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ー芽生えー10
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じゃあ、神さんは?
神さんは、僕が先に死んじゃったらどうするのかな?
やっぱり昔を懐かしんで……
そっちに……
お婆ちゃん「あらマキちゃん、お帰りなさい」
百目鬼事務所に帰り着くと、商店街の駄菓子屋のお婆ちゃんが事務所から下りて来た。
マキ「ただいまー♪」
お婆ちゃん「団子買ったさ、マキちゃんも食べとくれ」
マキ「わーい♪いつもありがとう♪」
お婆ちゃん「お礼さ言うのはババの方だ、マキちゃんがこの商店街に来てから町が明るくなったさ」
マキ「うふふ♪そんなぁ」
お婆ちゃん「駅の側は賑やかだけど、こっちの方は半分はシャッター街さ、それに百目鬼さん達のことも誤解してたしさ、今は商店街のジジババの手助けしてもらってるし、矢田ちゃんはここらの商店街掃除して回ってくれてて、ピカピカさ」
百目鬼さんや事務所のみんなは、商店街の人と関わりを持つようになって、ここ最近じゃ商店街の人が世間話をしに来たり、差し入れくれたりするまでになっていた。忙しい時もあるけど、神さんは、そうゆうのは街の情報収集になるからって、仲良くお話ししてる。今じゃ、ここら辺に住んでる人で、神さんを怖がる人はいない。
神さんの状況は2年前と大きく変わっていた。
ーカラン♪
菫「あら、いらっしゃいマキちゃん♪」
マキ「菫ママこんばんわー」
夜になって、神さんと一緒に菫ママの店にやって来た。今日は忙しくて神さんも疲れてるから菫ママの店で晩御飯を食べようということになった。
百目鬼「俺もいるんだがなぁ」
菫ママ「あら神、いらっしゃい♪」
神さんが僕の後ろから不機嫌に入ってくると、菫ママはニヤニヤしながら挨拶する。
すると店の奥で、僕と百目鬼さんの来店に気がついたお姉様方が、キャピキャピお出迎えしてくれた。
リボン「百目鬼さん、マキちゃんいらっしゃぁーい」
キャサリン「いらっしゃい、仲良しねぇ」
店の中で百目鬼さんと昔から顔見知りのお姉様方は、同棲宣言の時に居たから、僕らを見るなりニヤニヤしてて、神さんはガン無視でカウターに僕と座る。
今日は通常営業中で、お店にはお客さんがいて、お姉様方が接客しておもてなし中。お姉様方の中には、知らない顔の人もいて、菫ママが新しい子が入ったのって話してくれたけど、神さんは興味なさそうに無表情。
僕と神さんは、菫ママの作った本格的な和食定食を美味しく食べて、菫ママが神さんをからかって遊んでいつものように賑やかな時間を過ごした。
ご飯が食べ終わると神さんが大きな手で僕の頭を優しく撫でながら
百目鬼「なんかデザートも食うか?」
って、聞いてきた。
百目鬼さんは、あの日から一週間ずっとこんな感じで、ちょっと困り眉で僕に優しくしてくる。
マキ「ううん、お家帰ろう♪」
神さんが疲れてたから外食にしたから、早く帰って休ませてあげたい。
百目鬼「遠慮すんな」
マキ「してないよ、早く帰ってイチャイチャしよ♪」
百目鬼「おい…」
気を使ってる…、とはちょっと違う気もする。この困り眉の眉間のシワはまだ取れそうにない。
でも、アレが原因だとすると、僕から聞くのは角が立つし…
僕がイチャイチャしよって菫ママの前で言ったから、神さんは菫ママに更にからかわれて不機嫌になりながらお会計をしていると、店の奥で新人のお姉様方が2人、コソコソ神さんを見てキャーキュー言ってた。
「あの人カッコいい」
「さっき連れの綺麗な子にヨシヨシとかしてて可愛かった」
………。
噂話が聞こえてきて、僕は神さんを改めて見た。
菫ママにレジの所でからかわれて怒ってる神さん。
最近は、神さんのこと、怖いっていう人が減ってる。
そりゃそうだ、神さんは前と変わった。
前より断然優しくなったし……
百目鬼「ったく、菫のやつ調子乗りやがって…。
…ほら、マキ、帰るぞ」
僕を見る神さんの表情は、格別に甘いものに変わった。
大きな手を伸ばされて、僕がその手を握ると、今までのように隠すようなことはなくて、僕の手を堂々と引いて握り返してくれる。
「いいなぁ、あんな彼氏欲しいなぁ」
「今の見た、シビアな顔が超優しい顔して男の子の手を引いてった、可愛い」
神さんの変化は、周りに分かるほど確実に現れてる。
本人は未だに認めないけど、もう周りがそう言い始めてる。
百目鬼さんは変わった。
努力がちょっと見えたとかのレベルじゃなくて、自然と変われてるところもあるほどに……
百目鬼「帰りにコンビニ寄っていいか?」
マキ「うん、いいよ」
暗くなった道を、手を繋いで歩く、家のそばではあまりしたくないと言っていたけど、こうして暗い夜道なら手を繋いでくれることもある。
その手のぬくもりが嬉しくて、腕に絡みつきたいけど、家までは我慢。せっかく繋いでくれたんだから、の手を離したくない。
神さんに言われてコンビニに入ったけど、神さんは「ついでだからデザートでも選べ」って僕にデザートを選ばせた。
本当はコンビニに用事なんてないんだ。僕にデザートを買ってあげだったみたい。
もう、神さんを早く休ませてあげたかったのに…
マキ「神さん、帰ったら半分こしようね」
百目鬼「いや、全部お前が食え、俺は少しやる事がある」
眠たそうな顔してるのに、今日も残業?
探偵は仕事がある時とない時の振り幅が激しいなぁ。みみちゃんとこの依頼は別の人がやってるんだよね?
今そんなに忙しいの?
マキ「みみちゃんの話し頼んだから大変になっちゃった?」
百目鬼「!……」
神さんが、僅かに反応した。
でもそれは暗い夜道でハッキリとは分からなかった。
百目鬼「それは関係ない。その話は知り合いが頑張ってくれてるから、お前は心配しなくていい。大丈夫だから。お前は首突っ込むなよ」
マキ「余計なことはしてないよ。みみちゃんもいい探偵さん紹介してもらったって安心してるし」
百目鬼「…友達とその話をするのか」
マキ「うん、こないだ一回目の報告があったからって」
神さんは、僅かに視線をそらして、なんだか気まずそうに一瞬考えたみたいだけど、すぐになんでもない風に釘をさす。
百目鬼「…マキ、その友達に、自分から経過を聞いたりするなよ。この話は、難しい話で、いい報告が聞けるとは限らない」
マキ「…うん」
百目鬼「もしもの結果の時、92歳の年を考えると、ガッカリして体調崩すなんてこともあるしな。そうなってたら、大変だろ?」
……。
真剣な顔の神さん。
そのことを気にしてたの?
それはみみちゃんも分かってるみたいだし、僕も無闇やたらに聞こうなんて思ってないけど…
百目鬼「友達のことは、俺の知り合いと俺がちゃんとやるから、お前はこれ以上首を突っ込むなよ」
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