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request〜雪哉〜中編④
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烏磨「…凄いですね」
俺の部屋に入った烏磨さんは、台所を見るなり目を丸めた。
俺の台所の調理器具は、用途で分けたりしてて増える一方。新作ケーキを作るためにキッチン用品や調味料がズラリと並んでて。
部屋へ訪れた人間は大抵驚いて見回す。
烏磨「男の一人暮らしにしては整理されてますね」
雪哉「烏磨さん家はもっと綺麗そう」
烏磨「お手伝いさんを雇ってますから」
さすが弁護士、儲かってますってか…。
この人のタラシテクならよりどりみどりだろうに、……今…彼女いないのかな?
烏磨「今はフリーですが、私は高いですよ」
何も聞いてないのにニヤッと意地悪に笑う烏磨さん。
なんなの!いちいちトキメかせんな!
って!俺もトキメくなよ!この人わざとやってるでしょ!
俺何も言ってないじゃん!!
烏魔「ああ、聞きたそうな顔してましたが?」
ヒィイー!!エスパー!!
烏磨「フッ。お手伝いさんが居るというと決まって皆さんそういう下世話な話をしますからね。私、忙しいですし、妥協でお付き合いはしません。無駄な労力ですから」
うわっ、思いっきりからかってきてるかとおもったらサラッと牽制?俺だって選ぶ権利はあるんだからな!そりゃ…、烏磨さんの鋭い目とか意地悪なとことか意外に筋肉質とかドキドキしちゃったけど、俺はガッチリ系で悪っぽいのが好きであって、烏磨さんの綺麗なガリ勉は好みじゃ無いんだからな!
無駄な労力が嫌いならなんで俺のケーキ屋通ったの!認めろよ、美味しかったんだろ?!
ムスッとしたら、鋭い目が細められて鼻で笑われた。
なんだよなんだよ!いちいちカッコよくなんなよ!!その意地悪そうな目で見るなよ!トキメイちゃうだろ!
俺のこと馬鹿にしてるみたいだけど、その馬鹿にしてるホモマゾの家にくっついて来たのはあんただかんな!!
心で喝を唱えても、あの瞳で意地悪に微笑まれるとゾクゾクする。
うぅ…、興奮するな!俺の馬鹿!
間違いは起こらないと釘を刺されたのに、その刺さった釘に興奮する俺って…マジでイタイ子。
雪哉「烏磨さん、ご飯まだですよね?」
烏磨「はい」
雪哉「じゃあ、ご飯と食後にケーキ作りますから、カウンターに座って下さい。ああ、ワインが宜しければすぐ横に置いてるのでお好きなのを開けて下さい。そちらはセルフサービスです。俺は、料理で手が塞がってるので…」
烏磨「…」
烏磨さんは、カウンターキッチン横の8本入りの小さなワインセラーをみて少し驚いて、そしてキッチンでテキパキ動く俺を見て不思議そうに眉を寄せた。
俺は簡単なサラダ系の料理を2品小皿に乗せ、チーズを出して摘んでもらうように言った。カウンターキッチンで俺の作業は丸見えで、俺はアレにコレに忙しいけど、会話するのは慣れたもの。
雪哉「烏磨さん嫌いな食材は?」
烏磨「ない」
雪哉「苦手な味あります?」
烏磨「不味い物」
雪哉「調味料は平気?辛いの酸っぱいの苦いのパクチーみたいなのとかは?」
烏磨「特には…」
雪哉「じゃあ、適当に作るんで、濃い味薄味どっちが好みです?」
烏磨「…丁度いいのがいいんだが…」
雪哉「あはは、1番困るやつだ♪。了解。
そんな不審そうに見ないでよ、食の好みを聞いてるだけじゃないですか。ちゃんとしたもの出しますよ、ずっと神に食べさせてたし、俺、創作料理好きだからいつも作って自分で食べるし」
そう喋りながら、烏磨さんに新しい一皿を出しながら、ほかの2品同時に焼いたり煮込んだり。食後のケーキに使うスポンジを混ぜて型に流したり、忙しい忙しい…
烏磨「…へー」
俺の手慣れた作業に烏磨さんは感心したように唸って、暫く俺を眺めた。
どうしよう…、さっきっから優雅にワインを口にしながら、烏磨さんの熱い視線が注がれてる気がするんですけど…
もしかして、烏磨さんいじめっ子気品なだけでさっきの牽制はツンなだけだったりする?いや、ツンデレはもういいや、神のデレ具合思い出して折角の妄想が萎えそう。ツンナデ(撫で)位がいいなかぁ♪
『変態な貴方も、特技の一つぐらいはあるんですね。ヨシヨシ』
なんちゃってぇえ♪♪
烏磨「…雪哉さん」
雪哉「は、はいッ!」
烏磨「…貴方って人は、思考が顔に出すぎですよ。せっかく素敵で美しい顔なさってたのに、台無しです。せっかくのワインもお料理も不味くなります」
雪哉「す、すすす、すいません!」
だだ漏れ!俺、だだ漏れだよ!!
しかも今美しいとかとんでもねーことサラッと言ってきたよ!もう妄想の種まきのプロだよ!妄想されてもしょうがなくない!?
弁護士先生相手に隠せるとも思えないけど、俺は普通のドMなんだ、マキ様みたいに天使の微笑みで何もかも隠せないし、賢史みたいに駆け引きで表情作ることもできないし!
あーもー!!いちいちこっち見ながら含み笑いすんじゃないよ!俺のM心を擽るな!
あんたが悪いあんたが!
烏磨さんはその後、背筋を綺麗に真っ直ぐ、箸も綺麗に持ち、とても上品に俺の料理を平らげた。
烏磨さんは、ご飯を食べてる時、聞かない限り何も感想を言わなかった。でも、普段あれだけブツブツ辛口なこといってて、料理は美味しくないと食べたくないという事は、美味しかったのかな?と勝手に解釈し、食後のデザートを3種出すと、烏磨さんは、そのケーキをマジマジ見つめた。
雪哉「はい、お待ちかねの新作ケーキと、リクエストのワインに合いそうなケーキを二つね。とりあえず、烏磨さんの細かな好みが分からないから定番系から攻めました。こちらのバニャルスの赤ワインには濃厚チョコケーキと、シベリア風の羊羹ケーキね。羊羹の中にはドライフルーツが入ってます」
烏磨「…フム。ありがとう」
烏磨さんは難しい顔をしたかと思ったら、早速羊羹ケーキから一口くちにして、目を閉じた。
烏磨「…」
雪哉「…」
目を瞑り、羊羹ケーキをゆっくり味わうようにした後、赤ワインを一口。
そして口の中を堪能するようにゆっくり転がして飲み込み、羊羹ケーキの二口目を口に運ぶ。
烏磨「…」
ドキドキ。
烏磨さんは目を瞑ったまま、自分の世界に浸ってるみたい。
烏磨さんなら、合わなかったり不味かったら速攻いうよね?なら、何も言わないって事はお気に召したのかな?
何も言わない烏磨さんをじっと見つめながら、その口が次に何て言うか考えた。
美味しいって言わせたいけど、烏磨さんのあの毒舌で貶されたら、それはそれでイイ鹿本思ってしまって期待する自分がアホらしい。ケーキはちゃんとプライド持ってやってるから貶されたら悔しいのに、あの腹の中で何か考えてそうな悪い顔で罵られるのをゾクゾクしながら待ってる自分がいる。
烏磨「………フフッ」
長い沈黙の末。烏磨さんは目を瞑ったまま、ニヤリと不気味に笑った。
ゾクッ!…
な、な、何いまの?すげー悪い顔して不気味に笑ったけど!!
烏磨さんはゆっくり目を開け、3口目の羊羹ケーキを口にすると、またニヤニヤ笑った。
烏磨「………フフッ」
雪哉「…あの…、どうですか?」
恐る恐る聞くと、烏磨さんは、今まで見た中で1番楽しそうで悪い悪戯を思いついた子供みたいにキラキラした瞳で、凄く凄くワッルーイ顔してニヤついた。
烏磨「まぁまぁですね」
………。烏磨さん…それって美味しいってことでしょうか?目つきの悪い鋭い目の中の黒い瞳がキラキラ輝いて、ニヤリと不気味に笑うその表情。やだ…、悪どくて可愛い…。
ドキドキ。
そのキラキラした瞳を細めて、俺のこと縛って踏みつけて虐めて可愛がってくるないかなぁ……
欲望まみれの俺の想像は、目の前の烏磨さんにお見せできないほど…。俺の頭の中が知れたら、怒って帰ってしまいそうで、必死で表情筋が緩まないように頑張った。
烏磨さんは、淡々とケーキを食べ、口に入れては目を瞑りニヤリとほくそ笑む。
そしてペロリと三つのケーキを平らげ、綺麗に手を合わせてた。
ああ…、終わっちゃった。
早いなぁ、もう、帰っちゃうのか…
烏磨「雪哉さん、ごちそうさまでした」
雪哉「お口に合ったようで安心しました」
烏磨「さて、食事も済みましたので…」
雪哉「…はい」
烏磨「こないだのリベンジさせてください」
雪哉「…は?」
ニッコリ微笑んだ烏磨さんが何を言ってるか分からず聞き返すと、烏磨さんは、仕事用のカバンの中からとても似つかわしくない物を取り出して微笑んだ。
烏磨「こないだの亀甲縛りは失敗だったでしょう?今度はご満足頂けるように勉強してきましたので」
雪哉「 へ!?」
麻縄!?!?
目ん玉溢れるとか心臓飛びぬけるとか頭が沸騰しそうとか、全部経験したことある?
俺、今そうなってる…
素っ頓狂な声が出てパニックな俺にお構いなく。烏磨さんはニコニコ何考えてるか分からない顔して満面の笑み。
この人バカなんじゃないの!?バカなんじゃないの!?まともな自分がグルグルしてる中、マゾな自分はいつの間にヨダレがタリっと…「美味しいシチュ再び♡…」
ッて!俺のバカ!!
パニックな俺はをよそに、烏磨さんは止めとばかりに真剣なマジトーンで、その鋭い瞳をギラリと光らせてこう言った。
烏磨「今日は完璧に縛って差し上げますよ。中途半端は許されません。私は、完璧な勝訴がポリシーなので」
んはぁああああ♡ーー!!!!!
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