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俺たちのバランス〜むつ〜
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曇りの無い柔らかな瞳。
仮面が消えて優しく微笑む。
俺の名を呼ぶ修二の声が胸を締め付け目頭が熱くなる
………修二、……修二…修二…
ただただ込み上げてくる気持ちを抑た
頭の理解が追いつかない…
修二「行こう…」
唖然とする俺の手を、微笑む修二がしっかり握って、居酒屋から引っ張り出してくれた。
…あんなに怒ってた修二を見るのは幼稚園からの数えても過去にも数回…片手分あるかないか…。
…不思議だ…、いつもの見慣れた細い肩、エロいはずのうなじのライン、守らなきゃと思ってた修二の背中が頼もしく見える…。いつも恥ずかしがり屋で可愛くて、不満や不安を心に押し込める時に意地っ張りで健気な修二…優しく扱わないと折れてしまうと思ってた修二の〝男の姿〟を見た…。
凛として真っ直ぐ、怒ってるのに兎に角カッコよくて綺麗だった…
居酒屋の扉を出ると、もう一つの優しい顔が俺を迎えてくれる。
華南「あー、俺、間に合わなかった?」
そこには、息を切らして汗ぐっしょりかいた華南がいた。
慌ててたのか、ちょっとちぐはぐの色の服を着て、雨の中傘もささずそこにいてくれた。
視界が霞む…、まだダメだって分かってるのに…
男らしくなくてダサいって分かってるのに…
むつ「ッ…かぁなぁん…」
修二「間に合ったよ」
華南「じゃ、帰るか、俺たちの家に」
修二が持っていたビニール傘一本に、華南と修二が俺を挟んでギュウギュウにくっついて歩き出す。
むつ「……修二…」
繋いだ手に申し訳なく視線を落とす。
だけど修二がはニッコリ微笑んで、更に強く握りしめる。反対側の華南を見上げると、華南は優しく微笑んで俺の肩に腕を回し、頭をぐしゃっと撫でた。
情けなくて申し訳なくて悔しくて、二人に挟まれて歩きながら、俺はハッとした。
むつ「マキは!?」
俺の味方をしてくれた、俺を信じて協力してくれたマキがいつの間にか居なくなってた。
修二「マキは、用事があるって」
むつ「俺、マキにお礼言ってねぇ…」
華南「あいつのことだ、直ぐにうちに姿を現すよ、その時言えばいいさ。今は、早くうちに帰ろう」
そうだ…、俺、修二に謝らなきゃ…、誤って説明して、華南にもマキが協力してくれたこと話してない…。
ごめん…2人共マジごめん…
人の多いい街中で、両方の手を握られて、申し訳なさと情けなさと、止まらない嬉しさに、降り注ぐ雨に濡れながら、水たまりをふんずけて歩き、足早に俺たちのマンションに向かった。
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美樹「…何あれ…」
居酒屋から出た美樹は、3人の後ろ姿に唖然として歯ぎしりした。
美樹「ッ…絶対許さない、馬鹿にして…」
爪を噛み、綺麗な色のネールが剥がれ爪を砕いた。
しかし、美樹の殺気をクスクスと笑う声がする。
マキ「ふふふ♪」
振り返ると、入り口の横にさっきむつと一緒にいた綺麗な顔した男がこっちを見てヘラヘラ笑ってた。
美樹「何見てんの!」
マキ「いやー、〝可哀想〟な君に一つ教えといてあげようと思って♪」
美樹「言っとくけど、私は嘘なんかついてないから!」
マキ「君、結構頭いいよね♪でもツメが甘い♪
君は幼馴染にからかわれるみたいに振られて確かに辛かったよね♪だけどさ、その彼を見返そうとして選んだのが地元で最強と謳われた有名な不良、柴田睦美だったのは人選ミスだ」
美樹「…」
マキ「それに〝君が広めた噂〟は、いずれ〝怒らせちゃいけない人〟の耳に届く」
美樹「…何?脅し?」
マキ「ふふ♪僕は親切に教えてあげてるんだよ、失恋して傷心の君にこれ以上良くないことが起こらないように♪
むつ君には幼馴染が居るんだよ♪すっごい恐い幼馴染様が♪その名も〝奏一さん〟」
美樹「えっ!?」
マキ「元、朱雀特攻隊長の鬼。
彼はむつ君の幼馴染様だ。その特攻隊長様の耳に、『むつは職場の女の子取っ替え引っ替えして、更に男にも手を出して最低な奴だ』『女の子孕ませて中絶させてクビになった』なんて今広まってる噂が耳に入ったらどうなるだろうね?」
美樹「ッ!何それ!私そんなの言ってない!」
マキ「人の噂は怖いね♪この噂が特攻隊長様の耳に入らない事を祈るよ♪、君、夜道には気をつけな♪」
顔面蒼白の美樹は、ブルブル震えてその場から逃げ出した。
マキはその姿にニッコリ微笑んで手を振る。
マキ「鎮火作業頑張ってぇ〜♪」
ーピリリリリ♪ピリリリリ♪
マキ「は〜い♪貴方の天使マキちゃんで〜す♪」
ご機嫌な気分で出た電話の相手は、どうやらご機嫌最悪の様子で、地響きのような低い低い声が聞こえてきた。
百目鬼『おい。このフザケタチャイナドレスはなんだ』
マキ「!?……、何のこと?♪」
百目鬼『矢田の携帯に貴様のフザケタ写真が入ってるぞ』
マキ「あっははぁー♪…キャワいいでしょ♡?」
百目鬼『今すぐ事務所に来い』
マキ「…えへ♡…雨降ってるしぃー…」
百目鬼『そこを動くな』ブッ
マキ「ぇえー、切れたし!またこのパターン?今日は会う予定の日じゃないのに…、忙しいくせにお仕事大丈夫なのかなぁ?
ふふ♪また、会う日が増えちゃったぁ♪、……僕は…会えるの嬉しいからいいんだけど…。百目鬼さんはそうじゃないだろうし…。ライオンさんはお仕置きの後必ず落ち込んじゃうからなぁ………」
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