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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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翌日、夜の8時を過ぎた頃。
僕とむつと修二と華南は、奏一さんの車でパーティー会場へやってきた。
マキ「ココって…」
そこは、僕のよく知る場所。
菫「いらっしゃ〜い♪」
懐かしい野太い声が僕を迎えてくれる。
そこは、菫ママの経営するお店だった。
ここに来ると分かった瞬間身を硬くしたが、お店は貸切で、お姉様方以外誰もいなかった。
キャサリン「きゃー!!イケメン!!」
マリン「イケメンばっかり!!」
お店のお姉様方は、一番ガタイのいい華南に群がり、華南はお姉様方をスマートに相手してた。修二と奏一さんと僕の周りにも何人か集まったけど、むつがみんなを修二へは近づけさせない。そうだよね、油断すると唇くらいは奪われちゃうかも。あは♪
むつは、華南と修二が彼氏だとお姉様方には言ってある。まぁ、最初は同居してる友達って言ってたんだけど、2人の写真見たお姉様方が修二と華南を狙おうとしてたから、キレて『二人は俺のもんだ!』とか言ったんだよね。まぁ、その時のむつ君がかっこいい事かっこいい事。それ以来、お姉様方に温かい目で見守られてるむつ君カップル。
だから今日もお姉様方のお戯れが始まり、修二と華南は囲まれる。
むつ「おい!俺のだから触んな!」
中にはマゾっ毛のあるお姉様がいて、威嚇するむつに罵倒されたくてわざと修二へちょっかいかける人もいた。
そうしていつも通り賑やかな菫ママの店。僕たちは席に案内され、コの字のソファー席へ、すでに用意された料理の前に座った。
奏一さんの隣に僕、その隣に華南、修二、むつ。むつ君と華南はお姉様方に修二を触らせる気は無いらしい。ふふ♪
むつ君を祝うために、お姉様方は気合の入った化粧とドレス、それに、店のお姉様方ほぼ全員がいるみたい。
むつ君いつの間にお姉様方を虜にしたのやら、そして、みんなむつ君の連れがハイスペックで興奮してる。筋肉好きは華南、美形好きは奏一さんと修二の兄弟に鼻血モノ。ヤンチャ好きとマゾさんはむつ君に絡んでる。
そうこうお戯れがあったが、乾杯のために飲み物を選ぶ。
奏一さんはビールで、僕たちは4人はジュース。帰りは華南が運転して帰るから、飲むんだって、大丈夫かな?奏一さん。
お姉様方もそれぞれ好きな飲み物を手に取り乾杯の準備が整った。
キャサリン「みんなぁー、飲み物行き渡ったかしらぁ?」
キャサリンさんの、いかにもおじさんが頑張って出してる可愛い裏声が店に響くと、こちらもおじさんの酒灼け気味の掠れた裏声が「はーい」と響く。
みんなの元気な返事を受けて、カウンターにいた菫ママが中央に移動した。
大柄な菫ママは、今日も綺麗な着物を着ていて、野太い声でシャンパングラスを掲げる。
菫「では皆様、本日は、私が主催の〝柴田睦美君の門出を祝う会〟にお集まり頂きありがとうございます。若い男性が一人前になろうとするのをお祝いできて私も非常に嬉しく思います。お祝いの席だけど、むつ君とそのお友達とマキちゃんは未成年なのでみんな飲ませないのよ〜」
むつ「お祝いなんだから良いじゃん!」
主役が祝い酒を飲めない事に、むつ君はご立腹。ほらほら、そんな事言ってるから奏一さん睨んでるよ。
しかし、そこは菫ママ。切り返しはピカイチ。
菫「あら、酔い潰されてお持ち帰りされたいならどうぞ」
むつ「修二!!ジュース以外絶対飲むなよ!!」
菫ママまでむつ君で遊び、会場はドッと笑いに包まれる。
笑いが取れたところで、菫ママは真面目な話に戻った。
菫「マキちゃんが最初にむつ君を連れてきた時は、私に面と向かって〝プロレスラーが女装してるぞ〟とかとんでもない暴言吐きやがるから簀巻きにして叩き出してやろうと…」
キャサリン「ママ!地声になってる!」
そうだった。むつ君の天然正直さにはビックリするよね、僕もびっくりしたもん。そのあとお店のお姉様方に〝化け物〟って言ったからね〜、あはは♪。確かに、青ヒゲだったり厚化粧だったり、女装してるけどほぼおじさんの集まり。心は乙女さんなんだけどね。
まぁ、今ではあの正直な所がむつ君の売りなんだけどね。
菫「あらいやだ♪失礼。出会った時はとんだ狂犬でしたけど、仕事は真面目でとても丁寧で、一人一人の凝ってる部分や、話したことをカルテにビッシリ書き溜めてるし。恋人想い出し。むつ君が店に出張マッサージに来てくれてからは私の腰痛もほとんどないし、店の子も、足のむくみが治って心なしか綺麗になるって近所でも評判のマッサージ師になりました」
むつ君は、綺麗って所で思いっきり首を横に振った。
もう、せっかく良い話してるのに。
菫「そしてついに、むつ君が店を構えることになりました。そこで、その門出をみんなでお祝いしたいと思います。柴田睦美くんへ心からの祝福と繁盛を願って、カンパーイ」
「「カンパーイ!!!」」
みんなで乾杯。美味しい料理と美味しい飲み物を飲み、楽しい会が始まった。
久々の菫ママの手料理はとっても美味しくて、むつ君たちはパクパク食べてた。
これでお酒も飲めたら最高なのに…
パーティーは、お姉様方が歌ったり踊ったり、それぞれがむつ君をお祝いしていた。
奏一「むつは、アレで接客できてるのか?」
お姉様方に対するむつの態度に奏一さんが厳しい視線を投げる。
マキ「大丈夫だよ。仕事の時はちゃんと敬語使ってたし、むつ君の正直な所がみんな気に入ってるんだ。それに仕事は丁寧だよ、さっき菫ママが言ってたじゃん」
奏一さんは、眉間のシワを和らげて、そっかならいいんだが、と頷く。
奏一「むつの長所は猪突猛進な所、やると決めたらやる所だったな…」
マキ「うふふ♪奏一さん、なんかむつのお父さんみたい」
奏一「むつが息子だったらもっと厳しく育てるさ」
マキ「あは♪奏一さんがお父さんだったらむつ君良い子に育ったかも」
奏一「まぁ、でももう家族みたいなもんだしな、できの悪いの2人も増えて困るけど…」
奏一さんが笑いながら言ったのを、キョトンと見つめていると、奏一さんは僕を見て
奏一「あっ、ココにももう1人いたな」
そう言ってニッと笑った奏一さんが僕の頭を掴んで笑った。
…。
暫くドンチャン騒ぎが続いていたら、今度は菫ママが立ち上がり、みんな注目した。
菫「むつ君、お祝いに花束を用意したの持ってくるわね」
むつ「サンキュー菫ママ」
むつは、菫ママの心遣いに凄く喜んでるみたいで、今日一番の笑顔で答えた。
菫ママは、ニコニコしながらお店の入り口の方へ向かう。
菫「では、お祝いの花束贈呈♡」
ママはむつ君にウインクで投げキッス。
それに対してむつ君も菫ママに向かって投げキッスを返しす。
菫ママが手にしたのは、店の玄関のドアノブ。そしてお店のドアをガチャッと開けると、そこにはでっかい花束を抱えた人がいた。
華南「花束デカッ!」
って、華南が驚いてたけど、僕もびっくり。
うわ〜、あんなおっきいの見た事ないよ。
花束持ってる人の顔が隠れるほどの大きな花束。きっとお店のみんながお金を出し合ったんだろうと思って口開けて眺めていた。
むつが、花束を貰いに席を立って、菫ママの方へスキップしてた。
菫「では、これから新しいお店で頑張ってね」
むつ「ありがとうございます」
渡された花束は、むつ君が持つとむつ君がすっぽり隠れちゃってた。みんなは拍手しながらクスクス笑ってると、むつ君が振り返って笑った人を睨みつける。
だけど、
僕は笑えなかった。
目の前の現状に驚きすぎて。
それは、花束を渡した人も同じだったみたい。
「は?」
花束を渡した人は、花束を受け取ったのがむつ君だと分かると、周りを見渡し僕を見つけて目を見開く、そして僕を睨んだ。
百目鬼「クソッ、こういう事か…」
むつに花束を渡した百目鬼さんは、どうやら、ここで何をやってたのか分かってなかったみたいで、花束を送る相手も知らなかったんだろう。渡した相手がむつ君だった事も、ココに僕がいる事も知らなかったみたいで、僕と菫ママを睨んだ。
ッ…。
忘れかけてた胸の痛み。百目鬼さんの姿を見ただけで、全身凍りついて固まり、胸の痛みはジクジクと生々しいものへ変わる。
僕の両脇にいる奏一さんと華南、そして修二は、百目鬼さんの登場に全く驚いてなかった…。
そして、入り口の方にいるむつ君は、ドヤ顔で僕を見つめてる。
僕は、はめられたんだ…
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