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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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そっちこそ、さっきまで項垂れてうんうん言ってた癖に、急に急接近とか卑怯じゃない?
百目鬼「どうなんだマキ」
あ〜ん!近いからぁあ!
心臓が破裂しそうな思いで正直に話してるのに、どうしていきなり百目鬼さんが優位になっちゃうのぉー。
そんな獲物を見つけたような鋭い瞳で息が掛かりそうな至近距離の低音ボイスとかやめてよぉ〜。心臓が爆発しちゃう!
マキ「…えっと♪、奏一さんが…修二とのことでぇ色々悩んでたみたいで…」
百目鬼「ほぉ…」
マキ「…アドバイス…を…」
〝それだけじゃねぇだろ〟と見下ろす瞳、とても怖いです。
マキ「…ぁ…えぇっとぉ…、あの時、僕とはあまり会えなかったでしょ…、百目鬼さんは奏一さんと頻繁に会ってたから…」
修二が言ってた…
百目鬼さんは100パーセントでぶつかって欲しいって思ってるって…。寂しいとか嫉妬してるとか言って欲しかったんじゃないかって…
それを信じたわけじゃないけど。もう、隠す必要はないんだよね…。だって前は好かれたくて言えなかった。今はどう思われても…
マキ「テヘ♪ヤキモチ焼いちゃった♪♪」
お茶目に可愛らしく言ってみたものの、百目鬼さんの表情は一層険しくなってる。
百目鬼「俺が奏一を選ぶと思ったのか」
マキ「…ぁー…選ぶっていうか…、初めから…」
百目鬼「初めから!?」
マキ「…僕は下の方…でしょ?」
正直に言った途端ギロっと睨まれ、僕は肩をすくめる。
だって…そうでしょ?僕より奏一さんの方が好きでしょ?
僕と奏一さんが同時に崖から落ちたら、奏一さんを助けるでしょ?
百目鬼「お前、常識で考えろ。俺が奏一を選ぶなんてありえないだろ」
マキ「常識は関係ないよ、百目鬼さんの気持ちは、僕より奏一さんの方がいいでしょ?」
百目鬼「ふざけた話をするな」
マキ「僕は…ふざけてない…」
百目鬼「…」
ずっと真剣に話してる。
まぁ、奏一さんにも百目鬼さんとは「ありえない」って言ってたけど…
マキ「…僕は…、百目鬼さんに大事にしてもらったって思ってる…、その気持ちは信じてる…。でも、一度も百目鬼さんが僕をどう思ってるか言ってくれたことなかったから…」
百目鬼「ッ…」
百目鬼さんが言葉に詰まった。この話題になると、百目鬼さんは辛そうに眉を寄せる。
困らせてるよね…。
マキ「…僕ね。…例え奏一さん相手でも、百目鬼さんを渡したくないって思った。嫉妬しちゃったんだ」
結局空回りして、奏一さんには相談に乗ってあげてたつもりがいつの間にか僕が相談に乗ってもらってた。
それに、軽率な行動で余計百目鬼さんと険悪になった。
マキ「百目鬼さんは僕と居ても楽しそうじゃないし。でも、奏一さんは素敵な人だから、奏一さんの方がいいんだよねって思っちゃって…。だって奏一さんって厳しいけど優しいし、怒ると怖いけど、怒った理由もちゃんと説明してくれて、納得のいかないことは最後まで話し合ってくれてるし、あんな風に誰かととことん話したの僕初めてで…」
百目鬼「グ…」
正直に話したら、百目鬼さんの眉が歪んだ。
また怒らせちゃってるのかな?
マキ「修二があんな良い子に育ったのは奏一さんがキチンと向き合って、厳しくも優しく育てたからなんだなって、修二はあんな芯が強くて真っ直ぐで、誰より人に優しくて可愛いじゃない?」
百目鬼「グッ…」
百目鬼さんの顔は、どんどん歪んで恐い顔になっちゃってる。
マキ「それも全部奏一さんが、お父さんみたいにお母さんみたいに守って鍛えて下からなんだよね。奏一さんみたいな人が僕のそばにもいたら、僕ももう少し良い子になったかも…」
百目鬼「ツッッッ~~………」
百目鬼さん…怒ってる…?
やっぱり怒っちゃっうよね…
奏一「どうして俺の話になってるんだ」
頭上から、奏一さんの声が降ってきて、ふわっと頭を撫でられた。
百目鬼さんとの至近距離で緊張しまくってた僕は、奏一さんの顔を見て少しホッとした。
マキ「奏一さん♪♪」
百目鬼「!」
思わすわ笑顔になると、そんな僕を見て百目鬼さんが驚いた。
奏一さんは僕の隣にどっかり座り、ポケットティッシュを取り出して、僕の顔を優しく拭いてくれる。
奏一「百目鬼、お前って奴は、泣いてる子の涙を拭いてあげる思いやりは無いのか?」
百目鬼「う………」
奏一さんの温かい手が、僕の涙の跡のついた頬を優しく拭いながら柔らかく微笑みかけてくれる。
マキ「あ、ありがとう」
奏一「マキはまつ毛が上も下も長いから、目元にいっぱい涙が溜まっちゃうんだね」
マキ「フガ…」
奏一「泣きすぎで鼻が赤いね」
ティッシュで鼻を摘ままれてクスッと笑った奏一さんの顔はほんのり赤くて目が潤んでて、さっきより酔っ払ってるみたい。
奏一「ちゃんと話しは出来てる?何で俺の話になってるのかな?」
マキ「そ、奏一さんもグルなの?」
奏一「グルとまではいかないかな。俺は応援してるというより、怒ってるからね」
マキ「え?」
百目鬼「!」
奏一さんの言葉に、百目鬼さんがビクッと反応した。
奏一さんが怒ってる?どうして?
百目鬼さんの実家に連れてってくれたり、百目鬼さんの昔話聞かせてくれたり、写真見せてくれたりしてたのに?
色々話しを聞いてくれたのに?
どうしよう、僕のせい?
マキ「何を怒ってるの?」
奏一「そうだね。俺はね、常々何事もやると決めたら根性据えてやるべきだと思ってるんだ」
奏一さんはあくまで僕の方を見つめて静かに微笑みながら、でも、そのオーラはゾッとするような威圧感。
奏一「人に反対されたからって折れちまうなら、初めっから手ェ出すなって思うんだ。修二にはそこんとこ厳しく言ってるし、ガキの頃から一緒にいるむつには叩き込んである。まぁ、むつの場合折れなさすぎなとこがあるがな」
奏一さんは、僕の顔を拭いたティッシュを丸めてポケットにしまい、僕の肩を抱き寄せて話を続ける。
百目鬼さんは何か言いたそうに拳を握りしめて、歯を食いしばった。
奏一「むつと華南が、修二と付き合ってると俺に言ってきた時。俺は断固反対した」
マキ「…」
意外。そうなんだ…。奏一さんさんなら、ちゃんと話を聞いてくれそうなのに…
奏一「三ヶ月以上突っ撥ねだけど、あいつらはしつこく俺に〝付き合うのを許して下さい〟と言いに来た。その時、もちろん修二にも、むつと華南とは離れろと言ってやった」
マキ「…でも、認めてあげたんだよね?」
奏一「ふふっ、認めたも何も、修二も、むつも華南も、〝別れる気は無い、認めてもらうまで何度でも話しをしに来る〟って啖呵切ったからな」
この奏一さんを相手に、3人とも頑張ったんだな…。僕だったら、立ち向える気がしない…。
奏一「男同士だとかそれ以前に、覚悟の無い奴は俺は許さない。あいつらは俺が反対しても一緒にいることを選んだ」
そっか…。3人は、奏一さんに反対されても、ちゃんとお互いの手を握り合って、試練を乗り越えたんだ…。そして、むつと華南が
根気強く修二に気持ちを信じさせて…。修二はあんなに強くなったんだ…。
奏一「で?マキは、思ってることは全部言えたのか?」
マキ「…うん、ほとんど話せたと思う。なんか緊張しちゃって…、うまく話せたかは分からないけど…。百目鬼さんはちゃんと聞いてくれた」
言えることは全部言った。
ちゃんと謝ったし、自分の気持ちも話した。
百目鬼さんの1番になりたかったことも、百目鬼さんを独占したかったことも、全部言えた。
あとは、百目鬼さんが自分の変化を認めて前に進んでくれればいいのに…。
…………。
百目鬼さんとの話が終わってしまうのかと思うと、きゅぅうっと胸が痛む。
もっと話してたい…
もっと一緒にいたい…
縮こまる体を、奏一さんがキュッと抱き寄せてくれる。
奏一さん…僕、頑張ったんだよ…
賢史「おーおー。今度は奏一お兄さんとイチャイチャしてんの?女王様」
賢史さんが飲み物を持って帰ってきた。
僕の前に置かれたのはホットココア。
明らかに、僕が泣いたから落ち着かせてくれようとしてるチョイス。やっぱり聞き耳立ててたのかな?っていうか、こんなみんなから見えるところで泣いちゃった時点で、僕のミスか…。
賢史「まさかマキと奏一さん付き合ってんの?」
百目鬼「そんな訳ないだろ!」
何故か百目鬼さんがすぐに否定する。
賢史さんが奏一さんをニヤニヤからかうから、百目鬼さんが苛立って全力で賢史さんを睨む。しかし、奏一さんの反応は百目鬼さんの度肝を抜いた。
奏一さん「どうして百目鬼が答えるの?俺とマキが付き合ってるかなんて、あんた知らないだろ?」
百目鬼「ハッ?付き合ってるのか?」
ええッ!?何言っちゃってんの奏一さん!?
奏一さんは僕を見ながらニコニコしてて、百目鬼さんはありえないと言いたげに僕らを見た。
奏一「何慌ててんの?気になる?」
百目鬼「いや、ぁ…奏一、お前はノーマルだろ?」
奏一「まぁ、ノーマルだけど、マキならアリだね」
百目鬼「ハアッ!?」
百目鬼さんが目ん玉溢れそうなほど驚いてるけど、僕もビックリ。
奏一さん、一体どうしちゃったの?まさか百目鬼さんを煽ってるとか?酔ってるみたいだけど、マジな話じゃないよね?そうだよね?
賢史「ちょっとちょっと、付き合ってはないだろ?マキちゃん驚いた顔してるし、それに俺が今口説いてる途中なんだけど」
百目鬼「冗談はよせ!」
賢史「いや、本気だけど、だってマキ様と一発ヤッてみてぇーし」
百目鬼「賢史!!」
賢史「ハハッ、キレんなよお前はもうマキちゃん捨てたんだろ?なら、俺が拾ってもいいだろ?」
百目鬼「いい加減にしろ」
賢史「怖っ。でももう要らないんだろ?」
賢史さんがいやらしい目で僕を見てくると、百目鬼さんは賢史さんと僕の間に立って見せないようにしてた。
賢史「俺とマキちゃんの関係に割り込んでくるなよ、お前はもう彼氏じゃない。マキちゃんが誰と何しようが、マキちゃんの勝手だろ?俺がマキちゃんを口説いて返事がOKだったら、マキちゃんの体に触りまくって何しようと神には関係ないだろ?お前はマキと別れたんだ。もう、マキちゃんの事に口出しする権利は無いはずだ。お前はマキちゃん要らないんだろ?」
百目鬼さんは愕然とした感じで賢史さんを睨みつけ。
賢史さんは仁王立ちで面白がってる。
奏一さんは2人を冷めた目で見てるし。
僕はというと奏一さんに肩を抱かれながら唖然とするしかない。
賢史「ハハッ、ひっでーツラだな神。女王様に骨抜きにされてそのザマか?そんなにマキ様のセックスは良かったか?」
百目鬼「黙れ」
賢史「だからお前はやめとけって言ったのに、あんな魔性を味わったら、後々後悔するって言ったろ?神は恋愛慣れしてねぇーんだから、魔性に毒されるぞって。でも良かったじゃんか、目が覚めたんだろ?」
百目鬼「その汚ねぇ口を閉じろ賢史!お前にマキの何が分かる!!」
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