アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛2
-
賢史の案内で仕事先に向かっていると、賢史は不機嫌な顔で、運転してる俺を眺めてた。
賢史「神、お前ってやつは、学習能力が無いの?」
百目鬼「は?なんだ突然」
賢史「女王様の事だよ!なんで修二んちに返しちゃうんだよ!」
先程、マキを修二のマンションに送り届けた。賢史はそれからずっとムスッとしてる。
賢史「監禁すんじゃなかったのかよ」
百目鬼「何言ってる、事務所が見張られてるのは知ってんだろ、安全な場所を確保するまで無理だ」
俺は正しいことを言ってるのに、賢史は呆れた目で俺を見る。
賢史「頭固いというか、頑固っていうか、融通きかないっていうか…。お前らまさか、あそこまでお膳立てしたのにSEXしただけとか言わないよな?ちゃんと気持ちを伝え合って元サヤに戻ったのか?」
百目鬼「…」
頭の中で、昨晩の自分の行動を振り返ってみた。
百目鬼「…気持ちは伝えあった」
賢史「ILoveyouって言ったのか?」
百目鬼「は?」
賢史「〝愛してる。一生俺の側にいろ〟っつったのか?このポンコツ」
あ?!愛…!!
いつものからかってる口調とは違い、低い真剣なトーンの賢史の言葉に唖然としていたら、賢史は信じられないと言いたげに頭を抱える。
賢史「俺の警告を無視すんなよ、お前の恋愛力じゃダメだからアドバイスしてやったんだろうが!どうして人がドン引きするような『監禁したい』が言えて、『好きだ、愛してる』って言えねぇのかなぁ。お前の言葉はストレートに言っても一回転半捻ってあるって教えてやったろうが!」
百目鬼「…俺は思ったことをちゃんと伝えた…」
賢史「思ったことをちゃんと伝えただ?じゃあちゃんと言ったんだな、女王様を振った後、マキが入院中に、俺んところに1日10通は『様子はどうだ?』『怪我の具合はどうだ』とピーチクパーチク心配だ心配だと煩く聞いてくるわ、目も当てられないくらい荒れやがって、雪哉に面倒見てもらって宥められて。挙げ句の果てに、マキの写ってる写メを眺めてメソメソしてましたってな」
百目鬼「な゛ッ!!」
思わず踏んだ急ブレーキ。
車体が大きく傾き、急停車して、賢史はゲラゲラ笑いだした。
賢史「フハハッ、泥酔して油断したな」
百目鬼「見たのか!!」
賢史「綺麗だったなぁ女王様。お前の女神に見えたのか?隠し撮りなんかして」
最悪だ!!
賢史にアレを見られたなんて!!
賢史はニヨニヨバカにしながら笑う。
俺は絶望のどん底に叩き落とされた気分だ。
賢史「仕事中にお前ナニしてんの?ウエディングドレス姿のマキちゃんなんか隠し撮りして」
百目鬼「誰かに言ったかッ?!」
賢史「……第一声がそれ?マキちゃんにバラしとけばよかったぜ」
百目鬼「…すまん」
あまりのテンパりに、流石に失礼なことを言った。
俺の言動についてこれる賢史には、本当は感謝しなければならないし、本当はいつも感謝してる。
マキにさえ、ちょっかい出さなければ…
賢史「あんなに弱ってやがったから、流石に協力してやったのに…」
百目鬼「…」
ブスッといじけた声を出した賢史。
こいつは俺をガキか小学生以下と言うが、こいつ自身もなかなかガキっぽい。悪ガキがそのまま大人になったみたいな奴だ。
賢史「まっ、要らないならいつでも貰うけどな」
百目鬼「要るっつってんだよ!!お前にはやらねぇーんだよ!あいつは俺のだ!」
賢史「やっとちゃんと言ったな。ハハッ、ってか、そういうのマキの前で言えよ」
ぐっ…
賢史「あーあ、まだまだ先が思いやられるな…」
賢史は困ったもんだと言いながら、ニヤニヤ楽しんでるような顔してやがった。
賢史「ほら、いい加減車動かせよ」
うっ…
今回ばかりは、賢史には頭が上がらない。
なんかかんかからかいながらも、俺にとってなにが必要のか、賢史なりにやってくれてた。それが…こいつの場合かなりふざけたやり方だが…。
俺は知ってる…、こいつは自分の信じるものを突き通す。それ以外が悪になってしまうのがたまに傷だが…。昔よりは、それなりに融通が利くようにはなってるんだが…。
人のこと頑固だと言うが、賢史もなかなかの頑固野郎だ…。
しかし…、今回は、いろんな奴らに迷惑かけた…。
賢史も、菫ママや店の連中にも、修二たちや奏一にまで…
あいつらに殴られて、自分の馬鹿さ加減に気がついた…。
むつの真っ直ぐなパンチも、その言葉も、あいつなんかに言われて思い知るなんて…
ガキだガキだとバカにしてたのに、あいつの方がよっぽど真っ直ぐで…
だから、修二は惚れたんだな…
奏一は、相変わらず重たいのにキレッキレのパンチ…。相変わらずカッコいい奴だった…。
あの日から、俺は、目が覚めた。
そして、俺の考えが改まるのを待ってたみたいに、俺の前に初めて運が向いた…
あの日のあれは、きっと、巡り合わせ…
いつもだったら、見放されてしまってたものが、まるで繋ぎ止めるみたいに…
それは…、
一本の電話だった…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
756 / 1004