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ー芽生えー4
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百目鬼さんに許可を貰って(もぎ取って)、お茶のできる店のある商店街に向かっていた。
ーピロン♪
〈店に着いたか?〉
神さん…、まだ5分しか経ってないし店にも付いてないよ…。
〝もう少し♪心配しないで♪〟
ーピロン♪
〈無理だ。店ついたら連絡しろ〉
ふふ♪眉間にシワ寄せてるんだろうなぁ♪
可愛い♪
〝大好きだよ♪♪〟
ーピロン♪
〈ふざけんな!〉
そんなやり取りをしてると、後ろでは、優等生タイプのメイちゃんとつよしは気が合うのか、2人で仲良く話をしてて、賢史さんがその2人にちょっかいかけてる。
賢史さんは2人を気に入ってるみたい…。
そんな光景をチラッと後ろに見ながら歩いてたら、商店街に見知った顔が歩いてた。
マキ「あー♪あそこに居るのユリちゃんだぁ♪」
出勤前なのか、シンプルな薄桃色のワンピースにレースが付いた服。化粧もナチュラルメイクの可愛い女の子の格好のユリちゃん。
ユリちゃんは、こちらに気がついて、一旦はニコニコと手を振っていたが、賢史さんの存在に気がつくと、鬼の形相でこっちに走ってきて、賢史さんに怒鳴りつけた。
ユリ「ちょっとあんた!!またつよしと会ってたのね!しかもマキちゃんまで!!」
賢史「あんた、キャバ嬢の格好より今の方が似合ってんじゃん。ナチュラルメイクでもかなり普通に可愛いのな、顔のパーツ綺麗だもんな」
ユリ「ふえッ!?…」
おっとっと、さすが賢史さん。ユリちゃんが出会い頭に言葉の右ストレート入れようとしたら見事にかわされてカウンター喰らっちゃった。
賢史さんの飄々とかわして口説き文句をサラッと言えちゃうところはなかなか。ユリちゃんが女の顔になって真っ赤っかで恥ずかしがってる。ふふ♪
神さんには絶対出来ない事だね。
そして賢史さんは、ユリちゃんが真っ赤なのもおかまいなしに顔を覗き込んでマジマジ真顔で話し続ける。
賢史「やっぱ元が良くないとダメなのかね、俺の知り合い化粧してても化けれてなくてよ。いやぁー、意外と近くで見ても平気なのな、…やっぱお手入れの賜物?それとも外人はこんなもん?」
ユリ「…あ…う…」
賢史「ってか、やっぱそのエメラルドグリーンの目が良いよなぁ、キラキラ宝石みたで、客にもよく言われるだろ」
ユリ「う…まぁ…」
賢史「やっぱ天然もんは違うよなぁ。こんなに綺麗なんだから、弟の目も綺麗だろうに」
ユリ「ちょっ!」
賢史「〝お姉ちゃん〟から言ってやれよ、ボサボサの前髪で隠してないで前髪切って目を出せって、『〝私〟に似て可愛いんだし、中身は男前なんだから将来イケメンになれるから堂々としろ!』とかさ」
ユリ「…」
ツラツラ出てくるクサイ言葉、ユリちゃんを完全に女扱いしてる賢史さんは、真顔で言ってるから見てるこっちが恥ずかしいくらい。そして、見た目を褒め殺した後、つよしについても触れ、ユリちゃんのハートを鷲掴み。
ユリちゃん、完全にノックアウト。
マキ「…今のは、完全に精神的胸キュンドロップキック決まりましたね…」
ユリちゃんが、完全に乙女な顔して恥ずかしがってるよ。
……ふむ。
賢史さんサイドからしたら…、良い出会いな訳だ。
メイちゃんにつよしにユリちゃん…。
ふーん。
賢史さんは恋をしたらどんな男なのかな?
神さんを散々笑ったんだ、今度は賢史さんが神さんに笑われるくらいみっともない恋をすれば良い。
マキ「ふふふ♪」
賢史「なんだ…その含みのある笑い方は…」
マキ「ねぇ、賢史さん、いい出会いはあった?」
賢史「は?…なんだ。紹介してくれんのか?お前が俺を?俺のこと勧められんのか?」
マキ「ふふ♪僕、前言ったよね、賢史さんのこと嫌いじゃないって」
賢史「…」
マキ「まぁ、僕は僕の友達の味方だから、賢史さんは百目鬼さんに味方してもらって」
賢史「…戦力にならねぇだろ。俺をからかってるのか?」
マキ「まさか、賢史さんが本気になるなら、これはからかってることにならないよ」
賢史「……、俺は、モテないわけじゃないんだぞ」
マキ「知ってる。続かないんでしょ」
僕がニコニコ微笑んでるのを、賢史さんは嫌そうに見下ろしてる。
いつもはニヤニヤしてる顔が、警戒するようなどうしようかといった困った顔してて可笑しい。
マキ「ふふ♪、賢史さんが百目鬼さんの味方のように、僕も僕の友達の味方だから、賢史さんが本気になったなら、アドバイスしてあげる。ただし、相手も賢史さんを好きならね」
賢史「…」
マキ「続かないと思ってたら、続くもんも続かないでしょ?」
賢史「お前がそれを言うのか…」
マキ「みんなに、学ばさせてもらったんだもん♪」
この出会いに、何かが始まるかな?
ふふふ♪最近はずっと自分のことで手一杯だったから、ひさびさ楽しみだな♪
ニヤニヤする僕に嫌そうな賢史さん、今まで散々みんなをからかったんだ、今度は賢史さんがからかわれる番だね。
ふふふ♪
それはそれとして、入ったお店でケーキと飲み物を買って、本題を聞いた。
つよしがイジメにあってるって話。
つよしは終始申し訳なさそうに俯いてて、ニコニコ質問する僕に、渋々口を開く。
そもそも、なぜ僕がここまでつよしの面倒を見るのかというと、つよしのキャラを気に入ったのもあるけど。きっかけは、僕の同級生のお気に入りの友達がこの子を可愛がってたから。つよしはビクビクしてて前髪も伸ばしたい放題だから、イジメの対象にされやすかった。それに中学一年生の時から家庭の事情で寮に入っていて、中学生の内から寮に入るのは少数。
そもそも、僕の通ってた神明学園は特殊な学校で、個性の強い生徒が強くて、つよしみたいなビビリは馴染むずらかったろう、そこで、生徒会役員で寮の福長でもあった僕の友達、戀兎(れんと)が、優しいお兄ちゃん肌だったのをかわれて世話係になった。戀兎は、僕の世話係でもあったため、戀兎には「マキもつよしくんに優しくね、いたずらしちゃ駄目だよ」って言い聞かされてた。戀兎は泉より優しいけど、怒らせたら泉より恐い。優しさを絵に描いたような真面目な男で、煩い母親みたいなやつ。
泉が静だったら、戀兎は動だった。僕はこの2人に世話をしてもらって中学時代を過ごしてた。だから、戀兎の頼みだから、つよしの面倒を見てたけど、今は、つよしの芯の強さと、一途な純粋さを気に入ってるから、普通に友達。
今はすごく可愛がりたいから、弟がいたら、こんな感じかなって感じだな。
おずおず話すつよしの話しの内容を聞いて、僕らはその日とりあえず、解散した。
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