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俺たちの道〜修二〜
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いつって?
いつもじゃん!?
いつも甘えてるじゃん!
何で2人とも怒るの?
修二「ぇえ!?いつもじゃん!いつも甘えてるじゃん!今だって甘えたし、昨日も、一昨日も、その前も!」
僕ちゃんの言葉にむつは唖然として。
そして、華南は頭を抱えた。
むつ「お前は、馬鹿なんじゃないか?!」
修二「な、なんで?!」
華南「馬鹿っていうか…ポンコツ?」
はぁえ!?
ポンコツ??
むつ「いや、馬鹿なんだよ!なんも分かってねぇーんだ!」
修二「分かってる、分かってるよ!」
むつ「いや、分かってねぇー!」
むつが怒りで僕の両頬に掴みかかり、つねって横に引っ張ってきた。
修二「いひゃ!」
むつ「分かってないからこうなるんだろうが!」
握力の結構あるむつに本気でやられたらたすっごく痛い、すぐに腕を引っ張って引き剥がし僕は反論する。
修二「今回は、本当にちゃんと分かってる。僕は、別れようなんて思ってないし、どうしたら兄貴が許してくれるか考えてるだけだ!2人に甘えすぎてるって、だから!ちゃんとして認めてもらおうとしてるだけだ!」
しかし、こっちが一生懸命言っても、こちらの気持ちは伝わらず。すぐにむつが噛み付いてきた。
むつ「甘えてないのにさらに甘えなくしてどうするんだよ!どうなりてーんだよ!」
修二「どうって…、もっとしっかりして…」
むつ「てめぇーはしっかりすぎなんだよ!!一人で抱えて!全部一人でなんとかしようとして!」
胸ぐらを掴んできたむつが、苛立ッてるのに凄く苦しげな表情に、僕は息が止まる。
な…んで…
すると、むつと同じような、困っているような華南の声がする。
華南「俺たちが居るの忘れてないか?」
修二「!、忘れてない。だって2人はちゃんとやってるじゃん、バイトもしてる、勉強もしてる、3人暮らしの許可もちゃんともらって…。だから僕も頑張って…」
むつ「頑張るっておめぇーも頑張ってるだろうが!!睡眠時間削って、勉強してバイトして!あの奏一さん説得して、…顔色悪くして。俺たちと一緒にいても寝ちまって」
修二「ハッ…、ご、ごめん」
最近…一緒にいても、ついついうたた寝をしてしまって…凄く悪いと思ってた…
むつ「だー!!だから謝んな!ちげーよ!」
言いたいことを溜めすぎて、むつは上手く説明できない自分に腹が立ち、頭をかきむしる。
見兼ねた華南がその手を両手で止めて、まぁまぁとなだめ、僕に向き直った。
華南「修二、謝って欲しいんじゃない。相談して欲しいんだ」
修二「…えっ、でも…」
むつ「でもじゃねぇんだよ!!」
華南「むつ、ドウドウ」
むつ「ッ!、フー」
華南に背中をさすられ、むつが息を吐く。
むつは僕を睨みながら、やっぱり苦しそうで、胸がチクリと痛んだ。
修二「ッ…………僕……、いつも2人にそうやって気を遣わせて…甘えてばかりで……」
むつ「だから、それは甘えじゃねえっつーんだよ」
むつがギロリと睨んできて、悔しそうに言う。
でも、むつ。
本当に、僕はそれが一番嬉しいんだよ?
むつや華南が、僕のこと考えてくれて、そんな嬉しいことないんだよ?
華南「俺たちは、いつも、手探りだ…、修二が話してくれれば、一緒に考えられるのに、修二が話してくれないから、いつも修二のようすが心配で…」
……。
修二「…だから、2人に心配かけないようにちゃんと…」
むつ「だから!心配かけたくなきゃ!全部話せって言ってんだ!気を遣わせないようにしてーなら、全部話しゃいいんだ!」
華南「修二、相談して、頼って、寄りかかって…、俺とむつにお前の抱えてるものを分けてくれよ。良く言うだろ?悩みは3分の1に、喜びは3倍にって」
修二「…それって、悩みは半分、喜びは2倍ってやつ?」
華南「そうそう、俺らは3人だから、3分の1で3倍」
修二「…………でも、僕は、2人だけじゃなくて、周りに助けられてばかりだから…、一人で出来るようにならなきゃだめじゃん?、だって、これから大人になるんだから、社会に出て行くんだから、もっとしっかりしなきゃ、じゃなきゃ2人の隣にいられないじゃん!…兄貴にも認めてもらえない、僕が甘えてばかりだから…2人に迷惑がって…」
むつ「馬鹿だな、社会に出て必要なのは、ホウレンソウなんだぞ!知らねーのか?」
むつがダーツバーでアルバイトした初日に、店長に教わった言葉を、さも自分が考えたように言い出すむつ。
『ホウレンソウ』とは、『報告、連絡、相談』の事。サラリーマンとかはコレがとても大事で、でも、それ以外でも働くところではこのことがとても重要だと、2ヶ月前に僕がむつに解説してあげた言葉が、そのまま返ってきた。
僕が、得意げなむつを可愛く思っていると、僕の言葉を聞き逃さなかった華南が、むつの口を塞いで僕の方へ身をのり出す。
華南「それ、奏一さんに言われたの?」
修二「え?」
華南「迷惑がって」
あっ、しまった…
むつ「迷惑!?なんだそりゃ!!」
華南「甘えるなって言われたの?」
修二「ッ………………………………うん」
むつ「はぁあーー!?」
僕が観念して頷くと、むつが激怒する。
修二「むつ、やめて、怒らないで、本当のことだし、兄貴は正しい」
むつ「正しいとか正しくないとかじゃない!!修二がどんだけ我慢してばかりか、奏一さんが1番分かってるはずじゃんか、なのに!」
華南「むつむつ!たんま!今大事なとこだ!」
華南が再びむつの口を手で塞いで、僕の目と鼻の先まで寄ってきた。
華南「修二、他には何言われた?」
修二「…」
むつは、すぐに感情的になるけど、華南は対照的に優しく聞いてくるから、とっても困る。
華南「修二」
修二「ッ………2人と…ッ……縁を切れって」
むつ・華南「!!!!!!!!!」
むつも華南も言葉が無いくらい驚いてる。
僕はできれば言いたくなかった。
だってきっと誤解される。
修二「…あの…聞いて」
僕の声に、2人の視線が僕を見つめてくる。
修二「兄貴のこと…誤解しないで…、僕は兄貴に言ってないんだ…、僕が男の人が好きだって、むつと華南が好きだって。でも、薄々勘ずいてはいるだろうけど…、『縁を切れ』って、たぶんそうゆうことじゃないんだ…、兄貴は2人を否定してるとか、僕が男好きなの否定してるとか、きっとそうじゃなくて…、兄貴は2人を悪く言ってないし、2人には兄貴を悪く言って欲しくない…、僕にとって…どっちも大事で…だから…きっと……ちゃんとすれば…許して貰うから…、ちゃんと兄貴に…分かって………。ごめん、上手く言えてない…」
どうしよう…、こんなんじゃ全部伝わんない、どっちも大事なんだ。
兄貴に二者選択突きつけられて、でも、僕はそのどちらとも答えられない、だって、どっちか一つなんておかしい…、僕には、兄貴も、むつと華南も大事で…大切で…
華南「大丈夫…。分かるよ」
華南の優しい声がして。
むつが拗ねたように言った。
むつ「お前にとって奏一さんがどんだけ大切かは、分かってる。分かるから悔しい…」
華南「大丈夫。奏一さんは、むつが前言ったみたいにデッカイ人だ、修二のことを考えてる」
むつ「考えてて、修二を泣かしてるのか?」
修二「泣いてない」
むつ「泣きそうじゃん」
修二「泣きそうじゃない」
むつ「毎日泣きそうなツラしてんだよ!」
ムスッとするむつ。
僕が言い返そうとしたら、華南がまたむつをなだめて、僕に向かって言った。
華南「なぁ、一緒に考えようよ。俺たちのこれからを、奏一さんとどう話し合うか」
修二「話し…合う…」
華南「修二も薄々分かってるんだろ?このまま言わないではいられないって」
修二「…」
兄貴は…待ってるのかも…確かにそう思った
華南「修二」
修二「……うん、……出来れば…言わないで、良い弟でありたかったけど…」
むつ「はぁあ!?お前は出来過ぎなぐらいいい弟だろうよ!」
修二「ありがとうむつ」
むつ「いや、マジだし。俺の弟だったら、いい子ちゃん過ぎてとっくにぶん殴ってるし」
修二「えっ…なんで殴るの?」
むつ「だって、お前、何にも言ってこないじゃん」
修二「…僕ちゃんそんなに何も言わない?」
むつ「…言わねぇだろうが、だから今こんなんなってるんだろうが、奏一さんにだって何にも言わねぇんだろ?あの人、お前の父親代わりみたいなもんだから、言いづらいかもしれないけど、その前に、お前の兄ちゃんなんだぞ」
…………そう…か…。
修二「そっか……、そうだね」
華南「…修二、もう一度3人で考えて、3人で奏一さんのところに行こう」
修二「……。うん……、うん」
華南「じゃあ、聞かせて、この2ヶ月何を考えて、奏一さんに、なんて言われたか」
むつ「2ヶ月だぜ?マジ長いし…」
修二「ごめん…」
むつ「あやまんのはいいから、早く言え」
修二「うん、…僕は…………」
2ヶ月分の話は…
とってもとっても長くて…
とってもとっても話すのに時間がかかった。
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