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〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛12
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抱きしめてしまいたい…
俺の腕の中に閉じ込めて、誰にも触れさせたくない。誰にも見せないように閉じ込めて、俺だけを見てればいい。嫌っていうほど甘やかして、羞恥で真っ赤な顔を見下ろして、蕩けてイヤイヤしてもそれでも快感しか与えずに声が枯れるまで抱いて俺だけのものにしてしまいたい……
ハッ!!
ほんの数秒視線が交わっただけなのに、俺のどうしようもない脳みそは、過去の反省も意味をなさず、マキを閉じ込める事を願った。
その瞬間。
まるで俺の監禁願望が伝わってしまったかのように、マキの瞳がみるみる不安の色で震える。
ッ…駄目だ!
直ぐに視線を逸らしたが、俺の心臓は馬鹿みたいにバクバクしてる。落ち着け、落ち着くんだ俺、マキが怯えてる…、もう、マキを泣かせたりしたくない…、守るんだ、溝呂木からも、俺からも。せっかく笑えてたんだ、俺が台無しにしたくない…落ち着け…
深呼吸して息を吐き、マキが怯えないようになるべく優しく言葉にした。
百目鬼「大丈夫だ、水を入れてくるだけだ」
俺が静かに優しく言うと、マキは瞳をパチクリ瞬き、頷いて俺を掴んでいた手をそっと離した。
キョトンとして瞳を瞬く姿…、俺は好きだった。いつもなら耳と尻尾が見えて物凄く困っていたが、もう、マキには耳も尻尾も見えない。やっぱあれは、マキが見せてた幻か…。全く…、あの耳と尻尾には本当に苦労させられた………。
奏一に水を出してやり、取り上げたカクテルグラスを洗って仕舞う。
その間、マキがジッと俺を見つめていた。
俺は、なるべく怯えさせないように神経を張り巡らせ、賢史がこちらを観察するのは無視して、マキを怯えさせない事だけを考えた。
賢史が、「疲れたから座りてぇーよ」と言うので、カウンターから自分の席に戻ることにした。全員カウンターから元いた席に戻り、賢史は俺の隣の席に踏ん反り返る。
百目鬼「疲れたっていっても、人をからかってばかりだろうが」
賢史「いやー、手強い手強い…」
賢史は反省のハの字もなく、「次を考えなきゃ」なんていう始末。このエロ刑事。
マキ「失礼しまーす♪」
突然明るい声が響いて、マキが俺たちのテーブルの前にやってきた。その手にはお盆に上等な酒が乗せられてた。
菫の野郎、余計なことしやがって!
賢史「あれ?マキちゃん、もしかしてその酒注いでくれるの?」
マキ「うん♪菫ママがご褒美だって♪」
賢史「おっ、バランタイン30じゃん、良い酒だねぇ。こっちおいでよ俺のお隣にどうぞ」
狼賢史は心の中でよだれを啜りながら、自分の隣の席をポンポン隣を叩く。その手の速さ、マジで呆れる。
マキ「菫ママが百目鬼さんと2人でどうぞって♪」
賢史「良いのかなぁ、神と2人じゃきっと、一本空けちゃうぜ、なぁ神」
百目鬼「…おい、さすがに一本は…」
賢史「なんだよ、今日はペース遅いなぁ、ああ、寝不足だから寝ちまいそうなのか?良いじゃん良いじゃん寝たら寝たで、家すぐそこだろ?俺が送ってやるよ」
ニヤニヤ笑う狼賢史は、「お前は寝てろよ、俺はイチャイチャして子鹿なマキを頂きます」とでも言いたげた。
賢史「さっ、マキ、どうぞどうぞ」
しかも、マキを呼び捨て。
賢史は強引にマキを隣に座らせ腰を抱く、体をピッタリと寄せて太ももを撫でやがる。俺が賢史を睨みつけると、マキがこっちの様子を伺っていた。ヘラヘラしたその面は引きつって、不安げな瞳が揺れている。
しまった…。賢史に苛立つとマキを怯えさせちまう…。
マキは瞳を不安げにしながら、賢史の悪戯に対してはいつも通りヘラヘラ取り繕って、女王的な態度で賢史の手をつねった。
マキ「オイタばかりして、賢史さん子供みたいです」
賢史「男は何歳になっても子供なの。それに普段じゃないとふざけてられないからねぇー」
再び太ももをいやらしく触ろうとする賢史に、ベチッ手を叩き
マキ「セクハラばかりするなら賢史さんの分は入れてあげませんよ♪」
賢史「あー、どっちも捨てがたい」
マキ「こっちの腰に回した手も引っ込めないと、菫ママ呼びますよ」
そう言うと、参ったと降参するように、賢史は両手を上げて、マキから手を離した。
マキ「菫ママがソーダ割りでって言ってましたけど、お二人ともそれで良いですか?」
賢史「いいぜ」
百目鬼「あぁ」
マキ「はい、かしこまりました♪」
マキの誤魔化しはほぼ完璧だ。だが、マキは、嘘をつく時瞬きが多くなる。マキはヘラヘラ笑いながら頻繁に瞬きを繰り返し、緊張して口が乾くのか、下唇を何度も噛む。
賢史に酒を注いで渡し、俺にも手渡してくれた。
マキ「百目鬼さん、どうぞ」
その笑顔は、痛々しいほどの作り笑顔。
そして、その手は僅かに震えていた。
……。俺に近づくのが嫌なら断れば良かったのに…マキはいつになったら、誰になら本心で付き合える?…。
俺は震えるマキを見て見ぬ振りをして、グラスを受け取り口をつける。
マキ「…薄かったりする?」
マキは、俺の反応を気にながら、上目遣いに覗き込み、俺と目があうと身構えてた。
そんなに嫌なら、無理しなくていいのに…
俺は、マキを安心させてやりたくて、優しく優しくと自分に言い聞かせ、笑顔を作る。
百目鬼「美味しいよ」
マキ「良かった♪」
その瞬間、マキはホッとしたのか自然な笑顔が溢れた。緊張が少しほぐれたのか、ニコニコしてる。
……もしかして俺…怖い顔してたか?そうだとしたら賢史のせいだけどな…。
マキ「薄かったり濃かったら言ってね♪調節するから♪」
分からない…。
マキが何を考えてるのか…。
俺に向かって微笑むマキを見ていられなくて視線を斜めに逸らす事しかできない。
賢史は賢史で、マキにピッタリくっついてデートに誘う。俺には、デートの誘いじゃなくて違う風に聞こえてならない。
狼賢史『なあなあ、美味しそうだから食べさせろよぉ』
羊マキ『やだぁ〜、大きな牙が怖いぃ〜』
狼賢史『牙怖い?じゃあ取っちゃおう!これなら怖くないだろ?ついでに君も毛皮脱いじゃおう』
羊マキ『やん、狼さんのエッチぃ』
狼賢史『柔らかい毛皮も気持ちいいけど、君の肌はシルクのみたいに綺麗だね』
羊マキ『やんっ…』
ーダン!!
怒りで持ってたグラスを勢いよくテーブルに叩きつけると、思ったよりデカイ音が響いた。
俺の隣でマキの頭を撫でてイチャイチャしていた賢史が振り返る。同時にマキも音に驚いて俺を見た。
グッツグッツ煮える思考で、マキを見て、喉から出そうになった身勝手な言葉を呑み込むために、眉間にシワが寄りまくる。
なんとか醜い言葉を飲み込んで、なんとか誤魔化しグラスをマキに差し出した。
百目鬼「お代わり」
マキ「あっ、ハイ」
マキを怯えさせると分かっていても、俺ってやつの器量は犬の餌の器ほどもないのだろう。賢史は口説いているだけで実際にひん剥いて犯してる訳じゃないのに、我慢のガの字も堪えられない。
そんな俺の態度は、賢史のかっこうの餌食。賢史がニヤニヤしながらマキの肩を抱き寄せた。
マキ「わっ!溢れる」
賢史「なんだ神、嫉妬か?」
この野郎!!
賢史は抱き寄せたマキの肩をいやらしく撫でながら、ニタニタ俺を眺めるから。俺は賢史をギロっと睨見つけた。
賢史「マキと俺が仲良くしてるのが羨ましいんだろ。逃がした魚は大きく見えるからなぁ」
百目鬼「…お前、飲み過ぎだ」
賢史「まだ酔ってねぇよ。これぐらいで使い物にならなくなったら勿体ないしな、なぁマキ」
お前の真っ黒なもんは小さくたたんで仕舞っとけ!!勃たせやがったらちょん切ってやる!
百目鬼「…賢史、いい加減にしろ。子供相手に絡みすぎだ」
賢史「子供?今年で20歳だろ?」
百目鬼「今年はまだ19だ」
賢史「今年度20歳だろ」
エロ刑事!!
賢史「そうだ、マキが20才になったら俺が良い酒ご馳走してやるよ。誕生日はいつ?」
マキ「え、いらないよ、僕予定あるし」
!!
賢史「あれ、先約?誰と過ごすのかな?」
ニタニタしながら賢史さんがマキに顔を近づけると、賢史の顎を下からグイッと押し上げた。
マキ「内緒♪」
マキはニコッと微笑んだ。
その笑顔がなんとも言えない、嬉しそうなどこか緊張しているような…
そうか…予定があるのか…
賢史「じゃあ、誕生日の次の日でも良いぜ、祝ってやるから教えてよ。お酒と一緒に良いものプレゼントしてやるからさ」
食い下がる賢史は、コソッとマキに何かを耳打ちすると、マキは一瞬子供っぽく喜んで、ハッとして顔を引き締める。
マキは何をプレゼントすると言われて喜んだのか…
マキ「もう離してよ、百目鬼さんのお酒が薄くなっちゃうじゃん」
賢史「誕生日がいつか教えてくれたら離してやるよ」
マキ「…ハイハイ、3月2日ですぅ」
賢史「嘘ついてないか?」
マキ「ついてないよ。百目鬼さんに聞いてみれば?事務所のバイトした時履歴書に書いたし」
…本当の誕生日を、マキは口にしなかった。
……賢史は相手にされてないのか?
百目鬼「…、そうだったな…」
賢史「えー、嘘臭えー」
少し拗ねる賢史の横で、マキが何やら急に緊張してるのが分かった。どうしたのかと思ったら、マキは深呼吸して自分の胸元のを握りしめ、その手を僅かに震わせながら、賢史に向かってニコッと微笑んで言った。
マキ「本当だよ、誕生日は、オーロラを見に行くんだ。見えないかもしれないけど、夜空の写真撮ってくるから見せてあげる」
賢史「オーロラ?海外行くのか?」
百目鬼「………………」
オー…ロラ…?
マキ「ふふ♪海外じゃなくてね、北海道で見れるんだって♪」
…北海道…?
賢史「北海道?いや、日本じゃ見えないだろ」
マキ「ふふ♪それが見えるんだって♪まぁ、うん十年に一度的にだけどね、目には見えないかもしれないけど、あの空の向こうにはあるんだって♪」
脳裏には、あの日の綺麗な星空と、マキ嬉し涙でグチャグチャの顔…
俺は、必死に震える手を隠すマキを見つめた。その握り締められた胸元には、首からネックレスのチェーンが服の中に向かって伸びていた。
もしかして…
そのネックレスは…
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