アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー芽生えー17
-
ユリちゃんに引っ張られる形で、神さんは洋服屋さんに入って行った。
若者向けのお店で、雑誌にも載るようなお店。
店はガラス張りだから、中の2人がよく見えた。
神さんはソワソワ落ち着かない様子で眉間にいっぱいシワを寄せてて。
ユリちゃんはニコニコしながら神さんに何やら話しかけてる。
神さんは暫く考えるようにキョロキョロした後、棚の中の服を指差した。
ユリちゃんはその服を手にして楽しそうに笑った。
……。
マキ「…これは……」
音無しのテレビを見てるようで、眺めてるだけしかできない僕は、神さんとユリちゃんの行動に思わずアテレコ。
ユリ『ねぇねぇ、どれが私に似合うと思う?』
百目鬼『うるさいな、好きなの選べばいいだろ』
ユリ『むぅー』
百目鬼『ッ…、そ、それが良いんじゃないか?』
ユリ『これ?これ私に似合う♪?可愛い?』
嫌々買い物に付き合ってるようで、顰めっ面の神さんはボソッと強烈にデレるんだ。
百目鬼『…ッ…、可愛いんだからなんでも似合うだろ』
きゃー♪
神さんの殺文句♪
聞き方によっては、誤解を生むけど、神さんは僕と買物してる時も、ちゃんと一緒に選んでくれるもんね♪
迷っても時間かけても急かしたりつまんなそうにしないもんね。荷物だって全部持ってくれるし。
神さんってやっぱ良い男♪
むつだったら絶対痺れを切らして、「早くしろ」だの「どれでも良いだろ」って面倒くさそうに言うもん。
華南だったら、エスコートしてくれたり楽しく買物付き合ってくれそうだけど、絶対脱がしやすい服とか選びそう。ふふふ♪
眉間にシワいっぱい寄せた神さんは、周りから見たら不機嫌で、付き合わされてうんざりみたいに見えるんだろうけど、あれでかなり真剣に選んでるんだ。…周りからは神さんの良さは見えなくても、僕は知ってる、神さんは不器用なりに相手のこと考えてて、買物行く時は事前に色々調べて一緒に服選んでくれてるし、見た目は怖くて冷たい態度でも、恥ずかしがってたり真剣だったり、相手のために行動してて…
それが1回転半回って誤解される。
僕は知ってる。
神さんはとっても優しくて…
良い人で…
紳士的な一面を持ってて…
とってもかっこいい…。
これがテレビの中の出来事なら良かったのに。
テレビの中の出来事なら、こんな風にチリチリとした痛みを感じていなくて良いのに、疑いたくもないのに不安を感じて、胸元の羽根籠ネックレスを潰れそうなほど握りしめなくても良いのに。
お店の中では、顰めっ面で困った顔の神さんが、さっきまで嫌々風だったのに、ユリちゃんに隠れていつの間にか真剣に色々見てる。ユリちゃんが別の服に目を取られてる間、神さんは何か気になる物を見てけたのか、同じ場所をチラチラ見て何か選んでるみたい。
ふふふ♪
やっぱり、神さんは可愛いなぁー。
あんなに眉間のシワ作って怖い顔も、心の中では可愛いこと考えてるんだ…
ライオンみたいだけど…ティーカッププードルみたいな心の持ち主。
不器用だけど一生懸命な人。
葛藤を繰り返しても真剣に考える人。
優しくできなくて悩んで、困った顔で頭を撫でる人。
好きな人を好きになり過ぎて嫉妬深くて独占して
愛情たっぷり甘やかしてくれる
幸せな気持ちをくれる人
狂愛をくれる人
可愛い可愛い神さん…
もう…
それを知ってるのは僕だけじゃない…
ユリちゃんと神さんは、その店を出た後、またユリちゃんに引っ張られる形で雑貨屋に入った。神さんも段々慣れたみたいで、今度は普通に(眉間にはシワいっぱいだけど)受け答えしてユリちゃんと一緒に買い物してる。
店を出る時、神さんが先にドアを開けてあげた。神さんは無自覚に、手を取って転ばない様にしてくれたり、車のドアを開けてあげたりできちゃう人。
それを見てユリちゃんが笑った。
きっと、「そんなことできちゃうの」とでも言われたのか、神さんがムスッとしてる。
…可愛いなぁ。ムスッとした神さんはあんまり僕の前ではしないから、見てて可愛いくて仕方ない。賢史さんといる時はよくこんな顔してる。賢史さんがからかってばかりだからね。
僕は神さんに普通のことでからかったりはなかなかできない。対等な大人同士じゃないから、そこらへんは難しい、エッチなことでからかったりは出来るけど、最近は僕に主導権は全く無い。
いつの間にか、僕は、神さん相手に完全に受け身だ。
何もかも晒しちゃったんだから。まぁ、こうなるだろうけど、神さんは、子供の僕の面倒を見てばかりなんだな…。
僕との買い物デートは、ユリちゃんと神さんみたいに様にならない。
素の男の格好のままの僕は、どんなに服装に気をつけても、大学生の枠から出ないから、神さんと一緒に外を歩いてても友達にも見えないし兄弟には歳が離れてて顔は似てないしで、かなり周りから見られる。
女装してれば、多少、神さんの年齢に合わせられるのに…。神さんは女装した僕は好きじゃない…。
ユリちゃんみたいに似合ってないからなぁ…。
マキ「早く大人になりたいなぁ…」
大人になったら、20歳になったら、僕は百目鬼優絆にして貰える。
それに晩酌だって付き合ってあげられるし、それまでには料理だって…
そんな事を考えていたら、神さんとユリちゃんが道端でなんだか揉め出した。
神さんが不機嫌そうなのはいつもだけど、ユリちゃんがなんだか怒った様な顔して話してる。
マキ「あー…、何を揉めてるのかな?きっと神さんがなんか誤解させたんだ。ユリちゃん、神さんを誤解しないであげて」
ドラマを見てるみたいにハラハラしながら2人を見守ることしかできない。
すると、願いが通じたのか、ユリちゃんの表情が拗ねた様にではあるけど和らいだ。
『仕方ないなぁ、許してあげる』ってことなのかな?
あー、会話が聞こえないのって不便だ。もう少し近づこうかな?んー、でもバレちゃうもんなぁ…
神さんのことは行動でなんとなく何してるか分かるけど、ユリちゃんは会う時いつもつよしが一緒だったから、深い話はした事ないし、いまいち考えを予想できない。
仲直りしたらしい2人は、歩き出し、とある店の前で止まった。ユリちゃんがその店を指差すと、神さんが面白いくらい反応して嫌がった。
ユリ『ここ行きたい』
百目鬼『はぁあああ!?!?』
てな感じかな。
ふふふ♪ウケる♪
ユリちゃん、幾ら何でもそれはレベル高すぎでしょ。
いくら優しい神さんでも、流石にその店は無理だよ。
テレビを見てる気分の僕は、物陰に隠れたまま1人お腹を抱えて笑ってた。
ユリちゃんが指差したその店は。
なんとも可愛らしい外観の
ランジェリーショップ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
938 / 1004