成一さんは、僕に掴みかかり拳で殴ってきた。成一さんは僕と同じ空手を習っていてそのパンチは強烈。僕は簡単にふっ飛んで倒れこみ口の中に鉄の味が広る。
成一「キモいんだよ!寄生虫!」
成一さんは右足で僕の胸を踏みつけ、全体重を掛けてきた。
マキ「ッ!!」
成一「お前に関わった人間はみんな不幸になった。だから、俺が代わりに成敗してやる。人から奪ったお前の幸せは、俺が必ず全部潰してやる。お前の幸せをぶっ潰せるなら、こんな幸せなことないからな」
そんなことにしか幸せを感じないなんて可哀想な人。そうやって自分の幸せを潰してることにも気づかない。それに
マキ「ッ…ふ、ふふッ…残念、そんな機会…もう来ない…」
もう… 終わってる
僕には…
百目鬼さんと過す以上の幸せはない…
そして、その夢の時間は終わった
僕にはもう…幸せはない
僕と関わる人が不幸になるなら
そんな幸せいらない…
「なにしてるッ!!」
突然怒声が響いた。
次の瞬間、僕を踏みつけてた成一さんが壁まで突き飛ばされ。胸を圧迫していたものが無くなって、一気に酸素が飛び込む。
マキ「うっゴホッゴホッ、ッ、せ、清史郎さん」
そこにいたのは、今は仕事中のはずの清史郎さんだった。
清史郎「成一!今すぐ出て行け!お前のやったことは隠しカメラで全部録画してる!!」
隠しカメラの存在もそうだが、普段穏やかな清史郎さんが怒鳴ったもんだから、成一さんもマズイと思ったのだろう。成一さんは舌打ちして直ぐに居なくなった。
清史郎さんは、床に転がってた僕を起こし、震える手で抱きしめ何度も何度も謝る。
清史郎「遅くなってすまない!本当にすまない!」
マキ「…ありがとう…私は大丈夫、ところで、隠しカメラがあるの?」
清史郎「ッ!誤解しないでくれ!お前の部屋と風呂場には付いてない!私がいない間の防犯のためで、けっしていかがわしい目的じゃないんだ!」
必死に説明する清史郎さん。僕は別に疑ってたわけじゃないんだけどな…。
清史郎「ここも安全じゃなくなった。引っ越そう!」
マキ「ま、まって清史郎さん!大丈夫だよ、きっともう来ないから」
成一さんは、相続放棄して欲しかっただけだろうから。まぁ、ついでに長年の恨み辛みを吐いただけ。
清史郎「ダメだ!お前が心配なんだ!ホテルをとるから次が決まるまでそこにいなさい」
マキ「待って落ち着いて!そんなに引っ張ったら痛い、ねぇ落ち着いて」
僕を無理やり引っ張って安全な場所へ連れてこうとする清史郎さん、気持ちはありがたいけど、そんなに心配しなくても平気なのに、引越しなんて大げさ。
清史郎「優絆イイ子だから、立ちなさい」
その時だった。玄関から新たな怒鳴り声が響いてきた。
「マキッ!!どこだッ!!」
その声は、玄関から凄い足音ともに僕たちに近づいて、部屋へ飛び込んできた。
声の主を見た瞬間、僕はビックリして思わず固まった。だって、彼には、ここに引越したのを教えてない。
そして、飛び込んで来た彼が目にしたのは、無理やり引きずられて顔に痣のある僕。
次の瞬間彼は吠えてた。
むつ「クソ野郎!マキを離せッ!!」
むつは清史郎さんに向かって激怒し拳を振り上げた。
マキ「ダメッ!むつ君誤解だよ!!」
むつの拳は、清史郎さんに当たる寸前に緊急停止!!
ホッとしたのも束の間、むつは、清史郎さんをかばった僕にブチ切れた。
むつ「なにが誤解だ!殴られてんじゃんか!玄関開けっ放しで、土足で上がり込んでて攫われそうだったろ」
今気がついた。清史郎さんは土足だった。って!むつ君も土足だよ!
マキ「違う違う、誤解だから落ち着いて」
いくら僕が笑ってアピールしても、聞く耳持たない興奮状態のむつ君。そしてヤンキーが来たと警察を呼ぼうとする清史郎さん。
チョットチョット!2人とも落ち着いて!!
むつ「落ち着けるか!何だそのやつれた顔!何だその顔色!しかも目ん玉真っ黒じゃんか!!」
しまった!むつ君は笑ってごまかせないんだった。
マキ「ッ…あの♪、だからむつ君聞いて♪」
むつ「うぜー笑い方すんじゃねぇーよ!!なんかあったんだろ!てめぇー落ち込むと引籠るの止めろよ!普段はウゼェーぐらい〝俺の修二〟にべったりの癖に!お前ベタベタ仲良過ぎなんだよ!遠慮しろよ!何だから、落ち込んだ時もくっついてりゃいいだろうが!いちいち引き籠ってウジウジしやがって!イラつくんだよ!何があったか全部言え!!」
修二は凄く愛されてて羨ましい。ところで、僕は修二とくっついてイイの?悪いの?言ってることめちゃくちゃだよ、むつ君!
イヤーん!!修二ぃー助けてぇー!!
マキ「あは♪。だから夏風邪が…」
むつ「夏風邪でそんなやつれるかよ!」
マキ「お腹痛かったんだよ!」
むつ「おいてめぇー!俺なら騙せると思って嘘ついてんじねぇーぞ!!修二呼ぶぞ!!」
マキ「呼べばいいじゃん!修二呼んで何にもなかったら帰ってよ」
むつ「もしかして修二は原因知ってんのか」
もう!何でそこで冴えちゃうのッ!?
むつ「俺にだけ黙ってるってことは原因は百目鬼か!?あの腐れ外道マキを殴ったのか!?もしそうならぶっ飛ばしてやる!百目鬼に電話して問い詰める!」
マキ「違うから!それにむつ君百目鬼さんの番号なんか知らないでしょ」
むつ君フィーバーの威力がすごすぎて目眩がする。
むつ「お前、やっぱバカだろ、俺が何でお前がここにいるって分かったと思う?」
あれ?…そういえば…。
むつ「矢田さぁん!百目鬼の電話番号教えて」
矢田「は、はい」
ぎゃぁーーー!!何で!何で矢田さん!?
最悪な天然がタッグ組んでるよ!!
むつは矢田さんから携帯を見せてもらい百目鬼さんに電話しようとしてる。冗談じゃない!止めてよ!
マキ「待って待って!!分かった!説明する!!説明するから!!」
取り敢えず僕の部屋へ移動し、むつと矢田さんを座らせる。部屋に入りたがった清史郎さんは、廊下に押し出した。
余計なことは言わず。百目鬼さんと別れたことを教え。その原因が瀧本にあり、奏一さんの店に嫌がらせをしていたからやめさせる条件で瀧本の相手をしに着いて行ったら、百目鬼さんが激怒し、別れることになったと説明した。
むつ「はぁッ!?お前1人で瀧本のとこ行ったの?」
マキ「そうそう、一回相手すればもう営業妨害しないっていうから」
むつ「はぁッ?一回相手?」
マキ「そう、もういいでしょ終わったことだから」
むつが納得するとは思ってなかった。だけど納得するかしないかは関係ない、もう終わったことだ。
するとむつは、僕をギロッと睨み、胸ぐら掴んできたかと思ったら、バチンッと乾いた音が響いて、気がついたら、僕は頬を張られてた。
むつ「ざっけんな!!」
部屋が振動するかと思うほどの怒鳴り声。怒りで顔を真っ赤にしたむつが、僕に噛み付かんばかりに睨みつける。
僕はあまりのことに呆気にとられ、何度も瞳を瞬いた。
マキ「…」
むつ「彼氏がいるのに一回相手ってなんだ!!お前は馬鹿か!?」
マキ「その彼氏に迷惑かけてるんだから処理しただけだ」
むつ「はぁあ!!彼氏のために他の奴の相手して、そのせいで別れてたら元も子もないだろ!!つーか百目鬼の野郎ぶん殴る!」
マキ「ちょっ!何で?百目鬼さんは関係ない!」
むつ「関係あんだよ!!てめーは黙ってろ!!」
マキ「ちょっ!むつ君!!待って!」
むつ「離せ!!」
どんなに必死に引き止めても、むつは止まりそうにない、完全なる暴走機関車だ!
マキ「矢田さん!見てないで止めて!!」
矢田「は、はいぃー!」
マキ「清史郎さん!僕の携帯で修二に電話して来てもらって!!」
清史郎「わ、わ、分かった」
僕と百目鬼さんは終わったんだ!
こうなると思ったからむつたちに別れたのを言わなかったのに!痩せたせいで力が入らない!もう!
余計なことしないでよ!
修二!助けて!!
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