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ケダモノ×お酒とヒツジさん
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【賢史side】
賢史×お酒とヒツジさん
SEXは好きだ。
気持ちいいし、気持ちいいし、勃つんだから出さなきゃ毒だし。
あったかい。
だが…
賢史「寒っ…」
一生一人なんじゃねーかと思ってた親友が、一生側に置いて離したくない相手を見つけた。
賢史「おー、おー、来月はクリスマスですか…、ッてぇー。雪哉の奴、思いっきりひっぱたきやがって…、起こすんならもっと優しく起こせよな、マゾの癖に」
その気持ちは、かなり腹を括ったもので、養子に迎えて籍を入れたいとまで言い出し、その時にはすでに、〝この先の苦労も全部〟覚悟の上だった。
端から聞けば、カッコいいことかもしれない。
だが、そいつにとってどれだけの葛藤と覚悟が必要だったか、俺は知ってる。
ウエイター「いらっしゃいませ」
賢史「ユリちゃん呼んで」
ウエイター「申し訳ありません、ユリはもう上がってしまいまして…」
賢史「さっき連絡したから出してよ」
ウエイター「申し訳ありません」
賢史「おーい!ユリちゃーん!賢史ちゃんが来たよぉー!」
ウエイター「お、お客様…」
ユリ「煩いわよ賢史さん、ベロベロの酔っ払いじゃない」
現れたユリはすでに私服姿。俺を心底嫌そうに見ながら現れ、ウエイターが「追いはらいましょうか?」という言葉を制して「大丈夫だから」ってウエイターを追い払った。
賢史「ユリちゃん見っけ、ボトル入れるか一杯付き合ってよ」
ユリ「こないだ開けたのまだ残ってるでしょ、なんかあったの?私終電なんだけど」
賢史「お、じゃあお家に連れてってよ、おじさんと熱い夜過ごそうよ」
ユリ「絶対嫌よ」
賢史「ちぇーっ…」
ユリ「…賢史さん、ねぇ、どうしたの?」
賢史「最近ご無沙汰ですっげー溜まってんだよねぇー、テヘペロ♪」
ユリ「…最低」
神は、人を遠ざけ、自分を嫌い、一匹狼になりたがった。
人を不幸にする存在だと自分を呪い、いつもトゲトゲ突っ張ってながら、お人好しの馬鹿だった。誰かを助ける癖に、そばには置かない、そいつを不幸にするからだと寄ってくる奴を睨みつけ追い払う。その睨みに臆さず側から離れなかった奴だけが、神の周りに残ってる。
俺も、杏子も、檸檬も、矢田も、雪哉も、ミケも。
神の棘は隙だらけで、ただ吠えりゃあいいと思ってる馬鹿。吠えて人を追い払っては自分が傷ついてるどうしようもねぇ不器用馬鹿だ。
だから守りたかった。
昔守ってもらった恩があるからじゃねぇ。
不器用馬鹿の真ん中にかろうじて残ってる、傷ついた子供みたいな部分を、失わせたくなかった。
自分は猛獣だと思い込んでる馬鹿を、お前は迷子の世間知らずの子供なだけだと。
だが、俺の声は届かない。
あいつが、修二に恋して喰らって食い千切ってしまった時から、あいつの真ん中に俺の声は届かない。
誰も、神を止められない、守れない。
だから、職権乱用、過剰なことだと自覚しながら、あいつの周りを掃除してた。
俺も忙しい。全部は清掃できなくて、あいつがゴミと出くわしちまうこともあるが、そこは自己責任でやってもらおう。自業自得だから仕方ねぇ。
だから、いつものゴミだと思ったんだ。
あいつが魔性なのはすぐに分かった。
淀んだ瞳が何か企んで細められ、甘いトラップを仕掛けてる、あいつの子供のような弱い真ん中を見透かして笑ってると…
だから排除した。
なのにあいつはとっくに骨抜きにされてて、俺を殴って魔性マキ様を連れ戻した。
どうやって化けの皮を剥いでやろうかと思った。
神は馬鹿だから分かってねぇ。
あの子供は恐ろしいものを持ってる。
真っ暗に淀んだ瞳にヘラヘラした笑顔が物語ってるし、あの嫉妬狂いの馬鹿が、あの子を相手にまともでいられる訳ない。嫉妬に狂って過去の過ちを繰り返しかねない。あいつは分かってない。あんな綺麗な面して後ろ暗い過去を引きずった魔性が、自分の手に負える訳ねぇって…
あの馬鹿は、全部抱えるアホだから忠告したのに。
歪んだ顔で苦しそうに悔しそうに泣きそうなクッソ情けない声で争いながら
…側に置きたいと言った…。
拒み続けたはずなのに…、ついに、側に置きたいと口にした。
まぁ、言ってからもグダグダグダグダやってたが。
いつものことだ、あいつは葛藤してない時がない。
そして、本人は気づいてないが、少しづつ、ほんの少しづつ、変わり始めた。
誰が言っても聞く耳持たず、だったのに。
そうなっちまったら、引き剥がすわけにもいかない…。あいつが乗り越えようとしてるのを邪魔したくはねぇ。
(随分友達想いだったのね。ちょっと意外。でも、マキはあなたが思ってるような子じゃないのよ)
分かってねぇからそんな事言えるんだ。
そんな時だった、ゴミが湧いてきて、神の彼女をリンチしようと。
だが、その時魔性のとった行動は、驚くものだった。
『百目鬼さんを守りたい!』
いや、狙われてるのお前だよ?
相手はヤクザと繋がってるよ?
なのに一人で立ち回るなんて馬鹿なの?
ナイフの前に飛び出したことといい、このガキンチョは馬鹿なんじゃないかと思った。
『賢史さんはそうやって、ずっと百目鬼さんを守ってたんだね。百目鬼さんのこと大好きだもんね♪。僕、賢史さんのこと嫌いじゃないよ』
アホだ。
このガキンチョはアホ以外の何物でもない。
俺がお前に何をしたのかも、敵意を向けてることも、忘れちまったんだろ。
(人を見る目があるはずの賢史さんが、随分見誤ったのね。でも本当はわかってるんでしょ?とっくに分かってた、だからケナすんでしょ)
魔性の女王様は、神と同じ大馬鹿野郎だった。
自分を犠牲にして大怪我したのに、そんなのそっちのけで馬鹿みたいに自分のせいだと言い、薬でラリって始めて化けの皮が剥がれたと思ったら、その魔性の胡散臭い面の下は、馬鹿みたいに真っ直ぐな子供が号泣しながら神を守りたいと泣き叫んでた。
そして1番驚いたのは、神がキレて瀧本を殺しにかかったのを、マキが止めた事。
神の中を、どれだけのマキが占めてるのか、あれ程わかりやすい事はない。
だから、最初から無理だったんだ。
神が、マキから離れるなんて。
あいつの中ではとっくに、マキは全てだった。
それに気づいた瞬間、なんか泣けてきた。
(賢史さんが?何で?)
好きで好きでタマラねぇーって、体が、態度が、仕草が、全部がそう言ってるのに。捨てるだの代わりだの別れるだの。
そんでもって、捨てられて当然だの、あの人は優しい人だからだの、苦しめただけだの…
馬鹿共がッ!!
マジで馬鹿だは、大馬鹿だわ、脳みそ腐って濁りきって何も見えてねえガキ共だわ!!
(あなたも同罪じゃない?ワザワザ貶してるけど、好きの裏返し。百目鬼さんが大好きだし、マキちゃんの事も悪く思ってない)
神にとって、マキがどれ程欲しい存在か、俺には分かっちまったし。
マキがどんだけ真っ直ぐ純粋に神を好きなのか分かっちまったし、危なく俺が魔性マキ様に惚れそうになっちまったし!!
(ほらやっぱり。好きなんじゃない)
ちげーよ。こういうの欲しいなぁってくれーだよ。
神がいらねぇってなら拾うけど、もう落とさねぇだろうなぁ、やっぱ1発やっとけばよかった。
(最低)
もうこっちは散々だぜ。
ゲロゲロ。
ヨリ戻させるの大変だし、大変だし。
俺は彼女作る暇も惜しんでSEXろくにできねぇで神の恋愛のために動き回って、やっとこ元に戻ったと思ったら。なんか日に日に魔性マキ様が可愛らしくなって妖力増してっし、神のデレデレ具合は半端ねぇし惚気まくるし、無自覚だし。
(良かったじゃないヨリが戻って)
良かったよ。よかったけどよぉー。
気がついたら、雪哉も相手見つけてっし、修二の所は3人で付き合ってるとかぬかすし、何なんだよ…
マキ様現れてからこっちはろくにSEXも出来てねぇし。
ユリ「そんなんだから相手が出来ないんでしょ」
賢史「あれ?ユリちゃん。なんか柔らかい」
頭上にはユリ。俺は横になり、ユリが顔をのぞかせていた。俺の頭は、何だか柔らかいとこに乗っかってる。
ユリ「私の膝枕、別料金ですからね」
賢史「あれ?俺、追い出されなかった?」
ユリ「何寝ぼけてんの?ずっと話聞いてあげてたじゃない」
賢史「あれ?俺、喋ってた?回想シーンかと思ったよ」
ユリ「喋ってました。友情についてと、可愛い恋人手にした百目鬼さんが羨ましいって話」
賢史「可愛かねぇよ」
ユリ「今さっき惚れてたって言ったじゃない」
賢史「んな訳ねぇだろ。あっ、マキ様のエロボディには惚れてるな」
ユリ「もお」
惚れてはいない。
こう、胸がどくどくいったというかなんつーか、要するに、羨ましいと思ったんだ。ああいうのが欲しいって…
賢史「…」
ユリ「何見てんの?」
賢史「いやぁ、その胸の膨らみは詰め物かなぁ?と」
ユリ「エッチ。最低」
賢史「あはは」
ユリ「百目鬼さんが羨ましいなら、そうやってふざけるの止めたら?」
賢史「ふざけてないさ」
ユリ「怒らせるってわかっててやってる。今だけじゃない、普段から」
賢史「これが俺だ。スケベなおっさん。紳士ぶって騙すよりマシだろ?」
ユリ「百目鬼さんのこと馬鹿だって言うけど、賢史さんも十分馬鹿なんじゃないの?」
賢史「俺は正直なだけさ、エロいおやじで適当で、職業柄べったりはできねぇし、マメに連絡も取れねぇ。だから、デートもないに等しいし、会えばヤってばっかで愛想つかれて長続きしない」
ユリ「賢史さんが真剣に向き合わないからじゃないの?」
賢史「ハハッ、ユリちゃんどうしたの?俺のこと変態スケベ弟に近づくなって言ってたのに」
ユリ「そこに関しては意見は変わりません」
賢史「弟以外は被害にあってもいいってか?何ならユリちゃん相手してよ。俺、上手いよ」
ユリ「フッ。私、男には困ってないし、馬並みの大きいのが好きなの」
賢史「テクがねぇから大きさに頼るんだよ」
ユリ「私は私を大好きな人としかそういうことしたくないの、キャバクラで働いてるからって軽い女だと思わないで」
賢史「あ?俺はあんたの事可愛い女だと思うから口説いてんだぜ、それに、俺は、今の派手化粧ひらひらキラキラ衣装着てるより、薄化粧のこないだのワンピース着た普段のあんたの方が好きだけど?」
ユリ「…」
賢史「おっ、耳まで真っ赤にしてやんの、可愛いねぇ」
ユリ「は、恥ずかしげもなくよくそんな事言えるわね!」
賢史「俺は正直なだけさ」
ユリ「そ、それに、女って、忘れてるんじゃない?私まだ付いてるんだからね」
賢史「だから?」
ユリ「ッ!」
賢史「可愛くなろうと努力してる女の子、だろ?」
ユリ「ッ!!」
賢史「それともただの女装?」
ユリ「…違うけど」
ーヴゥー、ヴゥー、ヴゥー。
ユリ「きゃっ!ビックリした。つよしから電話かかってきちゃったじゃない。賢史さんの無駄口はもうお終い!」
賢史「つよし君?貸して貸して」
ユリ「ちょっ!泥棒!」
ユリから携帯を奪い、ユリの体を動けないように固めて口を塞いでウキウキ受話器を耳に当てた。
賢史「もしもしつよし君?」
つよし『あっ、え?、あっ!。こ、こんばんは賢史さん』
賢史「久しぶりだね、今何してんの?」
つよし『ユ、ユリちゃんの家に泊まりに来てます。か、帰りが遅いので電話しちゃいました。賢史さんといらしたんですね』
賢史「そいそう。ねぇ、つよし君、おじさん今寂しいんだ、今からそっち行って泊まってもいい?」
つよし『え、あっ、は、はい』
ユリ「私は許可してないわよ!」
さすが元男。俺の固め技を解きやがった。
賢史「いいじゃんいいじゃん、仲良く川の字で寝ようよ」
ユリ「お断りよ変態!」
賢史「大丈夫、ユリちゃんにしか手を出さないから」
ユリ「つよしの隣で何しようとしてんのよ!」
賢史「つよし君の隣じゃなきゃいいの?」
ユリ「いい訳ないでしょ!!」
怒ったユリは、俺を凄い力で引っ張って店から放り投げた。
賢史「イテテテ。おじさん寂しいんだよ、慰めて」
ユリ「この酔っ払い!一人でゴミ箱でも抱きしめて眠ってろ!」
賢史「えー、寒くて死んじゃうよ」
ユリ「死にません。むしろ頭を冷やして酔いを覚ませ!」
賢史「ちぇっ」
ユリ「……。酔いが覚めて大人しくしてふざけないって言うなら、あなたのせいで終電逃しちゃったんだしタクシー代出してくれるなら、お茶くらい出すけど?」
賢史「……………」
ユリ「………」
賢史「………タクシー代は、膝枕のお礼にとっといて。でも、お茶は遠慮するよ。羊たちのおうちに狼を招くのは良くない。食われるぜ」
ユリ「…どうしようもない人ね」
賢史「俺は正直なだけさ」
ユリ「ふざけたって乗ってあげない」
賢史「あんたを可愛いと思ってんのも抱きたいなぁと思ってんのも本当だけど?」
ユリ「…、そんな言い方で口説けると思ってないでしょ」
賢史「あはは、ユリちゃんいいね、可愛いねぇ」
ユリ「もぉ、悪酔いしすぎ。百目鬼さんのこと大事にしてるんだって見直したのに、ワザと台無しにして。つよしだってなんだかんだ懐いちゃってるし 。つよしのことも助けてくれたし、ちゃんとしてればちゃんとしてるのに。ふざけて。
明日覚えてないんでしょう」
そう。俺はなんも覚えてなかった。
烏磨に仕事の話をされてた後が曖昧で、気がついたら朝だった。
酷い二日酔いで頭はガンガンして、自分がどうしてカラオケボックスで寝てたのか思い出せない。
んん?何があったの?
俺、ひとりぼっち。
ポツン…
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