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(裏)ー芽生えー3
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マキの奴、何をふざけたことぬかしてんだ!
酔っ払った挙句に無茶苦茶なこと言いだしやがって!
百目鬼「そんなことするわけねーだろ!立て!」
マキ「…」
こんな大勢の冷やかす気満々の連中の前で、餌食になるつもりは無い。
だが、マキは俺の指示に従わずにムスッとして俯いた。
我慢の限界に達した俺がマキの肩を掴むと、賢史がニヤニヤからかってくる。
賢史「キスぐらいしてやりゃーいいじゃん」
百目鬼「ニヤニヤしながらその手に構えてる携帯はなんだ!」
賢史「いやー、ラブラブ記念に写メっとこうと思って」
百目鬼「ざけんな!」
賢史を遠ざけて今度こそ帰ろうとマキ腕を引っ張ったが、マキは拗ねて俯いたママ動こうとしない。
百目鬼「おい!帰るぞ!」
マキ「…」
百目鬼「マキ!」
マキ「……怒ってるのは僕なのに…」
百目鬼「あ?何ブツブツ言ってんだハッキリしろ」
マキ「…」
チッ!
酔っ払いのタチの悪い我儘には付き合いきれない。
百目鬼「我儘もいい加減にしないと置いてくぞ」
軽い脅しのつもりで怒鳴ったら、次の瞬間心臓が飛び出すぐらいギョッとした。
なんと、マキが俺の手を払いのけてその場で表情が崩壊、声もなくボロボロ泣きだした。
「ッッッツツ!!!!????」
驚いたのは俺だけじゃない。
その場にいた賢史も菫もギョッと驚いて、反射的に賢史が上着でマキの顔を隠し俺に詰め寄る。
賢史「おまッ!何やってんだよ」
百目鬼「ッ…」
あまりにびっくりして固まった俺を、菫が脇腹を小突いてマキを連れて店の控え室に引っ込めと小声で叱りつけてきた。
オロオロする俺は、賢史と菫に急かされて、菫の店の控え室にマキを連れ込んだ。
控え室の隅の2人掛けのソファーに座らせたが、マキは泣き止まず。なぜか俺が触るのを嫌がるから、賢史が落ち着かせようと背中を撫でてやってる。
俺はそれを歯軋りしながら見てることしかできなくて、しばらくして菫がホットチョコレートを作って持ってきた。
菫「マキちゃん、落ち着くから飲んで」
マキは、泣きはらした真っ赤な目でホットチョコレートを見つめると、おずおずと手を出して受け取った。
マキの隣に賢史、目の前に菫がひざまづいてマキの視線に合わせて話しかけ、俺はそれを呆然と立ちながら眺めるしかなかった。
暫くして、ホットチョコレートを飲んだマキは落ち着いたのか、涙は止まっていた。
菫「マキちゃん、どうしたの?何かあったの?」
菫は、小さい子を相手にするように優しく話しかけると、マキは瞳をうるうるさせながら拗ねた口調で驚くことを言い出した。
マキ「…僕だっておこってるんだ…」
は?おこってる?何を怒ることがあるんだ?
予定より遅くまで遊んだ挙句に未成年の癖に飲酒した癖に。
菫「何を怒ってるの?」
マキ「…神さんは、僕のこと賢史さんに触らせたくないって言ったけど…」
百目鬼「はぁ?なんだそれ、賢史に触って欲しかったのか!?」
イラついてる俺は、マキの言葉にすぐに反応してしまい、菫にギロッと睨まれた。
菫「あんたは黙ってなさい!」
百目鬼「ッ」
諌められて黙ると、俺の悔しそうな顔に反応して賢史がマキの背中を撫でてることを自慢するかのようにニヤニヤ。
賢史「俺ならいつでも優しくしてやるよ」
俺をからかった賢史だが、マキの次の言葉に俺も賢史も耳を疑って思わずキョトンとした。
マキ「僕だって、賢史さんに嫉妬するもん」
・・・・・・・・・・。
は?
俺も賢史も同時に大きなはてなマークが飛び、その意味を考えて気色悪くて真っ青。
百目鬼「おいおい!何言ってんだ、矢田の言ったこと信じたのか?こいつとなんて冗談じゃない」
賢史「そうだぞ女王様!こんな赤鬼みたいな面した脳みそ小学校低学年みたいなバカとなんて想像しただけでゾッとする!」
百目鬼「小学効低学年だと!?しかも想像するな気色悪い!」
俺らの言い争いを聞いても、マキは悔しそうに拗ねたたように顔を歪めてうるうるした瞳でこっちを見やがる。
マキ「ほら、仲良し…」
百目鬼「仲良しじゃない!」
マキ「それに…、大人だから、一緒に居られる…」
百目鬼「いやいや、賢史とはそんなに一緒に居ないぞ、お前とのほうが一緒にいる時間は長い」
マキ「…危険な時、背中を預けるのは僕じゃなくて賢史さんだ…」
百目鬼「当たり前だろ」
マキ「…僕だって…」
百目鬼「は?何言ってんだ、また自己犠牲発揮してやがるな」
マキ「違うもん!…僕だって百目鬼さんを守りたいもん」
だんだん口調が幼くなってきたマキは、感情的な言葉を投げつけて来て口を尖らせて拗ねる。
それに泣いたせいか酔ってるせいか、赤らんだ頬とうるうるした瞳でキッと睨まれて、俺は場違いにもゾクっと血が滾るのを感じて、顔をしかめた。
睨んだと勘違いしたんだろ、マキの顔が悲しそうに歪んで俯く。
マキ「…もっと…一緒に居たいのに…」
悲しそうにシュンとした声に、心を痛めなきゃいけないのに、俺って奴はマキの心の中の声が聞けたことと落ち込む姿に檻の中の猛獣が首をもたげた。
ッ…クソ!!
百目鬼「休みか?休みはもう少ししたら取れるから」
マキ「…分かってるもん…、お仕事も…大学も必要…、お仕事忙しいのも分かってる…。神さん忙しい中僕の面倒見てくれてるのも分かってる…」
百目鬼「おい、俺は…」
マキ「分かってるけど…もっと一緒に居たいよ…。もっとラブラブしたいよ…。もっと構って欲しいよ…。僕だって神さんに何かしたいよ…」
マキは悲しそうに両手の平を見つめて悔しそうに握りしめる。
マキ「何もできない…。子供だからって遠ざけられて…。危ないことした僕が悪いけど許してくれなくて…お仕事すら手伝えない…」
マキの酔った赤裸々な告白に、菫は悶え、賢史はいやらしくニヤニヤしながら聞いていて、俺はどうしていいか分からない。
こんなに不満だったのか?
俺はマキを苦しめてたのか?
マキ「神さんは優しいけど、毎晩僕を抱きしめてくれるけど…、……僕だって嫉妬する…僕だって神さんを独占したい…」
百目鬼「マ…」
声をかけようと意を決したが、マキはそんなに俺に向かって突進してきて洋服を掴んで怒鳴る。
マキ「僕意外に可愛いとこ見せないでよ!」
ハァア!?!?
マキ「かっこいい神さんも優しい神さんも、それは神さんの良さだからみんなに知ってもらいたいけど、可愛い神さんは僕のものなんだよ!」
百目鬼「馬鹿か!可愛いなんて言うのはお前だけだ」
マキ「神さんは可愛いんだもん!みんなも言ってるもん!僕の可愛い神さんを他の人に見せないでよ!」
百目鬼「ハァアッ!!?」
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