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(番外編)純愛>♎︎<狂愛13
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マキ「こんなの書いてない!」
書いてない。
百目鬼さんが許可してくれる限り、百目鬼さんの側にいるんだもん!こんな事に同意する訳ない!!
百目鬼さんは淡々と、怒り混じりの鋭い目で僕のサインを指差した。
百目鬼「コレはお前の字だろ、茉爲宮優絆って書いてある」
確かに僕の字だけど…
茉爲宮優絆なんて普段書かないのに…
…あっ!
マキ「確かに僕の字だけど、こんな書類にサインした覚えないよ!茉爲宮優絆なんて最近書いたのは、成一が遺産放棄にサインしろって言った時だけ」
百目鬼「遺産放棄?」
マキ「百目鬼さんは、これを信じたの?」
僕は信じなかったのに…
マキ「僕は百目鬼さんが好きで、側にいたいって言ってるのに、これを信じたの?」
あんなに幸せだったのに、百目鬼さんから触ってくれるようになって、キングにまで嫉妬してくれて、嬉しくてこの3日間幸せだったのに!!
百目鬼「脅されたら、その身を差し出してサインしただろ」
マキ「ッ、してない!もう自己犠牲なんかしてない!」
強く否定した途端、今まで一度も合わせなかった百目鬼さんの目が僕の目を見てギロッと睨んできた。
百目鬼「だったらその格好はなんだッ!!」
怒声とほぼ同時に百目鬼さんが立ち上がってローテーブルを乗り越え、僕の羽織っていた毛布を剥ぎ取った。僕が手に持っていたマグカップが弾かれてホットチョコレートは床に飛び散った。
百目鬼さんの怒りの眼差しの前に現れたのは、汗ばんだ真っ白な生足。
百目鬼さんから借りたジャケットの下には、真っ白ヒラヒラのネグリジェと女性物のランジェリー。どれも毛布の下で蒸されてじっとりかいた汗にくっついて、益々如何わしい。
僕のあまりの姿に、百目鬼さんに青筋がビキビキ現れ今にもブチ切れそうなのをなんとかしようとしてるんだろう、百目鬼さんの怒りの眼差しが逸れてソファーを殴りつけた。
ーボン!!
怒りを拳で逃し、百目鬼さんの低い低い声が唸りのように響く。
百目鬼「〝百目鬼さんを救う健気な僕を陵辱したい?〟だったか?」
マキ「あれは!だから、従ったフリを…」
僕の言葉が納得できないようで、百目鬼さんはキツく瞼を閉じて、苛立ちに肩を震わせながら声を荒げないように歯をくいしばる。
百目鬼「フリを…、する暇があったら自分の身を最優先に守れや」
マキ「滝本の時とは違うよ!ちゃんと逃げようとしてた!」
自己犠牲なんかじゃない!僕は…
その瞬間、百目鬼さんの見開かれ、稲妻のようにギラッと光る。
百目鬼「全力で逃げなきゃ意味がない!!このクソ馬鹿野郎がァア!!!」
バリバリビシャーン‼︎‼︎
落雷のような憤怒の咆哮。
激昂した瞳が僕に突き刺さり、今にも猛獣が喉笛に噛みつきそうな程牙を向く、理性という名の檻を破壊しようと暴れてる。
でも怖くない。
百目鬼さんは僕を心配して言ってる。その証拠に、キレそうな理性を必死に張り詰め、獰猛な猛獣を抑え込もうと眉間にシワを寄せて拳を握りしめる。
守りたかった。帰りたかった。
だけど、百目鬼さんがこんなに必死になって、僕のために歯を食いしばってる。
その気持ちを汲んであげなきゃ、百目鬼さんの気持ちを踏みにじるような気がする。
全力で逃げたのか、微塵も身代わりになろうと思わなかったのかと聞かれたら、正直な答えは、NO。
マキ「ごめんなさい…。今日、よく分かった。…百目鬼さんは…強い…んだって」
百目鬼「お前は分かってない。俺は〝強い〟んじゃない、〝物凄く強い〟んだ。お前みたいな細っこい奴が俺を守ろうなんて、一億年待っても来やしない。
馬鹿なことは二度とすんじゃねぇッ!!」
マキ「……ごめんなさい…」
百目鬼「お前は俺に守られてりゃいい!いちいち出しゃばんな!そんなほっそい腕役にたちゃしねぇんだよ!クソ馬鹿野郎が!!聞かねぇなら、マジで監禁してやるからな!逃げられると思うなよ!!」
捨てられると…思ってた…
今度こそ…面倒くさい、要らないって捨てられる…って…
今回許されたとしても、次は捨てるって叱られるのかと…
百目鬼「チッ。…ふぅー……、…これ以上、俺の心臓を握り潰すような真似するんじゃねぇよ、何度息が止まったか!何度〝俺たち〟に心配かけりゃ気がすむんだ。〝みんなお前を心配してる〟。クソが…生きた心地がしねぇんだよ」
激しい怒りの眼差しで僕を睨みつけたまま、煮えたぎるその瞳の奥には、悲しみが広がってた。
滝本の時は、僕は僕のことで精一杯で、激怒する百目鬼さんの真意を見ることが出来なかった。
百目鬼さんは歯ぎしりしながら呟く…
百目鬼「ッ…クソが、結局…怒鳴っちまったじゃねぇか…」
キレないように、車の中で無言を突き通そうとした。
僕が泣くから、涙を見たら猛獣が暴れだすかもしれないけど、涙を拭ってくれた。
僕を宥めて冷静に話そうと、奏一さんに相談してくれた。
全部、僕を大事にしようと思ってくれてるからだ…。
修二の時にした過ちを繰り返さないため…
それ程までにコントロール不能の怒りの感情が、僕に向いているって…、修二には敵わなくても、爆発寸前の感情が、僕に向いてるってこと…
その怒りは、百目鬼さんの愛情の現れ…
百目鬼さんは僕のこと…
狂うほど愛した2人には及ばなくても、少しは、僕にそういう気持ちがあるんだって自惚れてもいい…かな?
今度は、簡単には手放さないくらいには…
監禁してくれるくらいには…
僕のこと…好きでいてくれてるって…
マキ「…ご…めん…なさい…。もう、しません…」
百目鬼「お前はそう言って平気で破る」
マキ「しない…今度こそ、絶対しない」
百目鬼「本当に本当かよ」
マキ「本当に本当」
どうしよう…。百目鬼さんが僕のこと好きかもしれないって思っただけで、ジワジワしたものが広がって温かいのに、胸がキュゥゥゥッて締め付けられて苦しいよ。
今なら…期待しちゃう…
マキ「…百目鬼さんは、僕のこと大事なんだね…」
唇が震えて聞いた質問の答えは、やっぱり…
百目鬼「ァア¨ッ!?大事だってんだろうが!!話聞いてたか!!ふざけた質問すんな!!犯すぞこの野郎!!」
怒り混じりだった♪…
マキ「ふふっ♪…」
百目鬼「何がおかしい!!」
マキ「ふ…ふふっ…ッ…ぅ…」
百目鬼「はッ!?ぅお!泣くな!!」
マキ「ッ…抱き締めてくれたら信じる…」
百目鬼「ア¨?!信じ…俺が聞いてッ……」
百目鬼さんからしたら、話の辻褄の合わないことだろう、だけど涙目で見上げる僕の瞳を見て、怒鳴ろうとした口を閉じた。
何かを思い出したみたいに…
百目鬼「ぅ…!!。グッ、…あ¨ー!!」
〝涙目の僕の瞳をしっかり見つめ返し〟、ガバッと抱きしめてくれた腕は、僕の背骨が軋むほど強く強く。
ドキドキドキドキ高鳴る心臓は、僕だけじゃなくて、 百目鬼さんの心臓も同じぐらいで、
益々締め付けられて、さらにドキドキドキドキ息苦しくて…
そして僕を包み込んで交わる視線は、ゆっくりと近づいてきて…
瞳には、怒り…恐怖…戸惑い…優しさ…憤り…愛しさ…暴れ狂う己の猛獣を一生懸命押し込めて。
〝百目鬼さんから〟僕の唇に触れ、ぎこちなくて不器用な優しいキスをくれた……
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