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〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛26
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なんでだ………
やっと、マキを手に入れたと思ったのに。
雪哉…。
いや、雪哉が悪いわけじゃ無い…。雪哉はワザとそういうことをする奴じゃ無い、俺が悪いんだ。
いつもそうだ、俺がやっちまったことが、後から大きな問題になる…。
マキを怒らせて悲しませた…。
マキを喜ばそうなんてコンビニでデザート買ってた自分を殴りたい。
さっきまで、あんなにとろけていたマキの瞳が、正気を取り戻して真っ直ぐ問う。
俺は、深く息をして、腹をくくる。
百目鬼「…隣に、座っても良いか?」
マキ「うん」
俺は、マキの隣でマキの方を向くように座り、マキの目を間近で見つめた。
百目鬼「お前と別れた後だ。だいぶ経ってた…、俺が雪哉を強引に…」
マキ「…」
百目鬼「すまん…」
マキの目を見て謝ったが、マキは表情を変えずに聞いてくる。
マキ「どおして謝るの?別れた後なら、百目鬼さんの自由でしょ?」
百目鬼「…嫌な気分にしただろ…」
マキ「…雪哉さんが、百目鬼さんは僕の名前を呼んでたって言ってたけど本当?」
百目鬼「ッ!!」
俺は過ちを繰り返した。
1番やりたく無いことをやった。
だから言い訳はせずに置こうと思ったのに…。
百目鬼「…言い訳になるが…。俺は酔ってた。お前と別れた後、少し荒れてて、雪哉は俺を見かねて抵抗しなかった…。記憶が曖昧で忘れてるところもあるが、途中からお前の名前を口にした」
俺が悪い…。雪哉は悪く無い…。
誰かの代わりなんて、1番俺の嫌いなことだ、1番やっちゃいけないことだったのに…
マキ「雪哉さんが、その時のこと百目鬼さんに説明してもらってって」
説明?雪哉は何を説明させたい?
酔っ払って雪哉を押し倒し、途中からマキの名を口にしたっていう酷い話なだけだ。
百目鬼「……酔って潰れた俺は、介抱してくれてた雪哉を押し倒した。だが理由がなんだろうとこんなの言い訳だ。俺が雪哉を押し倒した。俺が悪い」
俺の目を、なんとも言えない表情で見つめてたマキは、フッと笑って。
その表情は、やっぱりねと言いたげ…
マキ「…雪哉さんの言った通り…、〝どうせ俺が悪いって弁解しない〟だから、説明してもらってって言われたよ。雪哉さんは話してくれた、雪哉さんが最後に百目鬼さんに言った言葉も…」
何故説明させる、マキが聞いて気分の良い話じゃないだろ、俺が押し倒した、俺が悪い。
しかも雪哉が最後に言った言葉?
アレをマキに言ったのか!?
言う必要ないだろ…
マキ「僕と別れた後に、百目鬼さんが誰と何してようと百目鬼さんの自由だと思うよ。僕には謝ったりする必要なんかないと思う。
でも、雪哉さんから聞いちゃったし、百目鬼さんが話してくれるなら、聞いておきたい。…雪哉さんに気持ち傾いてた?」
マキが傷ついたかもしれないのに、緊張と罪悪感でバクバクしながらも。マキの、嫉妬とも受け取れる言葉に、少しだけ違う意味の胸の高鳴りが混ざってしまう。
百目鬼「…雪哉には、恋愛感情は無い。雪哉とはSEXの利害が一致してずっとセフレだった。マキと再会した去年から関係は無かった、雪哉と寝たのはお前と別れた後の一回だけだ」
マキ「うん、雪哉さんもそう言ってた」
マキは静かにうなづいた。
信じた?信じてくれたのか?口裏合わせてるとか言い訳だとか思わないなか?
マキに信じてもらえなければ…、と想像すると、胃がギリギリと痛む。
マキの瞳は感情が読み取れない、ただわかるのは、僅かなに上がった口角と微笑み。
マキ「雪哉さんとシて気持ちよかった?」
百目鬼「…それは…、……すまん、あまり覚えてない。朝起きたら、雪哉が隣に居て、めちゃくちゃ拗ねてた。俺は、途中から散々マキの名を口にして好き勝手やって最後は寝ちまったらしい。雪哉は〝マキ様の代わりなんて恐れ多いけど、マキ様恋しさに名前を呼ぶのは良いが、SEXが酷い!あんなやり方するなら本物のとこ行け!〟と怒ってた。謝っても謝りきれない」
マキ「…SEXが酷い?嘘…」
マキは何に驚いたのか、目を丸める。
俺のSEXが〝酷くない、乱暴なことはしない〟と言うのはマキしかいないというのに、さも俺が酷いSEXするなんて信じられないと言った反応だ。
こうなってくると、むしろマキの過去が気になる。どんな酷いSEXばかり経験したんだ?そんなだから自分を大事にする方法も、大事にされることも知らないのか?
百目鬼「……その、雪哉の場合、逆なんだが…」
マキ「逆?」
百目鬼「酔ってたから曖昧だが…、雪哉の話と俺の記憶を繋ぐと多分そうだったと思うが、雪哉はその日、1度もイけなかった」
マキ「え?百目鬼さんあんなに上手いのに?縛ったりしたの?」
マキはキョトンとして不思議そうにしていた。俺の話を聞いて気分悪そうにしてないが、マキの場合は心の中までは分からない。
百目鬼「…テクニックの話じゃない」
マキ「ん?」
マキに全部説明しなきゃならないのか…
俺の過ちと、俺の恥を…
百目鬼「…雪哉はマゾだ、意地悪で乱暴なやり方に感じるタイプで、しかもかなりハードなマゾ。まぁ、そのせいで相手に恵まれなかったから俺と寝てた。俺は、雪哉を満足させられなかった…」
マキ「………それって」
百目鬼「俺のSEXは、もう、雪哉に通用しない」
あの日、雪哉に覆いかぶさった俺は、酒のせいもあって半分やけくそで、早く気持ちを切り替えなきゃという思いに駆られて雪哉を押し倒した。
それなのに…。今までSEXをどうしていたのか分からなくなった。勃たないわけじゃない。マキと別れて一月以上経ち、ろくに処理もしなかった、溜まってる筈だった。ただ、悪夢に魘されて、時々この歳で朝下着が汚れてることがあるくらいだ。1人で処理しようとすると、必ずマキを思い出した、寝室もリビングも風呂場も玄関も廊下でさえも、マキと交わった記憶だらけで、思い出すなという方が難しかった。
マキの思い出の品は、寝室に置かれたぬいぐるみ以外何一つ無いというのに、マキとの一つ一つの思い出がどれも鮮明で胸を締め付ける。
朝起きて腕の中にいないこと。
朝食を待ちどうしそうにするカウンター。
リスみたいに頬張ってほっぺを落とすテーブル。
帰ってきたら待ってましたと飛びつく玄関。
我慢できないと押し倒される廊下。
いつもペットみたいに洗われる風呂場。
テレビを見るより跨られた回数の多いいソファー。
数え切れないほどマキを抱いた寝室。
時々、俺の言葉に傷ついたのを隠し、ニコニコ誤魔化しながら逃げ込んで悲しみを押し殺すトイレ。
俺の家なのに、マキとの思い出だらけで、そして思い知る。それだけ思い出がいっぱいあるのに、マキがここに至たという物理的なものは何一つ無い。
その喪失感に耐えられなかった。
雪哉には悪いことをした。
雪哉を押し倒したのに、酒飲んでどうなってもいいとまで思ったのに、体はちゃんと反応して勃ってたのに…。
マキに感じていた嵐は来なかった。
唖然とする俺に雪哉が言った
『神のSEXはマキ様専用に調教されちゃったんだね』
そんなことない!
マキ相手に、静かな優しいSEXをしてやれない!いつもいつも嵐みたいに頭の中荒れ狂って、あいつは分かってて可愛い顔ばっかりしやがって!結局キレて!大事にしてやれない!!
雪哉『あははは、馬鹿じゃないの?それが恋愛だよ神。それが恋するって事だよ。恋愛が穏やかなんて誰が言ったの?
〝恋い焦がれる〟って言うじゃん。恋って、火傷するほど燃え上がることだよ。恋しいと焦がれて、嫉妬に焼かれ、情熱的に愛し合い、相手の笑顔が見たいと相手の心に灯火を灯す。火は使い方によっては危険だけど、生きてく上でなくてはならない、それを強く求めたり、強く持ってること自体に悪いことはない。むしろ情熱的って事。
な〜んてね、受け売りだけど』
雪哉は笑った後、俺の顔を両手で持って真っ直ぐ瞳を見て、嬉しそうに言った。
雪哉『これ、君が恋い焦がれる相手が言った言葉だよ』
百目鬼『えっ、…マキが…?』
雪哉『あはは、恋い焦がれるって認めたな』
百目鬼『…嘘か』
雪哉『マジだよ。4、5年前だったかな、マキ様に悩み相談したマゾ友達が言ってもらった言葉。ちなみにこの言葉には続きがある』
4、5年前…俺とマキが知り合う前か…。
雪哉『マキ様は、そいつに言った。〝恋は痛いし苦しい時もある。そうなると思っても恋はする、誰しも、愛し愛されたいと思うだけ。恋に焼かれたいと思ったり、誰かと情熱的に愛し合うのが間違った事なんて思わない、みんな愛されたい、その情熱の中に飛び込みたい。
叶うなら、僕は太陽に焼かれたい〟
って』
雪哉の言いたい事がいまいちわからず固まっていたら、雪哉は笑った。
雪哉『マキ様は、毎秒爆発を繰り返す灼熱の太陽のような情熱に焼かれたいんだって。
ねぇ神、
マキ様の理想って君の事だと思わない?』
百目鬼「変われたわけじゃない。
マキ。お前にだけ、優しく出来ない。…嵐みたいに頭がぐちゃぐちゃになって、お前を傷つけちまう。暴走が止められない…。
そんな事…説明しろって?
お前にだけ優しく出来ない理由なんて分からない。俺が知りたい…」
マキ「……」
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