アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー芽生えー15
-
神さんに買ってもらった真っ白なチェストの1番奥から、まだ神さんに見せたことの無い服を引っ張り出し。帽子を被っていざ出陣。
むつの店でマッサージし終わったユリちゃんを尾行した。
ユリちゃんは、珍しくズボンを履いていて、ふわふわの女の子らしい格好はしてなかった。
金髪の長い髪、薄いナチュラルメイク、普段はまつ毛を盛ってるけどそれも無い。どこから見ても女の子という感じではないけど、服はレディースものの細身の物だし、顔は元々綺麗な顔だから、中性的で近くまで行って男だと言われれば男に見えるってくらい。
デートじゃ無いのかな?
ユリちゃんは女の子になりたい人だから、好きな人と会うならそれなりの可愛い格好をすると思うんだけど…。
わざとあんな格好してるようにしか見えない。何かな?女の子の格好でもなくて、素の格好って訳でもないし。
ユリちゃんは電車に乗って移動して、とある駅で降りると、改札前で立ち止まり時計を確認した。
どうやら、待ち合わせはここみたい。
昼は電車の乗車人数が少ない、そうは言っても、改札前は賑やかな街に行き交う人々。仕事中なのか、それともお昼を食べに迷ってるのか。
暫く遠くからユリちゃんを観察していたら、10分くらいして、待ち合わせの相手がやってきた。
ユリちゃんが親しげに手を振って、相手がユリちゃんの元へと歩いていく。
その人影が見えた瞬間。
ゾワッと冷えたきった痛いくらいの感じがして、自分の中で言いようの無い衝撃が走った。
…!?。
…ッ…
……え……っと……。
…ッ…、…嘘………
スーツ姿の大きな背中。
その人は、紛れもなく、間違えようもなく…
僕が間違えるわけも無い…
…神さんだ……。
……。
……。
ユリちゃんのデートの相手…
神さんだったんだ…
……。
うわぁァァー。
ウケるぅーー♪。
ならやっぱり、こないだワイシャツについてた香水…
ユリちゃんの…
えっと…
ってことは…つまり……?
目の前の状況が
テレビを見ているように映ってる。
ニコニコ笑うユリちゃんに、神さんは申し訳なさそうな顔して頭を下げ、ユリちゃんが気にしないでというように笑いながら首を振った。
…神さん、待ち合わせに遅刻でもしたのかな?
2人と僕の間にはかなり距離がある。
ギリギリ表情が見えるくらいだから会話は聞こえない。これ以上近づけば、神さんに勘付かれてしまう。
僕の思考は考えることを止めてしまってて、ただぼーっとテレビ画面を見るように、神さんとユリちゃんが並んでるのを眺めてた。
ユリちゃんの綺麗なエメラルドグリーンの瞳が、キラキラ輝きながら、神さんを見つめてる。
大人の2人は、とても絵になった。
神さんはいつも顰めっ面で、それが通常なのに、遅刻をしたからか、なんだかユリちゃんに気を使ってるような申し訳なさそうな顔して、ユリちゃんに大して低姿勢でいる。
仕事中ならそうゆうこともあるけど、今の神さんはちょっと砕けた表情に近いから、あれは素の反応なんだろうなぁ。
完全な昼ドラじゃん。
婚約者がいるのに美人に目移りしちゃう的な?
ドロドロじゃん。うわー、これって最後にバレて修羅場的な?最近優しかったのも浮気相手がいるのがバレないように取り繕ってる的な?
ふふふ♪
…。
なーんてね♪ふふふ♪
神さんが浮気する訳ないじゃん。
だけど、意外だなぁ…、こんなにショック受けるもんなんだなぁ…。
他人事のように、ロボットの故障を眺めるみたい。ズシリと重たく痛む部分を見下ろして眺めてたら、右手につけていた神さんからもらった青い文字盤の腕時計が目にとまった。
……。
キラキラする青い文字盤の腕時計が、数週間前のプラネタリウムでの出来事を鮮明に思い出させる。
…ふふふ♪
不器用な神さんの癖に、あんなキザな真似して…
馬鹿みたいにかっこ良くて…
神さんは…、言ってくれた…。
僕が産まれたのは、神さんと出会うためだって思わせてくれるって。
…
別に、その言葉を疑ってるんじゃない。
だけど…
神さん大人だから忙しいし、そんなのわかってるけど、もっと一緒にいたい。学校も行きたくて行ってるのに、勉強いっぱいして早く手に職つけて大人になって、神さんの隣に並びたいのに。
早く神さんを癒せるようになりたいのに、僕はまだ大学一年生だし、料理は上手くならないし。
一緒に居られるのは朝と夜だけだし…
付き合いたてに比べれば、今はいっぱいSEXしてるし、神さんからキスしてくれるけど…
神さんのこと疑ってるとかじゃ無い…。
疑ってるんじゃ無いけど…、胸が苦しくなる。
だって最近の神さんは…
すごく優しくてかっこ良くて…
その良さがみんなに分かって貰えるようになって…
それは凄く嬉しい…
嬉しい……
けど…
…けど…
『百目鬼さんってXXXXね………』
みんなが神さんをそう言うたびに胸が苦しくて…
神さんは、元はとても優しくてかっこ良くて…
誰からも恋愛対象に見られなかったけど、今は違う、…凄くモテる。
今の神さんは、みんなから好かれて…
ハッ!!
渦巻く感情に気を取られていたら、神さんとユリちゃんがいつの間にか移動していた。
人混みをキョロキョロ探したら、神さんの背中とユリちゃんの金髪が信号を渡った向こう側にチラリと見えた。
あっ!見失っちゃう!
慌てて柱の陰から飛び出して人混みをかき分ける。だけど信号がチカチカ点滅してる。
これを渡れなかったら見失っちゃう!
尾行の鉄則は目立つ行動はご法度だけど、人の少なくなったチカチカ点滅する目立つ横断歩道にむかって、僕は構わず走った………………………
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
936 / 1004