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ケダモノ×お酒とヒツジさん
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忽那彩×お酒とヒツジさん
【彩side】
今日も、小日向奏一は、お酒に弱いのに好き放題飲んで無防備に寝てしまう。
いつものように私のマンションで集まり、谷崎と奏一と、今日は修二君も一緒だった。
リビングに山積みの缶、奏一が寝たので客間の布団に運び、弟の修二君が面倒を見ていたが、彼も奏一と一緒に眠りについた。
谷崎「ったく、奏一の奴…今日も修二修二煩かったなぁ、普段は完璧な兄貴なのに、酔って弟にあやされるなんて全くどっちが弟なんだか。酔うと永遠修二の可愛さについて同じことを…俺は千回は同じことを聞いたぞ。…いい加減弟離れすればいいのに」
忽那「…弟離れしたところで、奏一の修二好きは同じだと思いますが…」
谷崎「違いねぇ…。あーあ、さっさとかたずて帰ろう」
私と谷崎はいつものように後片付けをして、谷崎はまた明日と帰って行った。
客間には、敷布団が二枚、ピッタリくっついてる布団に向かい合って奏一と修二が眠ってるが、奏一をあやすように修二が奏一に布団をかけて手を添えた体制のままで眠ってる。
酒に酔った奏一は、いつも「修二修二」とブラコン丸出しで修二に引っ付いてるから、今日も修二が宥めてた。
奏一も修二も、可愛い寝顔で無防備に眠ってる。
奏一が、私の前で甘えてこうなるのは嬉しいことだが、無防備過ぎるのも困りもの。どうも時間が経ちすぎて忘れてしまったのかもしれない。
私が奏一に、告白したということを…
まぁ、仕方ない。
今日は、修二もいたから楽しかったんだろう。
仲良く並んで眠る姿は微笑ましい。
こうして並ぶと、2人は兄弟だと良く解る。
端正な顔立ち、綺麗とまではいかないが母親譲りの童顔で整った顔立ちにそれぞれのパーツもいいからイケメンだし、奏一はキリッとした目元があるからそこまで子供っぽくは見えないが、年齢よりは若く見えてカッコイイ。
その点修二は、兄弟だからパーツは似てるが、性格の優しさが出てる分可愛らしく癒し系の雰囲気がある。
忽那「…寝顔は、2人して子供みたいですね。普段どれだけ気を張ってるのか…、もっと力を抜いたらいいのに…。口を開けてよだれを垂らしてても、修二君が奏一を尊敬する兄貴だと思うことに何の支障もないのに、もう、奏一の癖みたいな物なんですよね…。お酒を飲んだりしないと気を緩められないなんて、頑張り過ぎなんですよ」
無防備な顔。緩んで空いてしまってる口元をそっと閉じてやり、乱れた髪を整える。サラサラの奏一の黒髪は、何度触れても柔らかくて綺麗で、いつまでも撫でていたい。
修二が実家を出てむつと華南と同棲を始めて1年以上たった。
むつと華南は就職組だから職場の付き合いがあり、帰ってこない日もあったり、そいいう日は、奏一が修二を連れて家に来ることがある。
今日もたまたまむつと華南がいないということで、奏一がウキウキ家に連れてきてさっきまで酒盛りして騒いでいたが、今は2人仲良く眠った。
奏一は酔うと、ブマラコン丸出しで、もう19にもなった修二をまるで子ども扱いで撫で回して一緒に寝たがる。修二は毎回そんな奏一の面倒を見てやり、どっちが兄なんだか…。でも仕方ない、修二は素直に甘えるタイプの子ではなく、奏一はそれがもどかしくてずっと悩み苦しんでいた。修二の過去のトラウマもあるが、自分は修二にとって頼りにならない兄貴だと自分を責め続け。そういう心の澱が、心配性や過保護に繋がって奏一をピリピリ張り詰めさせていた。
百目鬼の再来、むつや華南の恋人宣言、あの時は、奏一にとってかなり修羅場だった。ですが、今となっては、どちらも張り詰めた奏一を解放する一歩になった。
特に、むつと華南の存在は、奏一にとって物凄い安心材料の一つになった。まぁ、心配の種でもあるが。奏一自身が、むつと華南がどんな子達なのかよく知っている。だから、何も言えないし、なにより、大好きな修二が2人と一緒にいたいと言うのだから、奏一が止められるわけもない。
もう直ぐ、修二も20歳になる。
奏一の中で、弟心配性の虫が治り弟離れが出来るようになったら、少しずつ意識してもらえるようにしようと思っていた。
だから、意識してもらうために告白したのに…
しかし、修二の友達のマキという子が現れてから、奏一の弟心配性の虫は、マキ君心配性の虫に変わってしまった。
弟離れせざるおえなくて愛情を注ぐ先を無くして寂しがる奏一を私が慰め、ゆっくり空いた隙間に入り込もうとしたが、見事に修二のお友達のマキ君に掻っ攫われた。
今では修二修二と言っていた奏一が、修二とマキがに変わって、ますます奏一の中に入り込めない。
告白もしてしまいましたし、変に警戒されてて前より距離を感じることもしばしば。
入り込んで落とす予定が、未だ警戒されて一歩後ずさったままの状態。
今の状態は、好ましい状態とは言えませんが…
マキを可愛がる奏一は、修二を可愛がってる奏一の時とは少し違う一面を見せていて。
マキ君は、奏一に甘えてくるらしく。それは、修二に甘えてもらえなかった奏一にとって、とても嬉しいことで、マキのことを話す時はとても嬉しそうにいい顔して笑ってデレる。
これがまた可愛くて困る。
どうしたものかと思いながら、結局私は、未だ友達止まりで隣にいる。
先を急いでるつもりはない。
奏一はノンケの上に、男同士に嫌悪を抱いた嫌な思い出がある。弟修二君を傷つけられて、本当は男同士が嫌いだとも言える感情を持ちながら、弟修二君がゲイであると知った時から、その男同士に対する憎悪を捨てて見ないふりして、修二を理解し、ゲイを理解して1番の理解者になりたいと努力してきた。
今は、男同士にかなり寛容で修二の良き理解者だ。
だが、心の整理をつけないまま投げ捨てた過去の嫌な記憶は、奏一の中に鮮明に刻まれたまま。
いつ蓋を開けてしまってもおかしくない。
百目鬼が修二を縛り付けて犯してる現場を見てしまった奏一は、今もパンドラの箱を抱えてる。
修二が幸せにむつと華南と暮らして
あの事件を起こした百目鬼も、性壁に苦しみ、修二を好き過ぎてしまったがためにああなったと知って、アレが、暴力と憎悪の行動ではなかったと知ることが出来て、さらに、百目鬼に今は大切にしたい恋人が出来たと知って少し落ち着いたように見えるが、その相手がマキ君なのは複雑みたいで、パンドラの箱が薄れていきながらも、別の悩みが出来てしまったよう…。
奏一に私を意識してもらい、好きになってもらうには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
急いでるわけではないのだけれど…、現状距離が遠のいたのは、焦る原因ではある。
それに、私は会ったことはないが、そのマキ君、どんな子なのか気になる。奏一から聞く話では、かなり心の闇を抱えながらも人に優しい頑張り屋の可愛らしい子のようだが…
…奏一が騙されてないと祈りたい。
奏一の髪を撫でながら、奏一の心が穏やかでありますようにと祈る。
このまま、奏一が自分の幸せを考えてくれるようになるなら、どんな風に変化しても、例え女性と結婚しようとそれはそれでいい…
このままどうか何事もなく…
修二「ウッ……ッ……」
突然、奏一の隣で眠っていた修二が魘され始め、その呻きは次第に大きく息苦しそう、修二は仕切りに首元を引っ掻くように搔きむしり、尋常じゃない怯えた声で呻いた…
修二「ッ…、嫌っ…、止めて…、い…やだッ…」
悪い夢を見てるにしては、ただ事ではない緊迫した声にすぐに修二の肩を揺らすと、修二はパッと目を開き、キョトンと私を見つめる。
恐る恐る声をかけるが、修二はケロッとしていた。
忽那「修二君、大丈夫ですか?」
修二「……あっ、もしかして僕…魘されてました?」
まるで何事もなかったみたいな顔の修二は、眉を寄せて困ったように笑った。
何があったのか聞いてみると、修二は、時々こうして魘されることがあると言う。夢の内容は覚えてないが、うわごとで言ってるのは、どうも過去のトラウマのことらしい。らしい…というのは、魘されたのを見ていたむつと華南が言うには、監禁されてた時の事で魘されてると言ってて、修二本人は何も覚えてないから…
修二「僕ちゃんは覚えてないからなんともないんです。兄貴には内緒にしといて下さい。余計な心配させるんで」
忽那「…本当に覚えてないんですか?」
修二「はい、本当に何にも。あの時のことは今も鮮明に覚えてるけど。夢に見るっていうのは何も覚えてないんです。覚えてないからなんの害も無いし、僕ちゃん自身は困ってないけど、むつや華南は凄く心配するみたい」
修二は嘘は言ってなさそうで、無理して笑ってるようには見えない。その瞳は正常で、本当になんでも無いといった感じだ。
忽那「…他には、何かある?困ってることとか、悩み事とか、些細な気になる事でも…」
修二「んー、一つだけ…」
驚いた。
修二が私にそう言うとは思わなかった。
修二は、高校生の時、一度も私に頼ろうとしなかった。保健室に休みに来ることはあっても、何があったか話してくれることはなかったし、悩みを打ち明けてくることもなかった。
その修二が、悪夢を見てるらしいと正直に言ったこともそうだが、今何かを打ち明けようとしてくれてることに凄く驚いた。
修二「実は、ずっと平気だと思ってたんですけど、こないだ初めて知って、僕〝赤いネクタイ〟が結べないんです」
忽那「ネクタイではなくて〝赤いネクタイ〟?」
修二「はい、どうも体が反応しちゃうみたいで、あの時繫れてるのに使われてたのが〝赤い首輪〟だったから、体が思い出すみたいで、手が震えて貧血みたいになっちゃって…」
忽那「…他の色のネクタイは平気?」
修二「はい、高校は緑のネクタイだったじゃ無いですか、大学もスーツ着ることあるからネクタイするけど今まで平気だったし、でも、〝赤〟とか〝ワインレッド〟とかはダメみたいで…」
忽那「修二君、試しに私のネクタイを結んでみてくれる?」
自分の持ち物に、ワインレッドのネクタイがあったのを思い出し、修二に手渡したら、修二はその場で結んでくれようとしたが、首にかけてネクタイを交差させようとした手が震えだした。そのあとも結び目を作るところまで行ったが、首元のサイズに合わせて締めるのは無理だった。
修二が顔色が悪くなり、息が上がって呼吸もままならず、苦しそうに俯く。
忽那「修二君、大丈夫?私に寄っ掛かって、深呼吸して」
修二は、私の言ったことに素直に従った。
高校の時は、警戒心丸出しで、差し伸べた手を取ることすらしなかったのに、震える体を私に預けてくれた。
修二「…ッ…、すいません…」
忽那「謝らないで、私が付けさせたんだから。息が出来ないの?」
修二「少し…、後は、思い出して…体が…」
私の腕の中の修二君は、肩を振るせながら顔を赤くした。よく見ると、修二君の体は火照っていて、修二君は下半身を布団の中に隠してもじもじしている。
修二「兄貴には、言わないで下さい…」
忽那「そんな不安そうな顔しないで、私は秘密は守りますよ。話してくれてありがとう。ネクタイ外しますね」
修二は寝巻きのトレーナー姿だったから、ワインレッドのネクタイが、色白の首と胸元にぶら下がってる。修二君のキメの細かい色白の肌に、ワインレッドはよく映えた。
修二君を抱き込むようにして落ち着かせ、ネクタイの結び目をゆっくり解いて首から抜いたら、布が擦れて修二君が小さな吐息を漏らした。
修二「ンッ…」
忽那「もう大丈夫。ネクタイは外れましたよ。ゆっくり息をして」
修二君の背中をさすりながら、震える手を握って落ち着かせる。修二君は握られた手にビクッと驚いた様子だったけど、私の顔を確認して、ゆっくり深呼吸した。
忽那「私が触ってるのは平気?」
修二「アヤちゃんは…平気、手が熱くて驚いただけ」
忽那「あぁ、お酒を飲んでますからね」
修二「アヤちゃんもだいぶ飲んでたけど平気なの?」
忽那「えぇ、ほろ酔い程度ですよ」
フッ優しく笑いかけると、修二は「強いね」って笑った。
修二は高校生の時と随分変わった。
本音を言えるようになったし、周りに頼ることや甘えることも少しづつ覚え、いろんな意味で強くなったし、真実の笑顔で笑うようになった。
むつと華南と付き合いだして、日々お互いの気持ちを育てる3人。
こうして修二がいい方向に変わって綻んでいくと
奏一の変化と綻びにも繋がる。
修二の成長は、奏一の成長に影響して行く。
修二が幸せになれば、奏一も幸せになれる。
パンドラの箱は土に帰り、開かなくなる日もそう遠く無いはず…
奏一「…何してんの?」
修二を抱きしめながら背中を摩っていたら、奏一がムクッと起き上がってこっちを睨んできた。
……これは……、非常にマズイ……
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