アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
19〔裏番外〕ゆくえ……
-
百目鬼「おい、これは一体どういうことだ?」
不機嫌な低い低い声で唸っても、今起こってることは変えられない。
マキは、俺にお迎えの電話をすると約束して出掛けたのに、何故か奏一の車で帰ってきたばかりか、超不機嫌な、むつまでくっついてきた。
むつ「百目鬼ッ!!てめーってやつはッ!!」
マキ「むつくーん♪待って待って♪ストップ!」
むつはすごい剣幕で後部座席から飛び出してきたが、マキがそれをヘラヘラしながら止めていた。
運転席の奏一をチラッと見ると、奏一は呆れたような怒ってるような眼差しで黙ってこっちを見てる。
なんだか、すごく嫌な予感がする。
むつ「待てるかッ!!」
マキ「もぉ、修二と約束したの忘れたの?」
むつ「うっさい!俺は別に喧嘩はしねぇよ!こんなクズ殴ったって手が腐るだけだ!!」
マキ「ふふ♪喧嘩しないなんて、むつ君も少しは大人になったんだねぇ♪」
ヘラヘラしながら、マキはむつの頭をヨシヨシ撫でる。むつは鼻息荒くしながら、褒められたことにまんざらでもなさそうに若干得意げ。
マキ「僕と百目鬼さんはラブラブだから、安心して♪」
むつ「安心できるか!またマキを泣かすに決まってる!」
マキ「もぉその話はやめてよぉ、思い出して僕ちゃんのか弱いハートがズキズキするの♪」
むつ「似てないのに修二の口癖真似すんなよ」
マキ「ありゃ、似てなかった?可愛くできたと思ったのに♪」
むつ「全然似てねぇし、可愛くねぇ。お前のはやる事がいちいちエロいんだよ」
マキ「やん♪むつ君のエッチ♪」
むつ「俺のエロは修二と華南限定だ!」
マキ「ふふふふ♪知ってるよ、むつ君はブレないし二人のこと大事に出来る大人の男になったんだもんね♪」
むつ「まぁな♪」
マキにほだされて、むつの怒りが薄らいでいく、むつって男は本当に単純バカだ…。ブレない?ブレブレだろうが。いつも周りに転がされてやがるじゃねぇーか。
しかし、このくだらないコントをいつまで見せられてなきゃならないんだ?さっさと俺のマキから離れろ!
マキ「じゃ、むつ君、奏一さん送ってくれてありがとうございます♪」
むつ「……本当に大丈夫か?」
マキ「ん?大丈夫って何が?百目鬼さんとはラブラブだよ?なんなら僕らがイチャイチャしてるところ見てく?」
むつ「冗談じゃねー!見たくねぇし!チッ!今日のところは大人しく帰るけど!明日もちゃんと来いよ!いいかマキ」
マキ「はーい♪」
明日も来いだと?明日も行くのか…
不機嫌なむつは、俺に向かって〝あかんべー〟と舌を突き出して車に戻っていく。
一方奏一は、一切俺と言葉を交わさず、マキには優しく笑いかけ「それじゃ」と手を振ってから車を発進させた。
奏一の無言ほど怖いものは無い。
俺、何かしたか?また、三回転半捻ってやらかしてるのか?
一体…修二の家で何が起こった…?。
部屋の中に入ったマキは、真っ先にキングの元に、そしていつも通り、今日の出来事をキングに話してやる。
キングより先に、俺と会話しろ!
百目鬼「さっきのはなんだ?」
マキ「ふふ♪気にしないで、むつ君はちょっと心配症なだけなんだよ♪僕と百目鬼さんが上手くいってるか気になって仕方ないみたい♪毎朝チュー♡するし、こんなにラブラブなのにね♪」
どうやら、俺に話す気は無いらしい。
むつだけならマキの言葉も信じれたが、奏一のあの態度。なんかあったんだろ?また、修二と奏一達には話せて俺には話せないのか?
これでも毎日お前のことを考えて行動してるつもりなんだぞ…。そりゃ、心の狭い嫉妬はするし、大学に着いたら何度もメールさせるし、束縛はしてるがこれでも最低限に絞ってるつもりだし、大学始まったから、夜の回数も減らして、でも不安にならないように毎晩腕枕で寝かしつけてるし。これでも、言葉にも気をつけてるんだぞ…。
お前が怯えてるのは知ってる。でも、何でも言葉にしてくるれなきゃ、俺の悪い所を知ることもできないし直しようがない。
俺には、お前の本音は話せないのか?
百目鬼「その胡散臭い笑い方を止めろ」
思わず低い声が出た。ジリジリする苛立ちは、俺から冷静な判断力を奪っていく。
マキがシュンとして、顔から笑顔が消えた。
マキ「……ごめんなさい。気に障ったならもう笑わないから…、そんな怒らないで」
百目鬼「いや、俺は笑うなとは言ってない、ヘラヘラすんのをやめろってんだ、呼び方も戻ってるぞ」
マキ「…ごめんなさい…神さん」
違うんだ、俺は、そんな顔させたいんじゃ無い…、何か隠して無いかって言いたいだけなんだが…
落ち着け俺、声のトーンを上げろ、口角も上げて、眉間のシワをなるべく作らないように、ミケに話しかけるつもりで…優しく優しく優しく…
百目鬼「……本当に、心配してるだけか?俺がなんかやっちまったなら…」
マキ「心配してくれてるだけだよ、むつは神さんに過剰反応してるだくだよ。ね?そんな僕に気を使わないで、肩の力抜いて♪。僕、お腹すいちゃった♪」
百目鬼「気を使ってるんじゃない、お前を理解したい…」
マキ「……。なら、余計なこと考えたりしないで、僕は神さんと一緒なら…」
百目鬼「余計なことってなんだ?お前の全部が欲しいって俺の気持ちは余計なことか?」
むつにまで…、何か本音を話してるんじゃないか?マキのことでやたらとむつが突っかかってくるし、あいつは修二と付き合いながら、華南とも付き合ってる、もしかしたら、マキのことも狙ってやがるのかも…
マキ「…僕……全部…神さんにあげてるよ?」
聞きたかったのは、そんな言葉じゃない。
苛立ちが視界を黒く染める。
俺の頭の中は嫉妬で真っ黒だ。
腕時計を貰えないことが、この苛立ちに拍車を掛けてる。マキには、何故物に執着するのかと疑問に思っていたが、いざ、自分が気持ちのこもった品を貰えないとなると、マキの気持ちが離れたままな気がして苛立ちと不安で心が荒れる。
さっきまで唱えていた言葉など忘れて、マキの体を壁に押さえつける。
百目鬼「足りない…」
マキ「……」
マキから返事はなくて、苛立った俺の火は、簡単に獰猛な猛獣を刺激する。
百目鬼「お前はそうやって、なんでも隠しちまう」
アルバムを開いて廻るように、マキを知りたい。
マキの過去も、マキの未来も、全部俺のものにしてしまいたい。
アルバムをいくら廻って見ても、置き去りの茉爲宮優絆は手に入らない、なのに、マキの未来も、俺のものにはならないのか?
マキを傷つけたくなくて、いろいろ考えたのに、俺は結局、マキを喰らうことばかりしか出来ない。
マキ「あっ、待って…、シャワー…」
百目鬼「逃がさない」
マキ「あっ、あぁ…、じ…んんっ」
百目鬼「全部寄越せよ。お前の全部俺のものだろ」
マキ「アッ!んふっッッッ!!」
百目鬼「二度と離さない、俺だけ見てろ…」
マキ「ッ!じ…あぁ…神さん…ダメ…あっ、耳元で喋っちゃ…無理っ…ああッ…ふぁあッ…やぁあ…溶けちゃうッ…」
百目鬼「マキ」
マキ「あっ、じ、神さん…神さん…」
監禁したい、一緒に住みたい、マキは俺のものだと口にした分だけ、俺の心はマキを欲して縛り付ける。
それだけでもこんなことになっちまうのに、もしも、マキに〝愛してる〟なんて言った日にゃぁ…、俺はマキをどうしてしまうか恐ろしくてしょうがない。
マキはきっと信じない。
俺に愛されてると言われても、「嘘だ」って言うに決まってる。俺がマキを好きにならないように抗った分だけ、マキは俺の言葉を信じない、俺がマキを一度捨てたから、マキは俺の気持ちを疑う。
今の幸せは夢で…そのうち…
〝いつかまた捨てられちゃう〟って怯えてる。
マキの全部が欲しい…
だけど、俺は、マキに全部を預けてもらえるほどできた人間じゃない…
どんなに獰猛な猛獣を抑えつけ消してしまおうとしても、こうして現れてマキを喰らう…
色白の肌が、目の前で白濁に汚されて横たわる。
最近マキは、前と違って朝まで肌を重ねた行為の後、動けなくなる日が増えた。俺がどんなに優しく扱ってるつもりでも、そうだったのに…、嫉妬に駆られて組み敷いた白い肌は、今日は、たった一回の行為でグッタリと横たわってる。
百目鬼「…マキ…」
無理やり組み敷いて失神させた…
意識のないマキの頬にそっと触れるが、マキは起きない。
百目鬼「…俺は…、また…」
マキが怯えるのも仕方ない……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
852 / 1004