アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
request〜雪哉〜後編②
-
雪哉「か、烏磨さん、何でいるの?」
烏磨「何って、ケーキを買いに来ました」
何事もなかったようにニコッと笑う烏磨さん。
そ、そうだよね。ケーキ買いに来る以外用事なんかないよね…。
ユメ「んはぁああ♪イケメンさん!!」
俺の後ろから付いてきてたユメちゃんは、目をハートに輝かせ近づいて、俺の顔を見るなり『任せなさい☆キラリン』と、ウインクしてきた。
ぎゃっ!!バ、バレたぁああ!!
ユメちゃんセンサーは一瞬で想い人を察知!
ユメ「いらっしゃいませぇ!本日はどのケーキをお買い求めでしょう?」
ユメちゃんんん!!その張り切りスマイルやめてぇぇー!何するおつもりですかァア!?
烏磨「今日はお土産用に、プチケーキセットかオススメケーキセットか迷ってます」
ユメ「烏磨さんは、雪哉さんのケーキのファンなんですよね?来週新作出ますから是非また来て下さい」
烏磨「ええ、また来ます。その新作もう一度食べたいですからね」
サラッとまた来る約束させた!!
いや!きっと社交辞令だから!
ユメ「…新作味見されたんですか?美味しいですよね♪私も今試作品4個味見しました♪あの中からボツが出るなんて勿体無い…」
ユメちゃんの何気無い一言に、烏磨さん眼鏡がキラッ!って光って食いついた。
烏磨「四つ?、私は一つしか食べてません…、羨ましい。私も食べてみたいですね」
食いついた!なんか食いしん坊の子供みたいな顔して食いついた!!
本気?それとも、ユメちゃんのトークに合わせた社交辞令?
ソワソワする俺は完全蚊帳の外。
ユメちゃんは、烏磨さんの反応を見て目がキュピーンと光る。まるで獲物を見つけた悪い悪商人のように揉み手でニコニコ。
ユメ「烏磨さん、雪哉さんの試作ケーキを食るココだけの耳寄り情報がありますよ♪」
烏磨「おや、それはどんな方法ですか?是非知りたい」
ユメ「雪哉さんの試作ケーキの試食人になるんですよ♪只今絶賛募集中です」
ユメちゃん斬り込んだぁぁあ!!あの弁護士烏磨さんの鋭い眼差しに臆することなく斬り込んだよ!!ユメちゃん人の話聞いてたのぉぉ?!烏磨さんは男に興味ないんだよ!
ってか、それじゃ俺が烏磨さんのお近づきになりたいのにユメちゃんに話してるみたいじゃん!可能性無いって言われたのにすがってるみたいでヤバくない!?烏磨さんケーキ買いにすら来てくれなくなっちゃうよ!
ユメ「雪哉さんめちゃめちゃ真っ直ぐ尽くすからスッゴイお買い得ですよ」
烏磨「真っ直ぐ尽くす…ねぇ…」
烏磨さんが訝しげな顔して俺を見てきた。
ヒィー!!すいませんすいません!
雪哉「ご、ごめんなさい烏磨さん!
ユメちゃん!烏磨さんが気分を害するようなこと言わないでよ!大人の対応してくれてるんだよ、ほら、中戻って!」
ユメ「えー!」
粘ろうとするユメちゃんをレジに押し込んで、俺は烏磨さんに深々謝った。
雪哉「烏磨さんご迷惑かけてすいません。昨日きっぱり言われたのにこんなこと…。あの!俺の事嫌いでも、ケーキの事は嫌いにならないでください!!」
気分的には土下座する勢いだけど、店の中だし、隅でペコペコ謝るのが精一杯。
だけど烏磨さんは、腕を組んで手で顎を触り、何やら訝しげに眼を細める。
烏磨「…何故そんな話になるんです?」
雪哉「すいません!」
烏磨「なんでもすぐ謝る癖は感心しません。本当に反省してるって信じてもらえなくなりますよ。それと雪哉さん、私は貴方の事、迷惑だとか嫌いだなんて一言も言ってませんよ、ましてやケーキを嫌うなんて勝手に決めないで頂きたい。私は無駄な事は嫌いです」
はえ?
目から鱗。
少しムスッと不機嫌な烏磨さんに睨まれて、俺の口はあんぐり。
烏磨「私は、嫌いなものにワザワザ足を運ぶほど暇じゃない」
雪哉「…あ、はい」
烏磨「こちらのケーキはまぁまぁ気に入ってますし、雪哉さんのパティシエとしての腕も興味深い、まだまだですがね」
雪哉「…まぁまぁって…、毎日いらっしゃってますよね…」
烏磨「オリジナリティ溢れてて、どのお酒に合うか模索中ですので、他のお店にない物が沢山で分析しがいがあるとは感じてます」
褒めてる…んだよね…。烏磨さん…神の知り合いだけあって、素直じゃない人なのかな?
烏磨さんは、なにやら胸ポケットから名刺入れを取り出し、中から1枚抜き出した。
烏磨「私が気に入っているのはこのお店です。ここに比べればまだまだです。このお店は美味しいですよ。連れてって差し上げますから勉強なさっては?」
烏磨さんが見せてきた名刺は、なんと、日本で1番有名なフランス料理店のパティシエの名刺。
海外でも五本の指に入る実力の持ち主で、世界大会で優勝経験もある超大物!。
雪哉「ッッッッッ!!!!」
烏磨「〝絶句〟って顔に書いてありますね。雪哉さーん。フッ、気絶しちゃいました?」
烏磨さんはスクスク笑いながら、意地悪く口角を上げた。
そのカッコいい事カッコいい事。
って!比較対象の次元が凄すぎるよ!
烏磨「顔が赤いですよ。しっかり立って」
雪哉「す、すいまふぇん…」
烏磨「…誤解があるようですから、おバカさんな貴方に分かるように説明して差し上げますね」
雪哉「…ッ…ふぁい…」
烏磨「私がお断りしたのは、貴方の〝お誘い〟に対してです。失礼ですが、まだ知り合って2回お会いしただけ、貴方がどうかは知りませんが、私は相手をよく知らない人間とどうこうなるほど困ってません。私からすれば、貴方の性欲処理に私が利用されました」
雪哉「そ、そんなつもりは!」
烏磨「私の貴方に対する印象は、ハッキリ言って、失恋の穴埋めを探して誰にでも股を開く淫乱な変態」
ゾクゾクッ…
真剣な話なのに、トキメク自分が憎らしい。
そ、そうだよね。俺って、行きずりの相手と毎回そういう事してるやつだと思われても仕方ない事したんだよね…。
言われた事にショックもあるけど、その傷ついた傷口が疼いてゾクゾク快感に変わる。俺って、マジどうしようもない。
烏磨「私の体が目当てなのかと、私のガラスのハートが傷つきましたぁ」
雪哉「……す、すみません」
酔ってたとはいえ、確かに烏磨さんの言う通り、初対面で亀甲縛りを強請って。2回目はシラフにも関わらず、1人で盛り上がってフェラさせてくれとか…、マジ常識無いよね。
烏磨「…ですが。雪哉さんのパティシエとしての貴方に対する印象は違います」
雪哉「ッ!?」
烏磨「こないだの手際を見る限り、パティシエとしての修行以外に、料理の方も修行したんじゃないですか?あらゆる事を一通り学んで、それを生かしているように思いました。ケーキに愛情を注ぎ、研究し勉強熱心で妥協を許さず、真っ直ぐな姿勢、だけど遊び心もあるし、アドリブも効く、作り手として素敵な可能性を秘めてるように感じました」
あっ………。
たった一度、俺の作る姿を見ただけなのに、料理の修行のことや、志しまで感じ取って、そんな風に思ってくれたなんて…。
烏磨さんは味にうるさいだけじゃない、きっと舌の確かな人だ。
毒舌で素直じゃない、そんな烏磨さんが、僕のパティシエとしての腕を褒めてる…
嫌われたと思ってたのに…
どうしよう…、胸が震える…、嬉しい…。
烏磨「プライベートの貴方の事はまだ分かりません。飢えてらっしゃるんだなと思ってますが」
飢えてます。すいません!!
烏磨「パティシエとしての貴方の事は、興味深いですよ」
雪哉「ありがとうございます!」
烏磨「…誤解は解けましたか?」
雪哉「すいません…」
烏磨「すぐに謝らない」
雪哉「ッ…ありがとうございます」
烏磨「よろしい」
手のかかる子って感じなにやら呆れ顔。そんな顔もいいなぁと思ってしまう自分…。
雪哉「あの…、この機会に、俺の方の誤解も解いてはもらえませんか?確かに俺は酔って貴方を、つ、連れ込みましたが、誰彼構わずなんてしません。2回目の時も烏磨さんがリベンジなんて俺の趣味に付き合ってくれたから、ついドキドキしちゃって…。誰でもなんて…そんなんじゃありません…」
烏磨「……では、これから信じさせてくださいよ。貴方がプライベートでも真っ直ぐな方だって」
雪哉「すい…、…ありがとうございます。烏磨さん、改めてお願いしたいんですが、これからは誠実に失礼の無いように努めますので、お友達になってくださいませんか?」
真っ直ぐ烏磨さんを見つめて恐る恐る手を差し出す。
烏磨さんは、手のかかる子供に、よく出来ましたと言いたげな笑いで口元を微笑ませ、俺の手を握り返してくれた。
烏磨「是非、試食役のメンバーにも加えてください。その代わりと言ってはなんですが、またお話は聞くんで」
烏磨さんとまずは、友達になることが出来ました。
邪念を捨てて、まずは仲良くなるところから始めよう。
その鋭い瞳で睨まれたいとか、意地悪なこと言われたいとか、叱ってほしいとか、また縛って踏みつけてほしいとか、できれば激しく抱いてほしいとか、…考えないように。
……ちょっとは意地悪されたいけど…
烏磨「…雪哉さん。心の声がダダ漏れです」
雪哉「え?!マジ!ごめんなさい!」
烏磨「やはり淫乱なんですねぇ」
雪哉「頭の中くらいいいじゃ無いですか、想像の自由を主張します」
烏磨「素直すぎますねぇ、少しは誤魔化したらどうですか?」
雪哉「俺、素直が取り柄なんで」
烏磨「馬鹿正直とも言いますね」
ゾクゾク…
烏磨「この程度で顔を赤らめるんですね」
雪哉「ッ!むぅ…烏磨さんちょっとワザと意地悪言ってませんか?」
獰猛な猛獣が天使の元に巣立って、ちょっぴり寂しかったけど…。
今の俺は、新たな新作ケーキのアイディアに花が咲いてアイディア溢れてる。胸がポカポカ、M心もジンジンキュンキュン、望が有るとか無いとかより、今日からしばらくは…
賑やかな予感に心が弾む…
【〜雪哉〜END】
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
833 / 1004