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16〔裏番外〕ゆくえ……
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ご機嫌なマキが大学に向かい、俺の元には腹筋崩壊しても笑い続ける賢史が残った。
賢史は事務所についてきて、やりたい放題しやがる。
賢史「ギャハハハハハハ!!こいつこんな顔してるくせに玄関でチューしてたんだぜ!チュー!」
檸檬「ウハハハ!マジッすか!超見たかったぁ!!」
想像通り、賢史は俺のことをからかって事務所で檸檬とバカ笑い。唯一の救いは矢田が買い出しでいない事。
二人共…覚えとけよクソが!!
百目鬼「賢史!暇なら帰れ!!」
賢史「ひでーなー、久々の休みに親友のお前と女王様のことを心配して来てやったのに」
百目鬼「たまの休みなら自分のために有効に使え!!」
めいいっぱい睨みつけても、賢史はそんなのお構い無し、事務所の真ん中のソファーにふんぞり返って背もたれに頭を預けて逆さまに俺を見て笑ってる。
賢史「なーんかさぁ、あんな大恋愛見せつけられたら羨ましくなるっていうかぁー。今捕まえられそうなのいないし、雪哉もなんかウキウキしちゃって忙しそうにしてるし、俺だけ余ってるみたいなんだよね。なぁ、どっかにかわい子ちゃんいない?紹介してよ」
百目鬼「し、る、か!!」
人に紹介できるような知り合いはいない、マキと出会う前、ずっと俺にパートナーがいないのを知ってたくせに、何故俺に言ってくる?まさかマキから紹介してもらおうってんじゃないだろうな!?マキの知り合いはほとんど未成年だろうが!!
賢史「あーあ、やっぱ女王様と一発やっとけばよかったなぁ」
ふざけたこと言う賢史の胸ぐらを掴んで至近距離で睨みつけて拳を震わせドスを効かす
百目鬼「歯ぁ食いしばれよ」
賢史「…怖い怖い、マジトーンで睨むなよ」
それでも、リア充が…とか意味のわかんないことぬかしてため息つくから、俺はイラッと思わず吠えた。
百目鬼「てめーが怒らしてんだろ!!」
朝っぱらから事務所に響く声に、檸檬も杏子もいつもの事だとスルーするが、杏子の足元でオモチャで遊んでたキングが驚いてビクッと声のした方を見てた。
賢史はというと、胸ぐら捕まれ目と鼻の先で俺に睨まれながら、若干呆れ気味に口を開く。
賢史「あ〜あ、あんなに協力してやったのに、俺を邪魔者扱いってひでーんじゃない?茉爲宮家から奪還してから酒もろくに付き合わないし、女王様に跨られて毎晩お楽しみってか?」
グッ…。
確かに、マキに手一杯で賢史の誘いを断ることが多かったが…。
百目鬼「…酒は、今度…」
賢史「ほらほらそうやって。今は魔性の女王様の色気に夢中ってか?デレデレしちゃって、出遅れた青春真っ盛り。若い子に盛られまくってんの?、お前に女王様の相手が務まんの?」
百目鬼「下品だぞ!、マキは、お前が思うのとは違う!」
賢史「なんだよ違うって、何々?お前が盛っちゃってんの?誘惑されてるだけだろ?」
百目鬼「ッ…、うるせぇーな、マキは俺のだ!俺が可愛がってんだよ!だから変な想像すんな!想像でも貸さねぇーぞ!」
賢史「…ふーん」
意味深な賢史は、俺のネクタイを掴み、耳元で囁いた。
賢史「だがよ、嫉妬深いお前じゃ、これから毎日毎日そうやってモブどもの思考にも、女王様が無駄に振りまく色気にも嫉妬しまくりだろ。素直じゃねぇ者同士じゃ苦労するし、セックスが相性いいってだけじゃ続かないぜ、神君には、魔性の女王様より、ピュアっ子の方が合ってると思うんだけどなぁ…。本当にあの魔性の女王様がいいんだな?」
百目鬼「散々煽った癖に何言ってんだ」
賢史「煽ったんじゃねぇーさ、俺が貰うって言っただけだろ?」
百目鬼「何度も言ってるが、マキは女王ってキャラじゃない、もっと子供だ」
賢史「恋人にしか見せない顔ってやつか?お熱いこって。ちなみに二人っきりだとどんな感じな訳?」
百目鬼「お前の目が節穴なのがいけないんだろ。誰がわざわざ教えるか。お前にも誰にも一生教えねぇし譲らねぇよ」
下品な何事ばかり聞いてくる賢史に腹が立って、俺の耳元で喋る賢史をギロッと睨みつけたら、賢史は今まで見た事ないような顔をして俺を見てた。
ニヤついてはいるが、柔らかい目差し…
百目鬼「ッ?。なんだよ」
賢史「いや、マキちゃんの事愛しちゃってるなぁって思ってさ」
百目鬼「じゃなきゃ一緒に住む訳ないだろ」
賢史「……即答かよ。たくっ…。…よかったな」
百目鬼「?」
呆れたような、そうじゃないような、よく分からないが賢史は鼻でフッと笑ってから、「よかったな」と俺の肩を叩く。その叩かれた肩に何だか深いものを感じた。
百目鬼「けん…し…」
矢田「ギャァアアア!!!百目鬼さんと賢史さんがキスしてるぅう!!!!」
相変わらずの騒がしい声が響いて、矢田が買い出しから帰ってきた。胸ぐらを掴んでる俺が賢史に覆いかぶさるようにして顔を寄せていたから、矢田からはキスしてるように見えたらしい。
百目鬼「気色悪りぃ事言うなッ!!」
想像して、俺も賢史もゾッとした。
だが、矢田の勘違いは続く…
矢田「安心してください!俺!絶対マキちゃんには言わないっス!!墓場まで持ってきますから!!」
百目鬼「持ってくな!そんな事実は存在しねぇ!見間違いだバカタレ!!」
いつものように騒がしい事務所。
俺が起これば怒るだけ慌ててると勘違いする矢田を言い聞かすのは本当に骨が折れる。
そんなのいつもの事だと気にしない檸檬と杏子。煩いなぁと言いたげなキング。図々しくもお茶頂戴と言う賢史。
いつも通りの日常だが、この騒がしい事務所での仕事をして帰れば、これからは毎日マキが居る。
今日もきっと、大学から帰れば事務所に顔を出すだろう。
これからマキが居るのが日常になる。
俺の普通、マキの普通になっていくんだ。
杏子「無駄なエネルギー使うのもその辺にしたらどうですか?」
矢田「杏子さん!無駄じゃないっス!俺がこれからは口が固いって信じてもらってるところっス!賢史さんと浮気してたなんて口が裂けてもマキちゃんに言いません!」
百目鬼「だから!気色悪い事を言うんじゃねぇ!」
俺と矢田のやり取りに、杏子はいつも通りスルーして話を続けて、一枚の紙を手渡してきた。
杏子「はいはい。百目鬼さん、今朝言われてた姫香さんの連絡先出しときましたよ」
百目鬼「ああ、ありがとう」
杏子「姫香さんを狙ってたストーカーの件でまだ何か?」
百目鬼「いや、犯人はしばらく檻の中だ。安心してくれ」
杏子「よかった」
百目鬼「これはちょっと個人的な用事があってな」
杏子「そうですか、ストーカーの事じゃないなら安心しました」
ホッとした笑顔を浮かべる杏子にお礼を言って、俺は紙切れを持ったまま廊下に出た。
誰もいない廊下で携帯を取り出し、記載された姫香さんの番号に掛ける。
ずっとどうしようか悩んでた事を、姫香さんに協力してもらおうと思ったからだ。
姫香『お久しぶりです百目鬼さん』
百目鬼「突然お電話してすいません、その後お変わりないですか?」
姫香『はい。母もすっかり良くなって、短い時間ですが外に散歩に行けるようになりました。百目鬼さんはお変わりないですか?事務所の皆さんやマキちゃんはお元気ですか?』
百目鬼「ええ、騒がしいくらい元気です。お母様が順調のようで安心しました。今回ご連絡しましたのは、以前お世話になった事でお願いがありまして…」
姫香『お願い?なんでしょう、なんでも言ってください!私でお役に立てるならなんでもしますよ!』
百目鬼「ありがとうございます。そう言って頂けて感謝します。実は、以前姫香さんにご連絡頂いた腕時計の件なんですが…」
姫香『はい!…』
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