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百目鬼神
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1台の黒い車が高速を飛ばしていた。
目的地の看板が残り3Kmを左折と示している。
ダークブルーのスーツを着た派手な頭で小柄な運転手が、後部座席の男に、間も無く目的地ですと告げる。後部座席の金髪オールバックに黒スーツの大柄な男は、持っていたタブレットから視線を上げ、車外の風景を目にした。
運転手「…たしか、来週の移動先は、産まれ故郷でしたよね、百目鬼さん」
運転手がチンピラ風のしやがれ声で喋り、バックミラー越しに後部座席の男、百目鬼を見ながら話しかけると、百目鬼は車外を眺めながら低い声で答える。
百目鬼「ああ、…23になるまでいたかなぁ」
運転手「…会いたい方でもいるんすか?」
ビビりながらも興味津々で聞いてきた運転手に百目鬼が目を向ける。
運転手はチラチラとバックミラーから視線を送ってきていて、百目鬼はニヤリとした。
百目鬼「悪かったな。スケジュールを無理やり変えたりして」
運転手「いえいえ!!全然大丈夫っす!!むしろ、お休みもろくに取らない百目鬼さんが、さらに殺人的スケジュールをこなしたかと思ったら、お休みを取るためだったなんて、皆喜んで協力するっすよ」
運転手「悪いな、ちょっと会いたい奴がいてな。来週の仕事は中日だから向こうに着いたら休んでくれ」
運転手「いえ!お供するっす!」
労いの言葉に、運転手の男は滅相もないと慌て、同行すると敬礼して見せる。
百目鬼「プライベートだから構わなくていい、仕事の時に気張ってくれりゃーいいから」
運転手「…はい、でも、足が必要なら言ってください!」
忠犬のような運転手は、鼻を鳴らしながら右手でガッツポーズを作る。
すると百目鬼から、低い指摘の声が飛んだ。
百目木「おい、今の曲がるんじゃなかったか?」
運転手「え…、あ!し、しまった!」
話に夢中で道を曲がり損なった。
運転手は平謝りしていたが、百目鬼はあまり気にしなかった。
またタブレットに目を落とし、ニヤリと笑う。
運転手「す、すいやせんでした。…それで来週のホテルの滞在は、2週間でよろしいですか?」
百目鬼「ああ、2週間でいい」
後部座席に深く腰掛け、使っていたタブレットを放る。
タブレットには3人の高校生が写り込んだ写真が表示されていた。
学校の帰り道。
商店街で騒いでる集団。
私服でホテルへ入っていく3人。
百目鬼は、その写真を冷たい目で眺める。
(あの頃で止まってるのは俺だけか、俺をそいつの代わりにしたくせに。そいつとくっつくのだけは我慢できない。もう一度、お前がどんな人間かわからせて躾直してやる)
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