アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛11
-
カウンターの中に入った賢史は、昔の特技を生かし、如何にもな感じでカッコつけてドリンクを作りシェイカーを振る。
その姿のカッコイイことカッコイイこと。
未成年の王子さま軍団は、ただのジュースだったのが色鮮やかなノンアルコールカクテルに変わってご満悦。
主役なのに普通のジュースじゃ、確かにつまんないだろう。賢史はこういう時役に立つ、場を盛り上げるのが得意だからな…。この調子で女も男も、お姫様気分で賢史に持ち帰られて行く。今までは賢史のこういうところを羨ましいとは思ったことはなかった。だが、今回ばかりは、自分が何にも出来ないのが悔しい。
マキは、さっきまで身を縮めて俺に怯えていたのに。今はカウンターで賢史とむつの苺戦争を見て大爆笑してる。
…俺は、こうゆう時何もできない。笑わす事も、気遣う事も…。楽しませることも出来ず、本屋で買ったデートスポットとかいうところに連れてくぐらいしか出来ない…。つまんない男だ。今までは不便に思わなかったのに、若い頃拳を振り回しケンカばかりしかしてこなかったことが悔やまれる。
まぁ、料理は賢史より俺の方が上だが……
って、何張り合ってんだ俺は!。
俺が関わらなければ、マキはきっとこの先もこうして笑っていられるだろう。
マキが用意してくれたあの腕時計は……本当に嬉しかった……、やり直せるなら…と思ったが、あんなに怯えてるようなら、無かった事にしたい物だろう。マキも早く次の相手に行きたいだろう………
……だが、相手が賢史だってーなら駄目だ。納得出来ない。確かに賢史は俺より気がきくしユーモアもあるし、恋愛経験も豊富だしモテる。だが、あいつはむさいから、かっこいい時の振り幅が大きくて良く見えるだけだ、あのシェイカーを振る姿も、臭いセリフばかり並べるのも、みんなスケベな下心からきてる。
俺が指をくわえて見る事しか出来ずにいたら、カウンターに奏一が割り込んだ。奏一はクールに見えてるが、今非常に機嫌が悪い。ほらみろ、王子さま達にちょっかいかけてばかりいるから奏一を怒らせたぞ。賢史が揚げ足取られて撃退されてやがる。ザマーミロ。
奏一の一声で、オカマ軍団が一斉に賢史に群がりイメージカクテルを作れと取り囲こむ。
奏一は、修二たあちに賢史を近づけたくないのかと思ったが、奏一はなんとマキの隣に座り肩を寄せた。
は?
店のカウンター椅子は固定じゃない。奏一はマキの隣にワザワザ座り、ワザワザ椅子をマキ側に寄せて座った。
マキが、奏一に笑いかけてる。どこかホッとしてるような笑顔……
そこから30分ほど、賢史はオカマ軍団にカクテルを作り続け、ヘトヘトになった。勿論カウンターに座る王子さま達をもてなすのも忘れない。
その間、マキと奏一は、至近距離で顔を寄せて話をしたり、奏一がマキの体に触れたり、賢史をからかったり、とにかくマキと奏一は親密だった。
俺は、それを眺めながら、一人訳のわからない感情に支配されていた。
賢史「お待たせ、奏一さんのイメージカクテルです」
奏一「これは?」
オカマ軍団の相手が終わった賢史が、奏一にカクテルを出した。
奏一が出されたカクテルを飲む為に口を着け傾けた時。俺は賢史が密かにニヤついたのを見逃さなかった。
赤茶の綺麗なカクテル。
まさかあのバカッ!!
ヤバイと思い、2杯目を飲もうとした奏一からカクテルを取り上げた。
百目鬼「飲むな!」
俺の乱入に奏一が驚き、マキは俺がそばに来たことに肩がビックっとしてた。
…ッ…
カクテルの匂いを嗅いでみるとカカオの香りがした。賢史の野郎ふざけたもの出しやがって!!
百目鬼「賢史てめー、killerカクテル出すとはどういうつもりだ!」
その場にいたガキ共は知らないのだろう。キョトンとしていたが、賢史はニヤニヤしながら答える。
賢史「やだなぁー、イメージカクテル出しただけじゃんか。それにkillerカクテルだなんて、奏一お兄ちゃんは男だぜ?」
すっとぼけやがって!!この狼野郎がッ!!
奏一を潰してそのポジション奪って、マキをつれて行こうったってそうはいかないぞ!!
狼は最後、腹に石ころ詰められて湖に沈められるって決まってんだよ!!
奏一が賢史に良からぬものを飲まされたとむつが怒って騒ぐが、killerカクテルを知らないむつは失速。華南に説明されてた。
百目鬼「賢史の出した酒は〝ルシアン〟。飲みやすくてもアルコール度数30の強烈な酒だ」
奏一「30度?そんなキツそうには…」
あーあ、奏一の奴もうほんのり顔が赤くなり始めてやがる。二口目飲んでたら相当ヤバかったぞ。
取り敢えず賢史の思惑を阻止できたと安心していたら、顔が赤くなり始めた奏一を心配してマキが奏一の頬に触れた。
マキ「奏一さん…ほっぺが…」
奏一はマキの手が気持ちいいのか、手を優しく握り込んで頬を寄せた。
マキは、心配そうに覗き込むように顔を近づけて、奏一の様子を見た。
綺麗な顔立ちの奏一と綺麗で可愛いマキ。
とても見た目はお似合いだ…
だが……
………ッ…必要以上に…近すぎないか?
マキ「熱くなってるよ…」
奏一「ほんとだ、マキの手が冷やっこい」
甘えるみたいに、マキの手に奏一が擦り寄る。
その瞬間、ズキっと胸が痛んで訳の分からない感情が沸き起こる。
グッ………なんだこのグワッとする感覚は…
マキ「奏一さん、大丈夫?」
マキは奏一と向き合ってさらに顔を近づけ優しく問いかけると、奏一は平気だと笑ったけど、奏一の頬はさらに赤みを帯びる。
隣同士向き合い、膝が触れ合ってて手を握りしめ、どこかに甘い雰囲気に見える二人。
グゥゥッ……胃が……痛い…
奏一が心配するマキに、大丈夫だよと微笑みながら優しく頭を撫でると、マキの顔が赤らんだ。
百目鬼「…ッ…」
ズキっと胸に痛みが走る。
マキと奏一が膝を触れ合わせて寄り添う姿に耐えきれず、視線を逸らして奥歯を噛み締めた。
きっと今。俺は酷い顔をしてるに違いない。
そんな俺の苦い表情を、カウンターの中の賢史は見逃さず鼻で笑った。
賢史「フッ…」
百目鬼「!」
自分の中で、醜い感情が弾け飛びそうだ。笑った賢史をギロっと睨むと、賢史は俺の怒りが限界点間近だと悟り、反省した素振りで、言い訳する。
賢史「おいおい、そんな睨むなよ。俺は、奏一お兄ちゃんにイメージカクテルを出しただけだろ、そんな目くじら立てるな、大人に酒出して何が悪い」
百目鬼「奏一は強くない。酔うと寝ちまうんだよ」
賢史「は?」
奏一「おい百目鬼!かっこ悪いことを大声で言うな!俺はまだ酔ってない!」
間抜けな顔した賢史が、奏一を指差した。
賢史「え?あの顔で?どう見てもザルだろ」
百目鬼「お前のツラよりよっぽど繊細な顔してんだろうが!」
賢史「あらあら、あんなクールで冷たく綺麗なツラしてるのに、そんな可愛い一面があったんですか、こりゃ失礼」
ハァアアッ!!てめぇ!いい加減にしろッ!!
焚きつけるとか、自分がマキを狙ってるとか散々人を笑いやがって挙句奏一にまで危害を加えやがって!!
寝不足に加え、マキと奏一の寄り添う姿にグツグツしていた俺は賢史のおふざけにプツッとキレ、賢史を思いっきり睨んでカウンター中に乗り込もうとした。
その時だ…
マキ「あっ!、百目鬼さん待って…」
ドクンッ!!
その手は、俺を掴んだ。
視線を、ゆっくりと下げると、俺の視界には、マキが、俺の手を握りしめて真っ直ぐ見つめてきていた。
マキを視界にとらえた瞬間、怒りは訳の分からないような衝動に変わる…
マキ…
この手を掴んで…
俺の腕の中に引き込み…
抱きしめてしまいたい………
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
765 / 1004