アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
27〔裏番外〕ゆくえ……
-
百目鬼「と、いう訳で。どうも怒らせるみたいだ」
賢史「いやいや、もう、それ惚気以外の何物でも無いから。女王様が可愛くてお前がメロメロってだけの話じゃないか!」
その日は、夕方に仕事終わり、賢史と菫ママの店に向かいながら昨日から今朝にかけての話をしたら、爆笑通り越して怒ってた。
百目鬼「メロメロってなんだ。ふざけてんのか?俺は真剣に悩んでるのに」
賢史「だから!何を悩む必要がある?メチャクチャ愛されてんじゃん、お前も女王様が好きなんだろ?何を悩むんだ?」
こんなに悩んでるのに、悩む必要がないってどういうことだ?
百目鬼「お前が恋愛のエキスパートだっていうから話してるのに、お前もたいしたことないな」
賢史「いや、お前のトリプルアクセルが素晴らしすぎて常人の頭じゃ理解しがたいのを俺が汲み取ってやってるのに、さらなる新境地に踏み込まれちゃ俺もお手上げだ」
百目鬼「意味が分からない」
賢史「それは、俺のセリフだから。喧嘩しなくて済むならしなきゃいいのに、わざわざ喧嘩して波風立ててどうなりたいの?」
どおって、何やってもうまくかみ合わないんだからしょうがないだろ。確かに、もう少し優しいやり方もあるが、それじゃあいつのヘラヘラ笑う下の顔は引き出せない。だから多少荒いやり方も仕方ない。
百目鬼「…もっとあいつの感情を見たい」
それは真面目な気持ちだったのに…
賢史「ごっちそーさまでーす!」
賢史は呆れたと言いたげに叫んで小走りに先に行こうとする。
百目鬼「おい賢史!」
呼び止めたら振り返ったが、賢史はムスッといじけた顔をしていた。
賢史「俺にもかわい子ちゃん紹介しろ!」
賢史が俺の首に右腕を回して首を絞めてきた。
うっ!柔道有段者の刑事がこんなことしていいのか!
「あーーーーーー!!」
どこからか、聞き覚えのある声が響き渡る。
人通りの少ない道をキョロキョロ見渡すと、目の前の曲がり角から、ちっこい獣の様な男がすっ飛んんで来た。
むつ「やっぱりじゃんか!!」
現れたのは、修二の恋人のむつ。
突然のことに、俺も賢史もポカン。
むつ「百目鬼てめー!!マキはお前を信じて疑わなかったのになんてことしてやがんだ!!」
百目鬼「は?」
むつが何を言ってるのか全く理解できない。
まくしたてられ、全く意味不明だ。
百目鬼「何言ってんだ?」
むつ「美人な泣き虫マキを差し置いて、こんなゴツいおっさんと浮気か!?」
百目鬼「浮気ッ?!」
むつ「そうだろ!そこのおっさんとキスしたんだろ!!」
百目鬼「あ¨ッ?!!!」
やっとむつの言ってることを理解して驚いたら、隣にいた賢史は大爆笑。
辺りに響く大声で笑うから、角を曲がった所にある菫ママの従業員までこっちを覗きに来た。
賢史「ギャハハハハハハ!!キモッ!!」
百目鬼「こっちだってキモイわ!!」
お腹抱えて爆笑する賢史を睨みつけ。
むつが俺と賢史を苦い顔して首をかしげて交互に見る。
この話の元凶が誰か分かってるだけに、俺は呆れて仕方がない。
むつ「ちげーのか?」
猪突猛進のむつも、爆笑してキモイとド突き合う俺たちを見て、空気を読んだのか、眉間にシワを寄せながらも不思議そうに首をかしげる。
百目鬼「マキがそれをお前らに相談したのか?だからこないだギャンギャン吠えてたのか?」
むつ「ちげーよ、マキはそんなこと俺に言うわけねぇだろ。こないだ菫ママの店で仕事してたら、お前の事務所のチンピラみたいなやつがこないだポロっと言ってたの聞いたんだよ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!
矢ーぁーー田ーぁーーー!!!!!!!
俺は直ぐにマキの大学にすっ飛んでった。
矢田を懲らしめるより、先にマキだ!!
俺は、自分がいつものスーツにオールバックというヤクザみたいな格好だとすっかり忘れて大学に行っていた。
マキにはメールしたものの、まだ授業中で見れるわけもない。暫く正門前で待ってると、周りは黒い車にスーツにオールバックで鬼の形相の俺を見て見ぬふりして通り過ぎる。
そこへ、モブ取りホイホイと化したマキが、モブ男子に囲まれてやって来た。
男「おい、なんだアレ、ヤベーよヤクザが門の前に…」
マキ「あっ、えっ?神さん」
男「えっ?茉爲宮知り合い?」
マキ「うん♪探偵さんだよ♪顔は怖いけど凄く優しい人だから怖くないよ♪」
男「ッ……」
モブ共がドン引きしてる中、マキは嬉しそうに駆け寄ってきた。
マキ「神さんお迎えに来てくれたの?」
百目鬼「メール入れたんだが、いきなり悪かったな」
マキ「ううん。もしかして、今朝のこと謝りに来たの?」
百目鬼「いや、今朝のことじゃなくて…」
俺は、偶然むつと会って、俺と賢史がキスしてたって話は誤解で矢田が勘違いして騒いだことだからと説明した。マキはキョトンと瞳を瞬かせた後、吹き出して爆笑した。
マキ「アハハハハッ!ウケるぅー!」
百目鬼「…お前のことだから気にしたんだろうと思って」
マキ「神さん可愛い♪そんなこと弁解しに来たの?アハハハハ、そんな賢史さんと、だなんて信じるわけないじゃん♪、可愛いなぁアハハハハ」
大学の正門前で、ヤクザみたいな俺の腕をバシバシ叩いて爆笑しながら、「可愛い」と連呼して腹を抱える。
周りから注目の的で、マキに興味で近づこうとした奴らはもう散ったが、そうでない普通の生徒たちにジロジロ見られて恥ずかしい。
こんなことになったのは、何もかも、あのバカ矢田のせいだ。後で大説教してやる!!
矢田「ギャアーーーー!!!!ごごごごごめんなさい!百目鬼さん!!」
百目鬼「謝って済むなら警察はいらねぇーんだよ!」
矢田「すいやせん!すいやせん!すいやせん!」
気持ちを伝えて、誤解して、喧嘩して、気持ちを伝えて、また誤解して、喧嘩する。
一難去ってはまた一難。
俺とマキは、全く落ち着く様子がない。
いつになったら、穏やかな関係に落ち着いてくれるのやら、全くもってわからない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
860 / 1004