アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
35〔裏番外〕ゆくえ……
-
.
〝マキ、話したいことがあるから大学終わりに迎えに行く〟
俺は運に味方されない。
クジで当たりを引いたことはないし、大事な選択はいつも間違う。いつも何かに邪魔されて、いつも間違った選択をする。
百目鬼「こちらが、お探しの方の調査結果です」
依頼人は、すぐに結果を知りたいと言った。
だからマキにはメールすることにしたが、今の所返事が来て携帯が震えた様子はない。
依頼人にキチンと結果を話しても、大学の終了時間には間に合う。
だが…、鳴らない返事に気が気じゃなくて、さっきっから杏子と檸檬にジッと見られてる。油断すれば、タダでさえ恐ろしい顔の俺は、もっと恐ろしい顔をして客をビビらせちまう。
無事接客の終わった俺は、急いで変装道具を漁った。爽やか系のスポーツマンタイプの服装に着替え、前髪を下ろして少しでもヤクザ臭を消しにかかる。
ーブブブ♪
携帯のバイブ音に飛びつくように携帯を見ると、相手はマキからの返事だった。
〝ごめんなさい。今日は、友達が大事な相談に乗って欲しいって言ってるんだ。百目鬼さんのメールより前に約束しちゃったから、少し時間くれませんか?〟
〝友達?〟友達って誰だ?男か?男だよな?大学の友達か?
普段マキは相手の名前を言ってくる。俺が知らないやつだから友達って言ったのか、それとも相談事だからあえて伏せたのか…、それとも会いたくなくて嘘を…
嫌な考えにブルッと頭を振る。普段ここまであれこれ考えて生活しないから思考回路が焼かれそうだ。
謝る立場の人間が、友達は誰だとか、相手はどんなやつかとか聞くのは流石に良くないだろう。
俺は、待つことしか出来ないのか?。
杏子に貰った休みは、夕方になってもマキに会うことはできない。マキと再会できたのは、夜8時を回ってからだった。
マキ「お待たせしてごめんなさい」
車で迎えに行った俺に、マキは申し訳なさそうにそう言った。
それは待たせたからの表情なのか?
昨日のことで傷ついてるから…
百目鬼「俺こそ悪かった、お前に予定があるのに何度も…、取り敢えず乗ってくれ、話はそれから…」
マキが助手席に座ると、俺はすぐに車を走らせた。駅前の人通りの多いい道では人目と、万が一マキに逃げられた時の足をなくしておきたかった。
少し離れた公園に向かっていると、マキは、両手を膝の上で握りしめ深刻な声を漏らした。
マキ「…神…さん、昨日は、本当にごめんなさい…」
百目鬼「いやっ!待て!謝るのは俺の方だ!」
マキ「えっ?」
ミラー越しに一瞬見たマキの顔は強張ってまだ状況が理解できてない。
百目鬼「頼む、お前の目を見て話したい、だから車を停めるまで待ってくれないか?お前にキチンと謝りたい」
マキ「…話って…」
震える声は、何か良くない話を俺がしようとしてるんじゃないかと怯えてる。
百目鬼「昨日のことを直接謝りたかった」
マキ「……。昨日…は…、僕が…」
百目鬼「待て待て!あと5分!あと5分したら駐車場だから!5分待ってくれ!昨日のは俺が悪い!120%いやっ、200%俺が悪い!!」
公園の駐車場に直行する。街灯があって明るいが、この時間公園の駐車場には俺の車しか停まっていなかった。
百目鬼「マキ」
停車させた車の中で改めて名前を呼ぶが、マキは緊張していて表情がぎこちない。握られた両膝の拳が震えているように見えた。
百目鬼「俺の目を見てくれ」
マキの両膝の手を取って、俯くマキを覗き込む。
マキは不安げな瞳を潤ませ、おずおずと俺を見てくれた。
百目鬼「昨日は俺が悪かった。許してほしい…」
マキ「……修二に何か言われたの?」
百目鬼「違う、修二とは話してない、矢田から話を聞いた」
マキ「矢田さん?」
俺のした誤解をマキが予想出来る訳もない。
俺は一からちゃんと説明した。給湯室に性欲剤があったこと、以前惚れ薬を混ぜられた事を思い出して誤解したこと、修二の家にいると思ったからゆっくりしてもらいたくて帰宅を話さなかったこと…
百目鬼「本当に短気で早とちりばかりしてお前に悲しい思いをさせてすまない」
マキの右手の絆創膏にそっと口づける。
この指は、俺にポトフを作ろうとして傷ついたんだ。
マキ「ッ」
百目鬼「すまん、痛かったか?」
マキがビクッと肩を震わせた、愛しくなって傷に触れたが、傷は昨日のものだ、触ったら痛いんだと反省して唇を離してマキを見つめると。マキは、真っ赤だった。
マキ「…恥ずかしい」
そっぽ向いて恥ずかしがるマキのおでこにおでこで触れて瞳を見つめるが、マキは視線を逸らしたまま…
百目鬼「許してくれるか?」
マキ「僕は…別に…怒ってないよ…」
百目鬼「今朝はお強請りしてこなかった…」
マキ「そ、それは…時間が…」
百目鬼「今も、目が合わない」
目と鼻の先なのに、ジュピター色の瞳が俺を写さない。何かをためらってるような不安げな瞳は、俺の問いかけに答えない。
マキ「そ、そんな近づいてイイ声使わないでよ、ずるい…。怒ってないし、恥ずかしい」
百目鬼「今朝の分、してもいいか?」
マキ「ッ………」
そっぽ向いたままのマキが、恥ずかしそうに小さく頷いて、強く目を瞑る。俺に向かって右のほっぺを突き出した。
だが、俺はマキの顎を持って正面向かせて、マキの望んでたキスをする。
マキ「んん¨ッ!?」
唇が触れた瞬間、マキが目を見開き、暴れて俺を睨みつける。
マキ「違っ!…んぅ……やッ!!バカバカッ!」
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
868 / 1004