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(番外編)純愛>??<狂愛5
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……………。
ゾワッと背筋に刺す悪寒
この字…
確かに百目鬼さんの字だ。
……。
可能性の幾つかが瞬時に頭の中を支配した。だが、そんなこといちいち顔に出してはやらない。
僕は穏やかに問う。
マキ「…これ何?」
普通の疑問だ。
僕はただその答えをジッと待つ。
成一はニヤリと気持ち悪いほど嬉しそうに笑った。
成一「何って、誓約書だよ。フッ、あまりのショックに字も読めないか?」
マキ「読めるよ。〝茉爲宮優絆に近づかない。百目鬼神〟って書いてある」
成一「クックッ、お前に帰るところは無いんだよ」
ニタニタいやらしく笑う成一、その瞳をジッと見つめ、何を企んでるのか考えた。
そしてもう一度、百目鬼さんのサインのある手紙に視線を落とす。
…やはり、もう一度見直しても、百目鬼さんの書いた字に見える…
マキ「百目鬼さんと会ったの?」
成一「ああ、今朝な」
今朝…。
成一「お前のこと全部話してやった。それにお前との関係を、ネットにバラまくって言ったら一発だったぜ。客商売だもんな…」
マキ「…ふーん」
成一の言葉に表情を変えない僕に、成一の不愉快そうな顔をした。
成一「お前は、誰からも必要とされてねぇんだよ!」
誰からも必要とされてない。
そう言われて視線を上げると、成一と視線がまじわる。僕を見ながら睨むように嫌な笑いを浮かべていた成一が、僕の反応を見て、その表情を不快感の混ざる驚きに変えた。
僕が、ニッコリ極上の笑顔で微笑んだから。
マキ「ふふ♪、うん、それで?♪」
成一「ッ!!」
僕の反応にムカついた成一が声を荒げる。
成一「誰にも必要とされないんだよ!、誰にも好かれてない可哀想なお前は、ここに残って俺に従うしかねぇんだよ!」
誰にも必要とされない…
誰にも好かれてない…
誰も僕を見ない…
だから、期待したことなどない
マキ「ふふふ♪」
成一「何が可笑しい!?」
マキ「成一さんは、何がしたいの?♪この紙で私を落ち込ませて、傷つけて。奴隷にしたいの?♪」
ヘラヘラ笑いながら質問する僕を、成一は、怪訝に見ながらも、ざまぁーみろと言いたげに高笑いしだした。
成一「ハハハハッ!言ったろ!てめぇの幸せは片っ端からぶっ壊してやるって!」
マキ「…」
成一「お前の過去の行いを聞いたら呆れてたぜ!叔父と寝てたことも、誰彼構わず寝てたことも、お前がSEX無しじゃいらんねぇーことも教えてやった。留学先で外人の味も覚えて、そこであれこれ覚えたこともよ、可哀想に、ショック受けてたぜ。可哀想に居場所が欲しくて漁りまくって、よっぽどあんたのチンポが気に入ったんだろって教えてやったのさ!会うたび跨って来なかったか聞いてやったら、思い当たったんだろうよ、言葉もなかったぜ!」
マキ「…」
成一の吐く言葉は、なかなかの攻撃力だった。百目鬼さんに聞かすにはかなり凶悪な言葉ばかりだ。
百目鬼さんは、僕が跨ることを嫌がってた。
それに、僕の過去は、簡単にしか話してないけど、大筋そんな感じのことを言ってるから信じたろう。
きっと成一のことだ、知ってることをネチネチいやらしく話したんだろう。僕の過去を有る事無い事吹き込んでくれちゃった訳だ。百目鬼さんそらショックだろうよ…、百目鬼さんは清楚系が好きなんだもの、何も留学の時の話までしてくれなくてもいいのに、百目鬼さん…相当呆れたろうな…。こないだ3桁経験あるって教えたばかりだから、信憑性もあったろうし…。
百目鬼さんは、修二みたいな真っさらな自分色に染まるような子が好きなのに…
とんでもないことしてくれた…。
成一「クックッ、分かった。強がってんだろ?」
何も反応しない僕を見て、ショックで口がきけなくなったと思ったんだろう。成一がまた余裕な表情で嘲笑う。
成一「それか、嘘だと思ってる?その誓約書が偽物だと思ってるだろ、バカだねぇ?」
見下し楽しそうな成一に、僕はにこやかに答えた。
マキ「ふふ♪偽物じゃない証拠がある?」
成一「百目鬼神の直筆だぜ。百目鬼の字が分かんねぇーの?こいつのことが好きなんじゃないの?愛がないなぁ」
マキ「ふふふ♪分かるよ、百目鬼さんの勇ましく力強い字だ。だから驚いてるよ♪僕のハートも傷ついた♪。でも、証拠としては弱いし、この紙はコピーだろ?百目鬼さんのサインに筆圧の跡がない、なら、偽装の可能性もあるしね♪」
僕の回答に成一は目を見張り、少し間を空けてから、馬鹿にするように見下す。
成一「…。可哀想な奴。素直になれよ、もっと絶望しろよ。絶望してんのをさらに奈落に落としてやるつもりで楽しみにしてたのによ。『百目鬼さんのこと信じてるから!』と嘆くなり『嘘だ!百目鬼さんはこんなもの書かない!』とか怒るなりしろよ。相変わらず胡散臭い顔して笑いやがって、可愛げがないな。素直に泣けよ悔しがれよ」
成一は、勘違いしてる。
僕は強がってるんじゃないし、『嘘だ!百目鬼さんはこんなこと書かない!』なんて悲劇のヒロインぶった感情なんか無い。
『百目鬼さんのこと信じてるから』なんてこと考えてる訳でもない…
成一は、僕を傷つけ、絶望させたいのだろう。
でも僕は…
成一「フッ、証拠ならあるぜ、見せてやるから俺について来いよ」
マキ「…」
成一「…なぁ、その、なんともない風に取り繕った顔して、心の中で何考えてるんだい?可哀想に泣きそうで声も出ない?クハハッ」
僕は…
嘆きも喚きもしない…
誰も必要としてない
誰も好いてない
と言われても傷つかない、今更だ。
マキ「ふふ♪そんなこと聞いちゃうなんて趣味悪いね♪」
成一「ふはははははッ、顔が引きつってるぜ、まだ、これからだから泣くなよ」
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