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俺たちの秘密〜むつ〜
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チンピラみたいな男が後部座席のドアを開けると、ラフな格好に帽子を被った百目鬼さんが車から降りて来た。
やっぱ…デカイ。
2mあんじゃねぇの?
俺がまじまじ見上げていると、百目鬼さんはポケットから煙草を出す。するとチンピラみたいな男がすかさず火をつけたが、それをスッと手で制して自らジッポで煙草に火をつけた。
うお、カッケー。
ってか、チンピラ男はマジ下っ端?ってかチンピラ男がスーツで、百目鬼さんはラフな格好って、チグハグじゃね?車も黒の高級っぽいやつだし…
百目鬼「すまなかったね」
むつ「え?」
百目鬼「矢田が抜けてるばっかりに友達に怪我をさせた…、あー、ちなみに友達を襲ったやつに仕返しは考えない方がいいよ」
むつ「ヤバイ奴ら…なんデスか?」
俺がそれでもヤる。と鋭い目を向けると、百目鬼さんはフッと口角を上げた。
百目木「まぁ、それもあるけど。別件で間も無く逮捕される」
むつ「え!?そうなんすか?」
百目鬼「…君は俺の言ってること信じる?」
むつ「はい…え?嘘なんス…デスか?」
百目鬼「本当だよ。ただ修二が信じてくれなくてね、今修二に怒られた」
むつ「修二?修二に会ったんっスか?!」
百目鬼「電話が来たんだ。これから会う」
むつ「ちょっとごめんなさい」
俺は慌てて修二に電話したが、今度は圏外で繋がらない。
百目鬼「電車に乗ってるんじゃないかな?待ち合わせ場所に向かうために」
むつ「俺、修二を探してるんデス。俺も一緒に行っていいっスか?!ッと…いいデスか?」
危ない危ない。朱雀の元右腕に生い言葉で話しかけちまった…気をつけなきゃ…。
百目鬼「……一緒に?」
むつ「駄目…デスか?」
百目鬼「…一つ、お願いを聞いてくれるならイイよ」
百目鬼は咥えてる煙草を深く吸い込んで煙を吐くと、ポケットから携帯を取り出す。
むつ「お願い?」
百目鬼「…修二がね、華南君が怪我をしたのは俺のせいだと思って怒ってるんだ。だから一緒に誤解を解いて欲しい」
むつ「え?百目鬼さんを?…何でだ?」
華南とは、ちょっとしか話せなかったから詳しくは分からないけど、襲ってきたのは緑頭で、助けてくれた人がいるって言ってたし、多分チンピラ風の男、矢田?って奴が助けて救急車呼んだのは間違えなさそうだし、ってか、矢田?さんが加害者か疑うのは分かるぜ?見た目どう見てもチンピラだし。でも、この話しの流れを修二は知らない…、トイレ行って聞いてなかったし、じゃあなんで百目鬼さんが犯人だって答えになるんだ?
俺はよく分からないけど、とにかく修二の誤解を解くべく、百目鬼さんに同行することにした。
百目鬼「むつ君、車の中は携帯の電源OFFでお願いするよ。うちの矢田は補聴器つけてるんだ。事故ったら困るだろう?」
むつ「はい」
矢田「…」
俺は携帯の電源を切って百目鬼さんの高級車に乗り込む。
すっっげー、後部座席ふっかふか!
広いし、なんかいい匂いがする。
百目鬼さんが待ち合わせに選んでいたのは、駅近くのビジネスホテル。
やっぱビジネスホテルはラブホなんかと違って、スッキリと高級感がある。ドアを開けると、左に風呂場と洗面台のドア、右にクローゼットとゆう通路を抜けて、正面に大きな窓、25階という高さは午前中の明るい空でも眺めはバツグン。
むつ「うわっ、たっけー…」
窓が足元まであるから空に立ってるみたいな感覚に少しはしゃいでしまい、百目鬼さんに笑われた。
チンピラ風の矢田さんは、ホテルに入ることは無く、車で仕事に向かったとかで、今は百目鬼さんと2人きり。
百目鬼「珈琲飲める?」
百目鬼さんがインスタントの珈琲を作ってくれて、修二を待つ間2人で飲みながら、少し話をした。
百目鬼「……聞きたいんだけど」
珈琲カップを置いて話出し、改まった様子に俺もカップをテーブルに戻す。
むつ「はい」
百目鬼「むつ君と修二はどうして付き合うことになったの?」
むつ「えッ!?」
何で知ってるのか驚いていると、百目鬼さんは静かな笑みを浮かべて、テーブルの灰皿を寄せて煙草を吸い始めた。
むつ「えっと…」
百目鬼「修二から、全部聞いてるよ。でもね、付き合い始めはどうしても教えてくれなくてね」
むつ「…」
修二が?俺たちのことを?
俺が不思議に思ったのを、百目鬼さんは感じ取ったみたいに、言葉を続けた。
百目鬼「ああ、フェアじゃなかったね。俺、ゲイなんだよ。自覚したのは…中学生くらいだったかな?、昔、修二と知り合った時、彼、煮詰まっててね、相談されたんだ」
むつ「…修二が?」
あの秘密主義の修二が?
この人に俺のことを?
百目鬼「初めて同類に会ったみたいでね。まぁ、半ば無理やり聞いたんだけど。小学校から君に恋してるの自覚しちゃって苦しんでたみたいだったね」
こないだ、修二に聞いたのと同じことを言う百目鬼さん。
ってことは、修二は本当にこの人に相談してた?でも、それだけ親しいのに、いつも一緒にいる俺が、百目鬼さんの存在を知らない…。
俺のことを相談してたから?
秘密だった?
百目鬼「しばらく会わない間に、いつの間にか付き合いだしたから、君のことを聞いてた俺として気になってね…。修二の性格を考えると、告白したとは思えないし、見た感じ君はストレートだろ?」
むつ「ストレート?」
百目鬼「女の子が好きな人のこと…かな?」
むつ「俺、修二のことが、好きですよ」
百目鬼「…」
ハッキリ答えた俺に、百目鬼さんは珍しいものを見るような顔をして、何かを少し考え込む。
ほっておいたタバコが灰になったのに気付いて灰皿にねじり込むように消して、新しいを出して吸い出した。
百目鬼「修二を好きになる前は、男が好きだった?」
むつ「?、俺、修二が好きなんです。男は好きじゃない」
俺の答えに、またまた珍しい物を見るような目をした百目鬼さんは、微かに口角を上げる。
百目鬼「んー、じゃあ、何で修二を好きなのを自覚した?」
むつ「えっ?えー…」
ヤバイ…。エッチしたからって言うのはまずいんだろうな…。修二が付き合うキッカケを言わないってことはそうゆうことだろうし…
百目鬼「…正直な話、修二は誤解されやすいややこしい性格してるだろ?なんでも笑ってすますし、嘘はつくし、本音は言わないし、どこに惚れて惹かれたか疑問でね」
むつ「…あいつが…可愛いから?」
百目鬼「ふふふ」
俺の答えに笑い出した百目鬼さんは見抜いたみたいに言い切った。
百目鬼「セックスしちゃったんだろ?」
むつ「ッ!…どうして分かるんすか?」
百目鬼「久々に会った修二が色っぽくなってたからなぁ」
煙草を再び咥える時、妖しく上唇の内側を舐めたのを見て、百目鬼さんが修二をエロい目で見てるのが分かり、俺は苛立って目を細める。
むつ「修二は俺と付き合ってるんデスよ!」
百目鬼「知ってるよ」
余裕たっぷりに笑った百目鬼さん。
修二をエロい目で見てるのが分かった途端、なんだかあの笑い方が胡散臭く見える。
むつ「百目鬼さんは…」
ーリンゴーン♪
会話を遮るように、ドアのチャイムが鳴る。俺はドアの方をパッと見たが、百目鬼さんは表情を変えず、俺をにこやかに見つめて立ち上がった。
百目鬼「きっと修二だ、むつ君はここで待ってて。誤解を解くの協力してね」
むつ「はい」
百目鬼さんは、入り口のドアのある通路へ消えていく。
俺のいる位置から入り口が見えず、少しソワソワしながら通路のある方を見つめると、ドアの開く音がした。
ーガチャ
音と同時に、今まで聞いたことがないような、修二の低くて冷たい声が聞こえてきた。
修二「むつを、何処へやった」
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