アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー芽生えー13
-
僕は、
何も心配していなかった。
賢史さんと夜中に会いに行ってた神さんは、朝いつものように僕より先に起きて、僕の大好きなフレンチトーストを作って起こしてくれた。
百目鬼「マキ、起きろ」
大きな手が、優しく僕の頭を撫でながら、猫を撫でるみたいに顎の下を擽って、僕はゴロゴロ喉を鳴らしてその手に甘えながら目をさます。
マキ「んー、寒いよう…、神さんチューして、神さんがキスしてあっためてくれたら起きるぅー」
布団からすぐに出るには気温が寒くなってきた11月。
甘えるように神さんをからかうと、神さんは僕の頭を掴んでイラっとしながら照れるんだ。
百目鬼「ばっ…バカが!学校あんだからおとなしく起きろ!!」
ふふ♪なんて可愛いの♪
昨日はSEXしなかったから、キスだけじゃ止まらねぇーだろって睨んで来られても、僕にとっては可愛いだけなんだけどなぁ♪
ますますムラムラしちゃう♪
百目鬼「…」
頭の中では、ライオンの着ぐるみ着たティーカッププードルが照れ怒りしながらプリプリする様に笑っていたら、神さんが複雑な表情で僕を見ながら、眉間のシワを増やして困り顔になって僕に顔を近づいた。
百目鬼「クソ…」
マキ「え?…ン…」
不満そうに歪んだ表情の神さんが、僕に覆いかぶさって触れるだけのキスをした。重なった唇からは、昨晩のものだろう、お酒の匂いがして。神さんは触れるだけの軽いくちづけをして、僕から逃げるように離れて行く。
百目鬼「…ったく、…これでいいだろ…」
そらされた視線。神さんは吐き捨てるように言いながら、触れた唇の感触を捨てるように、口元を拭って寝室から出て行ってしまった。
ありゃ、朝からからかいすぎたかな?
賢史さんと飲むと、2人とも強いからかなり深酒する。記憶が無くなるまで飲むときは、だいたい賢史さんと飲んだ時だ。
唇から香ったブランデーの匂い。まだお酒が残ってて、制御が効かないと警戒したのかも知れない。
僕的には、朝からシてもいいんだけど、その後気だるい雰囲気の僕が大学に行くのを神さんは凄く嫌がるから、もう刺激しないでおこう。
こんなことを考えていると、なんだか神さんが時々純情少年みたいで笑っちゃうんだよな。
ふふふ♪
おかしいような擽ったいような気持ちでベッドから降りて、僕は顔を洗いに洗面台に向かった。
洗面台に繋がるドアを開けた瞬間、さっきの神さんの唇と同じようにお酒の匂いがして、同時にタバコの匂いや女性物の甘い香水の匂いがして、視線が匂いの元を捉えた。
洗濯籠の中に、神さんのワイシャツ。
神さんの服から、お酒やタバコや香水の匂いがするのは珍しいことじゃない。
菫ママの店に行けば必ずそうなるから。だけどこの日は、その付いて当たり前の香水の香りが気になった。
菫ママの店で働いたことのある僕は、お姉様方がどの香水を好んで付けてるか知ってた。
だから、この嗅ぎ慣れてない匂いが気になって、ワイシャツに鼻を近づけた。
…。
この香り…、ユリちゃんの付けてたのと似てる…。
*********************
礼「本当!マキちゃん飲み会参加!?」
マキ「うん」
飲み会への参加が許可されたと、礼ちゃんとみみちゃんに報告したら、2人はキャッキャ喜んでくれた。
どこの店がいいかって話から、僕がどんな食べ物を好むかって言われたから、好き嫌いしないよって言ったら、何が1番好き?って聞かれたから。悪戯っぽく「神さんの手料理が1番好き♪」って笑顔で答えたら、礼ちゃんとみみちゃんは何を想像したのか、身悶えしながら2人で足をバタつかせて盛り上がってた。
結局。
僕は香水のことが気になり、神さんに昨日の飲みのことを少し聞いてみた。
神さんは、少し驚いた顔をしたけど。僕の聞いたことに答えてくれた。
『昨日は、賢史に付き合わされて…』
そう答えた神さん。
僕は菫ママの店に行ったのかは聞かなかったし、ユリちゃんと会ったのかも聞かなかった。
神さんも聞かれてないことをペラペラ喋るようなことはしない。
いつも通りの、賢史さんにブツブツ文句言う神さん。
ただ、ここ数日続いてる神さんの困ったような瞳が、僕の様子を伺うようだったのが印象的だった。
氷室威「お前ら何やってんの?」
氷室威さんが合流して、みみちゃんと礼ちゃんと僕がキャッキャしてるのを呆れ顏で話しかけてきた。
氷室威「女子高生かと思ったよ」
氷室威さんは、女子の中にいても違和感ない僕に笑いながら、僕の隣に座って肩を抱いてきた。
氷室威「マキ、あんまりこいつらに毒されるなよ」
氷室威さんは、礼ちゃんとみみちゃんが腐女子だと知ってるから、2人から僕を引き離すように「ネタにされるぞ」って、からかって笑う。
まぁ、もう手遅れなんだけどね。
礼「毒されるってなんですか、氷室威さん腐男子な癖に」
え?
礼ちゃんの言葉に驚いてると、氷室威さんが普通に返す。
氷室威「俺は読む専門、現実と繋げて考えたりはしないよ」
氷室威さんが腐男子?
それは初耳。
礼「とか言って、氷室威さんマキちゃんへのボディィータッチ多すぎ」
氷室威「男同士なんだからそんなのいちいち気にしないよ。てか、俺とマキちゃんで想像しちゃう訳?お前ら」
そう言いながら、氷室威さんは悪戯っぽく笑って僕に抱きついて来た。
礼「ちょっ!離れてよ!マキちゃんは氷室威さんのものじゃないんだから!」
氷室威「とかなんとか言いながら、俺とマキちゃんのこと妄想してんだろ」
礼「してません!」
氷室威「あーヤダヤダ、いくらマキが可愛いからって、いかがわしいこと想像するなんて」
僕を挟んで騒ぐ氷室威さんと礼ちゃん。氷室威さんは僕を抱きしめたまま、ヨシヨシするように頭を撫でてますます離れない。
マキ「氷室威さん離して」
氷室威「いやー、マキちゃん抱きごごちいいんだよなぁ」
マキ「氷室威さん頭撫で過ぎ、ボサボサになっちゃう」
氷室威「いやー、マキちゃんって髪の毛サラサラでお肌スベスベで、気持ちいいよね」
この髪も肌も、全部神さんが丁寧に洗ってくれてるからね。
マキ「氷室威さんがセクハラしてくるぅー」
礼「氷室威さん!マキちゃん嫌がってる!」
怒った礼ちゃんにベリッと剥がされて、氷室威さんはやっと僕から離れた。
氷室威さんは、出会った頃から距離が近かった。それは僕にだけって訳じゃなくて、男女関係ないし、僕に下心があるって風でもないからほっといてるけど…。
氷室威「なんだよ礼、嫉妬か?俺に抱きしめてほしかったのか?」
礼「ちょっと!私はそんなこと言ってません!両手広げても飛び込んだりしないからやめて下さい」
氷室威「冗談だよ、礼ちゃん抱きしめるならマキちゃん抱きしめてる方が癒される。礼はもちっと女らしくならないとな」
礼「はぁー?ちょっと!みみちゃん今の聞いた!」
みみ「はいはい…」
今日も、みんな仲良しです。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
934 / 1004