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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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〝むつ君の門出を祝う会〟は、僕と百目鬼さんを会わすために仕組まれたものだった。
だけど、「逃げるな」と言ったむつは、それ以上何もしない。無理矢理僕を百目鬼さんの隣に座らせるとか、2人っきりにするとか、最悪の事態を想像してたけど、「話してこい」と言われるわけでもなく、僕は奏一さんの隣で楽しくお話しして、反対側の華南に飲むものと料理の世話を焼かれてパーティーを満喫していた。
もしかして、こういうの〝嵐の前の静けさ〟とかいうのかな?
こ、怖いよう。
何より、修二が何もしてないことが怖い。
絶対なんか企んでるだろ…。
だって、僕が逆の立場だったらなんか企むもん!!
心の中は、次に何が起こるか冷や汗をかきながら、頭はフル回転、むつや菫ママが手を組んでたのは明白。そして百目鬼さんの登場になんのリアクションもしなかった奏一さんと修二。やたら構ってくる華南。さらに、これに巻き込まれた百目鬼さんが、お互いが見える位置にいて、さっきっからずっと不機嫌にお酒を飲んでるし。隣の賢史さんはずっとこっちをニタニタ見てる。
菫「みなさんお食事のお味はどう?」
主犯者であろう菫ママが、僕たちのテーブルにやって来た。
むつ「全部うまいぜ、なぁ、修二」
修二「とっても美味しいです」
菫「ありがとう、いっぱい作ったからどんどん食べてねぇ」
菫ママはニコニコ上機嫌でこっちにも話しかける。
菫「そちらのイケメンさんはどうかしら?」
奏一「初めまして、奏一です。修二の兄です。むつとは幼稚園から家族ぐるみでお付き合いしてまして。むつが大変お世話になってるそうでありがとうございます。今日もこんな素敵なパーティーとお料理まで作っていただきまして、とても優しい味のするお料理ばかりで、いっぱい食べてしまってます」
奏一が丁寧に挨拶すると、菫ママは感心したように優しく笑う。
菫「まぁ、ありがとう。むつ君からお名前は聞いてましたけど、本当に素敵なお兄様ですね」
奏一「素敵だなんて、どんな話をしてるやら」
菫「目標だと言ってましたよ。超えなければならない目標だと、常々言ってました」
少し驚いた様子の奏一さん。手厳しいいい方ばかりするから、そんな風に思ってもらえるとは思わなかったのか…、でも、厳しいのは、何かを教えようとしてる時、奏一さんは無理に考えを押し付けたり、無闇に反対するような人じゃないって、むつはよく分かってるんだ。こんないい人がそばにいたなんて羨ましい限りだ。
話しを聞いてたむつが、耳を赤くして怒鳴ってきた。
むつ「菫ママ!言うなよ!カッコ悪いだろ!」
菫「あらあら、照れちゃって、カッコいいわよ♪」
ムスッとするむつ君を華南がまぁまぁと押さえながら、みんなで笑ってしまったから、むつは腕組みして膨れちゃった。
その横で、修二はなんでもないふりしてるけど、うなじがほんのり赤らんでた。むつが奏一さんを超える意味を、修二は気づいたからだ。今晩は、僕、修二の家にいない方がいいかもな…、きっと3人で燃え上がってラブラブしたいだろうし。
むつは、なんで僕が出て行くのを反対するのかな?1ヶ月以上も僕がいるから、ラブラブできてないだろうに…。まぁ、最近はセックスはしてるけど、修二は僕が見てるから緊張しちゃってるし、初々しいのがいいのかな?、ふふ、いつもだったら邪魔だって追い出すのに。
菫「マキちゃん食べてる?」
菫ママが、ついに僕に話をふってきた。
マキ「うん♪いっぱい食べてるよ♪」
僕のお皿には、さっき奏一さんがとってくれた煮物がそのまま残ってる。
はっきり言って、何があるかと気が気じゃなくて喉を通りませーん。奏一さんと華南が、時々口に運んでくるのを食べるので精一杯。
菫「あら、マキちゃん少し痩せたんじゃない?」
菫ママは、少し心配そうに言ってきた。心なしか声は大きい。
ワザとだろ!やめてよ!百目鬼さんに聞こえちゃう!
マキ「気のせいじゃない?体重は変わらないよ」
そうだよ、元に戻したんだ。修二が一所懸命料理してくれてるのに残すなんて悪いし、むつが煩いし。
すると「痩せた」と聞きつけて、お店のお姉様方が飛んできた。
お店で1番ぽっちゃり系のリボンさんが興奮しながら僕を捕まえる。
リボン「ちょっとー!私に対抗して綺麗になろうなんて!」
1人反応すると、それは次々に伝わる。
マリン「あんたとマキちゃんじゃ、月とスッポンよぉー。でも、マキちゃんはこれ以上痩せちゃダメよ、男はね、二の腕にちょっとお肉があるのが好きなのよぉー。マキちゃん痩せすぎぃー」
そう言いながら、マリンさんが自分のプルプルの二の腕を自慢してくるが、すぐにキャサリンさんに阻まれた。
キャサリン「あんたのは贅肉!リボンもマリンもスッポンよ!私みたいに美しい筋肉じゃないと」
キャサリンさんはスマートについた腕の筋肉をポーズで見せびらかし、他のお姉様方がを追い払う、そしてソファーの後ろから僕に近づいて僕を見下ろす。
キャサリン「あらあら、どうしたのマキちゃん、しばらく見ない間にお肌が荒れちゃってるぅー」
マリン「えー!マキちゃんのプルプルのお肌がぁあ?」
えっ?えっ?
肌?いつも通りだけど?
お姉様方がまた群がってきて、キャサリンさんが僕の両頬を掴んでマジマジと顔を眺めるし、マリンさんとリボンさんは、僕の手を取って撫でてくる。
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賢史「神…」
百目鬼「…ッ…なんだ…」
賢史「貧乏揺すりが酷いぞ、地震かと思うだろ」
百目鬼「うっさい」
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マリン「やだぁ!マキちゃんの手が荒れちゃってるぅ!」
リボン「こっちの手は切り傷付いてるわ!ちょっと、むつ!マキちゃんを奴隷のように使ってるんじゃないでしょうね!今あんたんちに連れ込んでるんでしょ!!」
リボンさんがぽっちゃりなお腹を揺らしながら、むつ君に詰め寄ると、むつは苛立って立ち上がり、店に響き渡る大音量で叫んだ。
むつ「はぁあ?マキが役に立つわけないだろ!マキの奴最近まで死んだみたいにやつれててなんも食わねぇし元に戻すの大変だったんだぞ!」
ぎゃあああああああああああ!!!!
ムンクの叫びのごとく、心の中で悲鳴を上げながら、僕は冷静にツッコもうとした。
マキ「嘘、嘘、大袈裟ぁ何言ってんの…」
すると僕を遮るように華南が話し出す。
華南「なんも食わないは大袈裟だよ、体調悪かったんだし。少しは食べてただろ?」
むつ「だってよ華南!マキの奴痩せの大食いの癖にちょっとしか食わないし、こーんなげっそりしてたじゃんか!」
むつがムンクの叫びのように両手でほっぺをぎゅっと押し込んで説明して睨んだ。
華南「入院するほど具合悪かったんだ、退院して体重落ちてるのは当たり前だよ。まぁ、退院してからも、こないだまでほとんど体重元に戻らなかったけどね」
すると、ついに、口を閉じてた修二が口を開く。
修二「ああ、マキがなかなか体重戻らなかったのは、無理矢理口に入れて食べた振りして隠れてトイレで出してたからだよ」
ぎゃああああああああ!!!
なんで知ってんの!?!?
ずっと静かに黙ってた修二は、突然爆弾放り込んできた!
菫「まぁ、そんな〝体調悪かった〟の?」
マキ「そ、そうなんだ!夏風邪ってしつこくて!なかなかお腹治らなくて!」
慌てて取り繕って、恐る恐る百目鬼さんの方を横目で見たら、百目鬼さんはバッチリこっちを見てた。
聞こえちゃってるよ!!修二!!
むつのおバカァ!!
…僕が、そういうの人に言うの1番嫌いだって知っててやってる…もうやだ…
キャサリン「もう大丈夫なの?菫ママにお腹に良さそうなもの作ってもらえば?」
マキ「もう治った!もうなんの心配もないから!」
キャサリン「そう?」
マキ「そうそう!もう超元気!」
キャサリン「でも唇もカサカサじゃない?」
もうやだ!こんなとこいたくない!
マキ「そう?うふふ、リップクリーム持ってるから、塗ってくるね、僕ちょっとお化粧室行ってくる」
堪らず席を外してトイレに駆け込んだ。
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