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夏休みな俺たち〜華南〜
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【✳︎マキ水族館は11日。最後お別れは25日】
8月16日
今日は、昨日より涼しく過ごしやすい。
俺たちは今日、人と会う約束をしていた。
昨日の修二への電話は、泉からだった。
なんでも、修二の体の具合が見たいから都合をつけてほしいとのことだった。
修二の体の具合を見るならすぐの方がいいし、泉にそう伝えると、泉とは今日会う約束をし、迎えに来てくれた。
薬を飲んだ直後、マキにあれこれしてもらったが、あの中和剤や頭痛・吐き気止めは、すべて、元大病院の医者の〝先生〟が処方してくれたものらしい。
薬を飲まされ今日で6日。
3日間の熱、一昨日からは平熱で、本人も落ち着いていて、顔色もいい。
泉に連れられた先生の家。
さすが、元大病院の先生、庭園に噴水のある豪邸、めっちゃ広い。
中に入ると、優しそうな男性が白衣姿で待っていた。年は30代後半?見た目は若そうだ。
その人が挨拶してきた瞬間、先生を見た修二の肩がビクッと強張った。
先生は修二の様子に、「奥で待ってますよ」と言って先に奥の部屋に入って行った。
まぁ、無理もない、昔修二を百目鬼の依頼で調教した人物だ。
むつは、修二が握り込んでる拳に手を添えて包み、顔を覗き込む。
むつ「修二?」
修二「ん?」
むつ「大丈夫か?」
修二「…うん」
華南「修二、無理そうなら…」
その時。
「ふふ、僕が付き添ってあげようか?」
豪邸のどこからか聞こえてきた、聞き覚えのあるイタズラっぽい声。
泉は、二階から聞こえてきた声に振り向きもせず、厳しい声を飛ばす。
泉「…また勝手に…。寮で、待機のはずでは?」
すると、階段の上から甘えた声を出すマキが姿を現した。
マキ「えー、暇なんだもん、先生ん家なら悪さするわけじゃないから良いじゃん。それに、今出番じゃない?」
泉「…」
泉が一瞬厳しい顔をしたが、諦めたように大きくため息をつく。
マキ「修二〜♪先生が怖い?でも、普通の病院行くよりココで見てもらった方がいいんじゃない?むつ君が付き添いじゃ頼りないって言うなら、僕が付き添ってあげるよ♪」
階段の上で、意味深に笑うマキ。
修二は、息を吸い込み、拳の上に添えられてたむつの手を握りしめた。
修二「むつで不足なわけないだろ」
階段上のマキを真っ直ぐ見上げ、迷いのない瞳。
そんな風にキッパリ言うとは思わなかったから、俺は少し驚く。手を握られたむつは、俺よりびっくりしていた。
いざ診察室に移動しようとしたら、泉が付き添いは一人でと言い、俺に別室で待ってるように伝える。すると修二が〝華南は?〟って一瞬不安気にこっちを見た。俺のことも必要だと言われたみたいでちょっと嬉しくなったが、確かに、色々診察するだろうに、それをむつと2人で眺めてるっていうのもな…と思ったので。
〝俺は外で待ってるよ〟って優しく微笑んでやると、修二はそれを察して安心したように目を細め診察室にむつと入って行った。
2人が入った診察室のドアが閉まると、いつの間にか階段の下に降りてきていたマキが、聞こえるか聞こえないかの声でボソッと呟く…
マキ「…いいなぁ…」
その声が、あまりにマキらしくなくて、さみし気で…、マキの方を見たら、診察室のドアを、なんとも言えない切なげな瞳で見つめていた。
!?
あまりの憂い顏に驚き、見てるこっちが心が痛む。
でも、それはほんの一瞬でしかなかった。
振り返ってこちらを向いたマキはいつも通りいたずらっ子みたいに笑った。
マキ「ふふ、ダーリンは待ってる間、僕と遊ぼ♪」
何があった?とはとても聞けなかった。
俺は、泉とマキに診察室に使ってる部屋の隣の大きな部屋に案内され、高級そうなソファーに座った。マキは、楽しそうに俺の隣に座る。
俺は、マキの名前とふざけた顔しか知らない。
さっきの表情に一瞬、惚れ薬を飲んだマキが言った言葉を思い出した。
マキ『…いいよ、好きな子のこと…ん…考えてなよ……よくしてあ…げる………』
マキは…、そんな風に誰かを切なく思っているのだろうか…?
それとも…過去の傷だろうか…?
マキ「華南」
隣に座ってるマキが不敵に笑って、肩に擦り寄る。
マキ「余計なこと考えてて、修二が心配じゃないの?」
華南「…。むつがいるから大丈夫だ。マキ」
マキ「ん?」
華南「泉さん。こないだは、修二を助けるの協力してくれてありがとうございました」
ガバッとその場で頭を下げる。
この2人に協力してもらってなかったらと思うと、ゾッとする。
マキ「お代は高いよぉ〜」
華南「いくらでも払うよ」
マキ「じゃあ今晩ワンナイトラブを♪」
マキがスルッと膝に跨ってきて、妖艶に微笑む。しかし、泉の低い声が響いた。
泉「…先にチンピラから救ってもらったのは貴方でしょう?」
マキ「…チェッ」
泉「外でおいたするからそうなるんですよ」
マキ「あれは違うもん、僕のせいじゃないよ、ちゃんと枕の質は選んでるもん」
泉「だから、一つの枕にしなさいと言ってるのに」
マキ「…」
泉の言葉にマキがムスッと膨れる。
どうやら、マキは泉を言いくるめられないよう、珍しいものを見た。
しばらくすると、修二とむつが先生と戻ってきた。
先生は、「もう心配はないよ」と優しくいってくれ、修二について簡単に説明してくれた。
修二に使われたのは、開発されたばかりの強力な媚薬で、実は、2錠で一回分らしく、2錠で使われたら相当ヤバかったらしい。修二は幸い一錠しか使われなかったこと、そして、旧作の中和剤も全く効果がなかったわけではないようで、早い対処にさほど害は出なかったとのこと。
百目鬼が素早く洗浄し、先生に連絡取って中和剤を使ったのがよかったのだ…。
修二「マキ、本当にありがとう」
マキ「やだやだ、お礼は僕じゃなくてむつと華南に言っといてよ、むつと華南が電話してこなかったら、百目鬼さんのところに修二がいるなんて気がつかなかったもん」
修二「…でも、ありがとう。マキが協力してくれたからだよ」
マキ「…、じゃあ、お礼にチューして♪」
泉「マーキー」
マキ「チェッ…」
泉のせいだろうか?
今日は随分あっさりマキが手を引く。
修二もそれに気がついたみたいで、首を傾げた。
先生「もう、普通にして大丈夫だから、残りの夏休み、楽しんで。心配事があったら連絡下さい」
マキ「僕に電話して♪いつでも待ってるからねぇ♪」
呼ばれなくても来るじゃん。
と思っていたが、口にせずにおいた。
マキは、泉の車で送迎される俺たちに手を振って見送ってくれた。
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