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キングの冒険9
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修二とマキは抱き合った後も、マキが修二にベタベタくっついて常に至近距離でやりとりしてた。
それは俺にとってはいつもの光景で、むつが怒り出すまでがワンセットのマキの悪戯。だけど、みみと礼には初めて見るマキの甘えた姿だったり悪戯してる姿だったらしくて、2人でコソコソしたり小突きあったりして、マキと修二が〝できてるんじゃないか〟と、なんだか妄想が凄いことになってるらしい。
一体こいつら何を妄想してるのやら。
俺が大学で見たマキも、礼やみみがコソコソ話してる内容のマキそうだけど、マキはどうやら大学では無口で近寄りがたい優等生みたい。
張り付いたみたいな笑顔でニコニコして大人しいなんて。あんなマキ、全然マキらしくない。
百目鬼の前のマキは表情がクルクル変わる。笑ったり怒ったり、拗ねたり照れたり、すっごい綺麗な顔したり…、時々泣いちゃったり。
そんないろんな表情をするマキを、百目鬼が強面なくせにスゲー優しい目で見つめると、マキは更に嬉しそうに照れて笑うんだ…。
そんで百目鬼は何故か怒り出してマキにチューして、そのまま隠し部屋にマキを連れてっちまう。
まったく、怒るかチューするかどっちかにして欲しいし、直ぐに隠し部屋に連れてくのやめてくれないかな?
修二「マキごめんね、さっき兄貴から電話があって、アルバイトが遅れてくるから代わりにちょこっと入ってって言われたんだ。僕ちゃん仕事するけど、兄貴の店寄ってく?兄貴がマキのことすごく気にしてたよ」
マキ「奏一さんが?」
修二「ふふ、兄貴ってば酔うとマキの話ばっかりなんだよ。よっぽど可愛いんだね、今もマキに会うって言ったら、マキは最近どうだって」
マキ「…」
マキはなんだか複雑な顔して俯いだと思ったら、ちょっとうなじが赤くなってた。
マキは奏一さんが大好きだ。
奏一さんが本当のお兄ちゃんだったら良かったのにといつも言ってるし、このことは百目鬼には内緒だよって2人だけの秘密。
マキは、照れたようにタートルネックを引き上げて口元を隠しながら、可愛らしく首をかしげて振り返り、後ろの2人に話しかけた。
マキ「みみちゃん、礼ちゃん。今日暇なら、ちょこっと電車に乗るんだけど、美味しくてイケメンだらけのお店があるから一緒に来ない?キング一緒に探してくれたお礼に奢らせて」
*******************
奏一「いらっしゃいませ」
お店の入り口で迎えてくれたのは、黒い制服に足元まで間ある長いサロンを巻いた、めっちゃカッコいい奏一さん。
わわっ!仕事着初めて見た!
かっけーなー!!
華南「こんにちは奏一さん」
奏一「悪いね華南、修二借りちゃって」
むつ「こんちわ!奏一さん、マキ来たよ」
むつが、モジモジするマキを奏一さんの前に乱暴に突き出す。
むつはやっぱりガサツだ!
奏一「マキ、いらっしゃい、来てくれたんだね。最近どう?」
仕事モードでキリッとしてた奏一さんが、マキを前に優しい顔に変わった。そして綺麗な指の手が、マキの頭を優しく撫でる。
マキは恥ずかしそうにしながら小声で答えた。
マキ「…あの…、その節はお世話になりました」
マキは、百目鬼にプロポーズされてから、奏一さんと会うのは初めてだから、色々考えちゃってるみたい。俺に何度も「直接会ったらなんて言おう」って言いながら練習してたから…。
奏一さんが小声のマキに近いて、そっと小声で聞いていた。
奏一「うまくいってる?」
マキ「凄く上手くいってます!凄く優しいし、凄く甘やかしてもらってます!凄くラブラブです!だから…」
マキが必死に言葉にした意味を、奏一さんはいとも簡単に汲み取って優しく微笑む。
こういうところ、百目鬼はもっと奏一さんを見習って欲しい。
奏一「あれは、保険というか、誓いみたいなもんだから。そうならないように奴が自分に誓いを立てたかったんだろう、他人を巻き込んで誓うもんじゃないけどね」
マキが百目鬼から逃げたくなったら、奏一さんの所へ逃げろ、そしたら百目鬼を病院送りにしてくれるって言ったこと、ずっとマキは「絶対そんなことにはならないし、させない」って気にしてた。それに、マキと百目鬼が付き合ってることが、奏一さんと百目鬼の仲を悪くしてるんじゃないかとも言ってた。
奏一さんは、マキの言葉から全部察して大丈夫だよって言ってるみたいだった。
一から十まで説明しないと分かり合えないし、誤解して直ぐに怒って怒鳴り散らすどっかの誰かさんとは大違いだ。
奏一「今日は可愛いお客さんを連れてきてくれたんだね」
マキ「キング探しに協力してくれた大学の友達なんだ♪」
奏一「見つかって良かったね。キングもあんまりマキを困らすんじゃないぞ。
さ、お席へご案内しますよ」
怒られちゃった。マキを守りたかったのに…
カッコいくて優しい奏一さんになんだかドキドキ嬉しくなっちゃた俺と、イケメン奏一さんのお出迎えと、マキとの親密なコソコソ話の様子に、声もなく黄色い悲鳴を心で絶叫して礼とみみ。
そんな2人を更にキャーキャー言わせる事態が…。
店に先に入った修二が、制服に着替えて現れた。その姿もまたカッコいいんだけど…
奏一さんの表情が、更に優しくなって修二の頭を優しく撫でる。
奏一「修二、サンキューな」
修二「いいよ、僕が来なかったら兄貴休憩なしで1日ぶっ通すんでしょう?なら読んでくれた方がありがたい」
奏一「頼もしい弟で助かるよ」
修二「もっと頼ってください」
仲良し兄弟の姿を、マキが羨ましそうに見つめてる。そのうっとりとした視線は、なんだか艶かしくて…。女子2人が心の中でキャーキャー言いながら、修二と奏一さんどっちがマキの本命か、もしくは修二と奏一さんは禁断の関係では?とか、コソコソ話してる。
耳がいいのも困りもんだ、なんでも聞こえてきちまう。
むつ「なぁなぁ、お前ら女子はさ、マキとどうやって友達になったの?まさか俺らみたいにマキにエッ…」
華南「むつくんちょっと黙ろうか!」
華南が慌ててむつの口をふさぐと、むつが華南の手を払って怒り出す。
むつ「ッて!なんだよ、気になるじゃん!マキから女の友達なんて初めて聞いたし!ってか、マキって友達いたんだな」
むつの失礼な質問に、マキが爆笑してテーブルを叩いた。あんまり笑うから俺はビクッとなっちゃった。
マキ「あはは♪やっぱむつくん好きだなぁー。確かに女の子の友達は初めてだね」
むつ「だろ?」
マキ「礼ちゃんとみみちゃんは、僕にとって害がないし、物知りだから喋ってても楽しいんだよ」
むつ「害がない?お前つえーし無敵じゃん何されても物ともしないくせに女にビビる奴じゃねーだろ」
マキ「ふふ♪確かに僕は無敵だけど、一つだけ苦手なものがあるんだよね」
むつ「何々?」
マキ「肉食系女子」
むつ「はぁあ?」
むつが意味わからないって顔してる。
俺も良く分からない。
マキ「僕ってほらぁ、自分から行きたいタイプじゃない?だからこられると困るって言うかぁー♪」
むつ「百目鬼はガツガツ来てるだろうが」
華南「むつ!」
むつ「あっ、ごめん」
華南がむつを小突いたけど、すでに遅くて。話を聞いていた礼とみみが目を丸めて興味津々って感じでマキを見てた。
礼「あはっ、うちらのことはお構いなく、どうぞお話続けてください」
礼は、もっと詳しく聞きたいです!と言わんばかりに目をキラキラさせてる。
礼とみみの中では、またマキを奪い合う人が増えたと喜んでるように見えた。
この様子じゃ、礼は、百目鬼が強面の男だって知らないのかな?
マキ「むつ大丈夫だよ、礼ちゃんとみみちゃんは言いふらすようなタイプじゃないし。まぁ、礼ちゃんには中途半端には教えたけど」
むつ「え?半端に教えたってどこまで?百目鬼と一緒に住んでて今度名字が変わるとか?」
礼・みみ「エ¨エ¨ーーッッッ!!!?」
むつ「あっ、ご、ごめん」
華南「あちゃぁー…」
マキ「……」
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