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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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全員グルだった!!
そう気がついたけど、遅かった。
ドンチャン騒ぎの中、菫ママの店に現れた百目鬼さんは、凄く怒ってて僕をチラッと見たけどそっぽを向いてしまった。
あぁ…、僕はもう大丈夫だと思っていたのに、パラパラと脆くも崩れ去る心の城壁…。
苦しくて愛おしい気持ちは、まるで昨日のことのように鮮明で胸を抉る。
逸らされた視線は振り下ろされた剣のように鋭くて、切り捨てられた事を嫌でも感じる。
ほら、要らないんだ…僕なんて要らないんだ…、分かっていたけど胸がキリキリ痛む。
久々、2ヶ月ぶりの百目鬼さんは、無精髭が生えてて凄く鋭い目つきで機嫌が悪い。キーホルダーを落とした僕と再会した時と同じクマができて随分疲れ切ってるように見えた。
きっとまた、矢田さんが心配するような無茶な働き方をしてるんだ…
どうしてむつはこんなことするんだろう。こうなるって分かってたのに…。
泣きそう…帰りたい…消えてしまいたい…
百目鬼さんは騙された事に気付いたが菫ママに止められますます眉間にしわを寄せる。ニッコリ微笑んだ菫ママは、ニコニコしながら小さく百目鬼さんに囁いた。
菫「神♪、私の開いたパーティーの空気を悪くするほど子供じゃないでしょ?私の世話する可愛い子の門出だ、約束通り祝って来な」
百目鬼「…」
そこだけ空気が張り詰めた。
他のお姉様方は、何が起こってるか知ってて知らんぷり。ドンチャン騒ぎを続けてる。
花束を抱えて戻ってきたむつは、低い声で僕に言った。
むつ「逃げんなよ。俺を祝ってくれるんだろ?俺と菫ママに恥欠かせんなよ」
マキ「…」
や、やられた…。
だから開店祝いじゃなくて、店を持つ事になった前祝いだったんだ。むつ君は、僕が犬を飼ったり引越しをする前に、百目鬼さんと話をさせたくて強行に出たんだ…。
僕はソファーに縮こまり、ジュースを抱え百目鬼さんから僕が見える範囲を減らしてた。…無駄な努力だと分かりながら、そうしてないといたたまれない。
百目鬼さんは入り口でまだ菫ママと話しをしてる。…ほら、凄く嫌がってるじゃんか…。
賢史「いつまで立ち止まってんだ神!邪魔だよ!」
百目鬼「痛ッ!賢史蹴るなよ!」
百目鬼さんを蹴飛ばして店に入ってきたのは賢史さん、賢史さんは僕たちの存在に気付き凄く驚いてた。どうやら賢史さんも騙された1人みたい。
菫「いらっしゃい賢史ちゃん」
賢史「おやおや、お店の子が出店するからお祝いを言いに来たらただ酒飲めるって言うから来てみましたが、すごい面子だな。一体どの子がお店を持つって??」
賢史さんは、おそらくこのパーティーの目論みに気がついたんだ、いつものいやらしいニタニタした笑顔を浮かべてる。
菫「マキちゃんのお友達のむつ君よ、うちの店に出張マッサージしてくれてたけど、今度お店を構える事になったの」
賢史さんは、花束を抱えたむつ君に近寄り、軽くお祝いを言うと、ソファーに座る僕の真後ろから抱きついてきた。
賢史「よぉ女王様、元気そうで何よりだな」
馴れ馴れしい賢史さんの手をつねって離してもらい、ニッコリ微笑んで返した。
マキ「その節はお世話になりました♪」
賢史「あれから新しい相手は見つかったか?俺の腕はいつでも空いてるぜ」
賢史さんは僕の髪に触れながらそう言う。僕の隣の奏一さんと華南とむつ君がピリピリした空気で賢史さんを警戒しているが、賢史さんはそれに気づいててものともしない。いやらしい手つきで僕の髪のすくって撫で。顔を近づけて来た。
賢史「マキの友達はイケメンぞろいだな」
マキ「どうも」
賢史「でも、やっぱ女王様が1番綺麗だね、今晩どお?」
マキ「遠慮しまーす♪」
賢史「遠慮するなよ、可愛がってや…ッ痛!」
僕を口説いてる賢史さんが急に後ろに引っ張られて仰け反った。
真後ろには不機嫌な百目鬼さんが立ってて襟を引っ張ってた。
賢史「イテテッ、急に引っ張るなよ神」
百目鬼「俺が呼んだのに聞いてないのが悪い、俺たちの席はあっちだ」
そう言って賢史さんを引きずって、店の奥側、僕たちから少し離れた右斜め前の席に座った。
むつ「なんだあのナンパ野郎!」
むつ君はプンスカ怒って、奏一さんは冷ややかな視線で賢史さんを見た後、グラスに視線を戻した。
うぅ、奏一さんが…怒ってる…。
マキ「あは♪、あの人アレで仕事は真面目なんだよ」
むつ「お前の目は誰でもよく映るわけ?あんなナンパ野郎のフォローなんかしてると、どっか連れ込まれるぞ!」
マキ「うふ♪僕が連れ込まれると思う?」
むつ「……」
むつは僕に散々調教された事を思い出したようで一瞬黙った。
むつ「あんなのもヤれちゃうわけ?」
マキ「あんなのもヤれちゃうわけ♪」
180㎝を超えてる賢史さんだって、手順を踏めば征服出来ると自信たっぷりに言ったら、むつが嫌そうな顔をした。
そんな僕らの会話を、奏一さんが咳払いで注意する。
奏一「君たち、場所を考えなさい」
マキ「は〜い♪」
ピリッとした空気を和まず為に可愛らしく返事したら、不機嫌な奏一さんに両頬を持たれグイッと顔を奏一さんのいる方に向けられ、僕と奏一さんはキスしそうなくらいの至近距離。
奏一「こら、返事は短く〝はい〟でしょ」
奏一さんが僕のほっぺを挟んだままだから、「はひ」とか返事になっちゃった。
奏一「むつもだからね」
むつ「はいッ」
むつ君のシャキッとしたお返事が聞けたところで、僕の隣の華南が、フルーツ盛り合わせの中からメロンを爪楊枝に刺して僕の口まで持ってきた。
華南「マキ食ってるか?ほら、メロンどうぞ」
マキ「ありがとう、あ〜ん♪」
むつ「あー、俺もメロン食いてぇー」
修二「お皿にとってあげようか?」
むつ「サンキュー修二」
和やかなやり取りを聞きながら、僕は頬張ったメロンをモグモグ食べてたら、今度は奏一さんも僕の空の取り皿に料理を盛り付けてくれた。
奏一「こっちの煮物美味しいよ」
マキ「ありがとう奏一さん♪」
華南「マキ、飲み物お代わりするか?俺とむつも頼むから」
マキ「うん♪頼むぅ〜」
華南「同じのでいいか?」
マキ「うん♪」
今更気がついたけど、僕は今、奏一さんと華南のお父さんコンビに挟まれて、めちゃくちゃ甘やかされてます。うはぁー、贅沢♪
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賢史「神」
百目鬼「…」
賢史「神!」
百目鬼「…なんだ」
賢史「あっちの席が気になるみたいだけど。タバコ…、折っちまってるぞ」
百目鬼「…チッ。俺は別に」
賢史「ふーん」
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