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俺たちの秘密〜華南〜
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むつが谷崎に電話して、アヤちゃんの番号を聞いた。谷崎は意外に理由などは聞かず、すんなり番号を教えてくれて、アヤちゃんなスケジュールも教えてくれた。
華南「あ、そうだ。谷崎先生、後で修二に会いに、家行ってもいい?」
谷崎『はぁ?お前怪我人だろ?』
華南「あっはっは、ご心配掛けました、全然平気っす」
谷崎『お前ら本当にべったりな、俺は別にかまわねぇけど、泊めねぇーからな』
谷崎は、俺も2人と付き合ってることを多分知らない。知ったら一体どんな反応するかな?
むつの話では、嫌悪は無いらしい、ただひたすら奏一さんにバレた時のことを心配してる。まぁ、当然だよな、奏一さんが修二に過保護だったのは百目鬼のことがあったからだ。修二が自分のことをどこまで奏一さんに話してるかは知らないけど、あんな目にあって男と付き合ってるなんて、親代わりでもある奏一さんにはかなりキツイ話だな。
谷崎との電話を終え、むつはアヤちゃんに電話した。話をしてる間、席を外そうか聞いたけど、むつは「俺は馬鹿だから一緒に聞いてくれ」って言ったので、隣に寄り添って黙って電話を聞いてた。
むつの部屋は離れだから、2人で黙ってると、結構はっきり電話の向こうのアヤちゃんこと忽那(くつな)の落ち着いていて優しい声が聞こえた。
忽那『心配しなくていいですよ。男は意外に繊細なんですよ。精神的ショックから、一時的に勃たなくなるなんて割とあることです。深刻にならないで。…んー、そうですねぇ、健康時だって勃たないことはあるでしょ?例えば、他人の裸を見た時に、勃つ相手と勃たない相手がいるとか、気持ちの問題だったりします。…原因について何か心当たりがありますか?』
むつ「…ある。って言うか、今すぐ勃たないと困んだよ」
忽那『焦りは禁物ですよ、甘い物でも食べて落ち着いて、話せる範囲で話しを聞かせてもらえますか?』
むつは、修二に差し障りのない程度に状況を話す。喋りすぎてしまわないように、たびたび俺に話し方を聞いたりして、簡単で簡潔に経緯を話た。
アヤちゃんは、全部聞き終わって、優しく、感心したように話し始めた。
忽那『むつ君は、相手の子のことが、とても大事で、とても大好きなんですね』
むつ「…でも、勃たなくなった…俺ってちっちぇー」
忽那『…こないだは、むつ君の話を聞かずに怒ったりしてすいませんでした』
むつ「え?」
忽那『あの後、倒れたのは自分のせいだとある方が説明に来まして。ただ、私は、分かって欲しかったんです。体に負担な行為でもあることだって、でも、返ってむつ君を困らせてしまったみたいですね。すいません』
むつ「…いや、俺、分かってなかったのは本当だし、ああ言われて当然だよ」
忽那『…でも、むつ君の話を聞いて安心しました』
むつ「は?」
忽那『むつ君は、相手の子を好きだから〝勃たせないように〟してるんじゃない?』
むつ「は?勃たなきゃまずいんだよ!誤解させちまう」
忽那『もう一度ちゃんと考えてご覧、そこで話を聞いてくれてる子と、もう一度全部話して考えてご覧、きっと答えは単純だよ。〝好きだから勃てない〟ってこと』
アヤちゃんは、困ったらまたいつでも掛けて、直接話せそうなら家に来てもいいし、と言って電話を終えた。
むつ「意味分んねぇ、〝好きだから勃たせない〟?、だから、勃たなきゃ困るんだよ」
アヤちゃんの言ってる事は、多分当たってる。修二が保健室に入り浸ってたんだ、アヤちゃんも、なんかしら知ってるんだろう。
修二がむつにどうしても言いたくなかったのは、〝好きだから嫌われたくない〟は、もちろんだが…、恐らく、〝近い存在〟だから言えなかったんだろう。むつと修二はいつも一緒だ。知り合った当初、何でこんな一緒に居るんだって疑問に思ったこともある。それぐらい近いのに、百目鬼との関係を知らないばかりか、そばにいた人間が監禁されてるのも知らなかった。恐らく、むつがそれを知った時のショックを考えたんだろう。自分のことは二の次の修二の考えそうなことだ。
まぁ、流石に俺が修二の立場でも同じように黙ってるけど…。
むつに、もうちょっと詳しく聞いとこうか…。
修二と話し合った時、どんな風だったのか、百目鬼とのことを聞いてどう感じたのか。詳しくむつに聞いてみることにした。
むつは、やはりかなりのダメージを負っていた。
むつ「俺、ちょっといい気になってたんだ。修二はあんま本音とか弱音とか言わねぇーけど、マジで苦しくなったら俺のとこ来るって、あいつの砦は俺だと思ってた」
華南「むつは、修二の最後の砦だ。後から仲間になった俺には到底敵わない」
むつ「嘘つけよ、百目鬼のこと知ってたじゃんか、それに…俺と居ても目の中の曇りが晴れなかった。俺、アレだけは自信あったんだ。俺が馬鹿で、すぐキレるし、好き勝って放題だったけど、そんな俺でも修二のこと支えてやれるって…」
華南「むつ、修二の砦はお前だ、だからお間前には言えなかった」
むつ「俺、馬鹿だからわかんねぇーよ、何で修二が反対なことばかりするのか」
華南「反対?」
むつ「好きなのに好きだって言わないとか、抱きしめて欲しいのにかか拒むとか、分かってもらいた相手に何も言わないとか…」
華南「…そっか、そうだな」
むつ「俺、思ってることは昨日全部ぶつけてきた、修二も俺に思ってることはだいたい言ってくれたと思う。お互い関係が変わったら今までのバランスじゃいられないんだってわかった。修二は頑固だし、なかなか手強いから簡単には緩んでいかないだろうし、俺が華南みたいに、修二を守って包んでやれる人間にならなきゃ…」
華南「…らしくないな」
むつ「は?なんだそれ、人が大人の男になろうとしてんのに」
華南「…んー、むつはむつらしいまんまでいいんじゃない?むつはさ、俺と修二のヒーローじゃん」
むつ「…なんだそれ、前もんなこと言ってたな」
華南「むつはさ、マイペースで我が道を行くし、周りに左右されない。前しか見ないし、修二が落ち込んでてもお構いなしにひっ掴んで前に進むじゃん。相手の気持ちとか気にしないし、すぐキレるし、時々ぶっ飛んでるし…」
むつ「おい華南!俺が言った反省点を改めて言うな!苦情か!?俺に対するクレームか!?」
睨んで見上げるむつの瞳を真っ直ぐ見下ろす。
華南「その正直で真っ直ぐ進める強さに、俺たち惚れたんだよ」
むつ「……は?」
華南「それに今は、ただ引きずって進むだけじゃない、〝痛み〟を知った。振り返って相手のことを考える、〝痛みの分かる〟人間になった。そうだろう?」
驚いた顔のむつは、今、一生懸命俺の言葉を理解しようとしている。
華南「むつはさ、セックスが修二を苦しめると思ってんじゃない?」
頭では理解しても、心が整理できてなくて、追いついてない。俺たちの始まりは陵辱に近い。
お互いに〝愛情〟も〝同意〟も無く、〝快楽〟を求めて初まった。
修二が俺とむつに〝甘えない〟ことが、〝無言の拒絶〟のように捉えているのかもしれない。
俺は確かにむつより先に百目鬼の事を聞いたけど、あれは〝終わり〟にしようとして言ったこと…、結果的には修二が心を開くきっかけになったが…、それは結果論だ。
むつ「…」
華南「修二は俺たちが愛してやりゃ大丈夫だ。むつも自分で言ってるじゃん」
目を見開いたむつが、口を開けたまま俺を見つめる。
むつ「…お前って……エロくて、しつこくて、絶倫で、クサイけど……実はかっこいいんだな」
ん?
〝実は〟って、今気づいたみたいな言い方…。
むつ「……うん、かっこいいわ」
半分上の空で、噛みしめるようにつぶやく。
むつ「……惚れる訳だ…。お前って男前なんだな」
あっ、今気がついた感じ?
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