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俺たちの選択肢〜修二〜
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中学1年の頃、キスってどんなに味かな?ってむつの唇を見ながら考えていた。
妹の少女漫画をよく読んでるむつが、普通に『蜂蜜だろ』って言って来た時は可笑しくて笑っちゃったけど、今なら本当だなって思う。
好きな人とのキスは、甘い甘い蜜の味…
懐かしい夢を見た。
片思いをしていた中学の頃の夢。
目を開けると、目の前にはむつの顔。
あの頃と同じ、好きな人の隣。
でも今は…
修二「むつ…、起きて朝だよ」
むつ「…ん?…ん〜」
朝の弱いむつは、1度も一発で起きたことがない…、カーテンの隙間から差し込む光を避けるようにモソモソ動いて、僕の膝を探して手を彷徨わせ、膝にたどり着くと二度寝を始める。むつに言ったら怒られるけど、僕ちゃんはこの小動物みたいになってるむつが可愛くて、昔からこの時間が大好きだ。
朝日に照らされてキラキラする髪は、乾かさないで寝たもんだから寝癖で爆発。何度撫でても元には戻らない。
むつの髪からは時々いい匂いがする。適当なむつは、妹のシャンプーとリンスを使うことがあって、たまに甘い香りになる。
姉の紬さんがいた頃はそのことでよく喧嘩してた。
修二「ふふ…」
むつ「…に?…笑ってんの?」
眠そうなむつが、眉間にシワを寄せて片目でこっちを睨んできた。
修二「また、シャンプー間違えたね」
むつ「…お前だって使ってんじゃん」
僕ちゃんの撫でる手にすり寄って、そのままお腹にグリグリと顔を埋めるむつは、大きな欠伸をして猫みたいに丸まる。
毎度泊まった時のお決まりの流れに、今は昔のように胸は痛まない。
片思いの間は、嬉しくてそして辛い時間だった。今は…むつの可愛い仕草に、我慢しなくていいのかと思うと、嬉しさと恥ずかしさでいっぱいだ。
僕ちゃんはお腹に巻き付いて顔を埋めるむつの髪を撫でながら、髪にキスを落とす。
むつ「……するとこ違くねぇ?」
ゴロッと上を向いて、僕ちゃんを見上げたむつは、眠そうな目をしてるくせにいたずらっぽくニヤリと笑って自分の唇に人差し指を当てる。
むつ「チューはコッチ」
僕ちゃんは頬が熱くなるのを感じながら、むつと唇を重ねた。
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学校には、イライラと焦れた華南が待ち構えていた。
華南は、僕ちゃんが百目鬼さんと会っているのに気づいてしまったようで、僕ちゃんと話しをしようとしているみたい。
優しい華南は、僕ちゃんがむつから離れないから、話を切り出せなくて昨日からイライラしてる。
百目鬼さんと会うのは、昨日で3回目。
2回目と3回目の場所は僕ちゃんが決め、車には乗らないようにして、1回目のような事にはなってない。
普通にお茶してお喋りしてお終い。
本当は、2回目に会った時全部終わりにしてもらおうと思った。電話やメールでどうにかなる相手じゃないから…。でも百目鬼さんは終りにするつもりはなくて、2回目も揺するネタを用意して、また会う事を約束させられた。
3回目には、何故かむつの女装写真を持っていた。しかも、その中の1枚は陣地内から撮られたカメラ目線…に見えた。誰かから脅してとったか?それとも撮るように脅していたか?…。でも至近距離でむつにカメラを向けられる人間はそういない…。
百目鬼さんに「むつと華南を嗅ぎ回るならもう会わない」と告げると、「掛けに負けたんだから、2週間はキッチリ相手してもらうぞ、お前が約束破って『会わない』って言いやがるからこうなるんだろ?」と、相変わらず自己中ぶり。何度会ったって僕の気持ちは傾いたりしないのに。
むつと華南が僕の体に触れる間はきっと大丈夫…。
むつは正直だから、義理で付き合ったり、セックスはしないし出来ない。
華南はそこらへんはできるだろうけど、優しい華南は浮気みたいな理不尽なことはしないから、気持ちが無くなったらそう言ってくれる。
2人を疑ってるとかじゃない、信じられないんじゃなくて、ただ…覚悟しておかないと、その後が怖いだけ。
百目鬼さんも吉良さんも言っていた。どんなにあがいても僕らは学生だ。学生の世界観は狭い、僕らにとってはそれが全てだけど、大人たちからしたら、小ちゃな世界だ。特に僕らは男子高、共学より、さらに偏った世界にいる。だから、きっと卒業したら、嫌でも何もかも変わっていく…、むつと華南の考えが変わっても、それは自然なこと、僕はそれを知ってるだけ…。
ただ…、卒業するまでは…、2人が僕の体に触れて来る間は…、大丈夫な気がする…。
百目鬼さんの出現は、僕が先送りにしていた問題を考える時間を与えた。華南やむつが僕と別れる気が無いと言ってもらえるチャンスをくれた。
…むつが屋上で言ってたことも、今度ちゃんと聞いてみようと思う。
だから…、百目鬼さん…、もうやめよう、確かにあなたのことは心にこびりついていて、きっとこれからも忘れることはない。ゲイである自分を受け入れるきっかけを作ってくれたあなたを好きになれたらと思ったこともある…、でも、結局むつの存在を消すことはもっと出来なかった。この先、むつと華南と別れることがあっても、きっと、百目鬼さんとの過去が消えない以上に、むつと華南との記憶は綺麗に心に残る。
むつ「…食べねぇーの?」
放課後、むつと華南と二駅先のワッフル屋に来ていた。華南は面接に行き、僕ちゃんは女子だらけのワッフル屋に並んでテイクアウトしたワッフルを、むつと食べていた。
昨日百目鬼さんと来たワッフル屋、少しボーッとしていたら、むつがクリームのついた顔で僕ちゃんを覗き込んだ。
修二「うはっ、クリーム付いてるよ」
むつ「ん?」
ペロッと舌で口周りを舐めたむつ、全然取れてないから…、華南がいたら絶対妄想して喜んだろうな…。
むつ「取れた?」
修二「ほっぺに付いてるよ」
むつ「おっ」
むつが指でクリーム拭ってその指を口に咥えた。このあと、服で指を拭くだろうから、僕ちゃんは鞄からハンカチを出して、むつの手を拭いて、ほっぺも軽く拭いてやる。
すると、むつの耳が赤くなったのに気づいて、僕はパッと手を離した。
むつはほんのり赤い顔で、ワッフルを食べ始める。
え?何?照れたの?やめてよ、何か恥ずかしくなってきたじゃん!?
別に少女漫画みたいにほっぺ舐めたり、指舐めたりしたんじゃないんだから、可愛い反応しないでよ!
むつ「…なんか…、デートみたいだな…」
うえーー!?
ダメダメ!金髪のやんちゃっ子が頬染めてそんなこと言っちゃダメでしょ!
僕ちゃん考えないようにしてたのに!せっかく考えないようにしてたのに!
むつ「修二の一口くれよ」
修二「ぅ…うん」
かな〜ん!早く帰ってきて!!
やっぱ無理!!今のむつと2人は無理だから!!
僕ちゃん旅行も海も無理そうだよ!むつと今まで出かけても商店街ブラブラ程度だったのになんでいきなり旅行なんて言い出したんだろう…、確かに高校3年だから、卒業旅行てきなアレだろうけど、僕ちゃんにはハードルが高い…。
最近どんどんむつが可愛く見えてきてて、そんなこと本人には言えないけど…、こないだのホテルで話し合ったあたりから、むつがなんか色々可愛いんですよ…。何が?って言われると困るけど、とにかく色々可愛いんですよ!
むつ「あっ、華南戻ってきた」
華南「ずりー、なに2人でイチャイチャしてんだよぉ」
修二「華南お帰り!是非間に座ってください!」
華南「え?」
むつ「なんでだよ!」
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