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キングの冒険7
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何度目かのチャイムが鳴った頃。
マキは俺を迎えに来てくれた。
マキ「キング♪お待たせー♪」
マキ!マキマキ!マキィーー!!
会いたかったよぉぉーーー!!
千切れんばかりに尻尾を振ってマキに駆け寄ると、マキは笑顔で俺をギュッと抱きしめてくれた。
マキ「寂しかった?ゴメンね」
寂しかったし怖かったよぉー!!
いい匂いのするマキの顔をペロペロ舐めて擦り寄ると、マキも優しく撫でて俺にキスしてくれる。
マキ!マキ!柔らかくていい匂い!待ったよマキ!俺!お利口に待ってたよ!あー、マキの匂い安心するぅ!!
保健室の入り口にはさっきマキと一緒にいた友達3人も来ていて、なんだか女子2人が悶えてた。
礼「あー!キングとマキちゃんイイ!!」
鼻を抑えて礼がみみにもたれかかると、みみもなんだか表情が緩む。
みみ「礼ちゃんやめてよ、想像しちゃうからやめて」
礼「だってイイじゃん、擬人化キング!日焼けした焼け肌で元気っ子が優等生マキちゃんに懐いてる構図!マキちゃんも普段誰とも馴れ合わないのにキングにだけは優しい笑顔で…」
みみ「礼ちゃんってば…」
なんだか楽しそうな女子2人を、氷室威がおでこ小突いて叱ってる。
氷室威「こらこら礼、マキに聞こえるだろ、妄想は脳内に閉まっておけよ」
礼「暴力反対」
氷室威「おでこが広いから押しやすかったんだよ」
礼「ちょっと、確かに私のおでこは広いけど、ミィちゃんのまで小突くこと無いじゃん」
氷室威「巻き込んだのは礼だろー」
なんだか賑やかな3人。本当にマキと友達なのかな?なんか雰囲気良さそうな奴らだな…。
初めて見るマキの同級生を観察していたら、俺を抱いてるマキに、イケメン好きとやらの保険医が腰をくねらせながら近づいてきた。
先生「マキ君ワンちゃん飼い始めたばかりなんでしょ?何か相談事があったらいつでも相談に乗るわよ。一人暮らしなんでしょ?」
マキ「お心遣いありがとうございます。でも…」
マキが張り付いた笑顔で答えると、保険医は甘ったるい匂いの香水を漂わせながら、後ろの3人に見えないように、マキの手をそっと握り締めた。
先生「キング君寂しがりやみたいだし、私のワンちゃんお友達に紹介することもできるし」
マキ「大丈夫です。キングは普段から僕の家族みたいな男の仲間大勢に囲まれて生活してるから、美人な女の先生とじゃ緊張するし、2人きりとか普段そんな少人数でいないから余計寂しかったんだと思います」
先生「…そうなの」
マキ「キングを見ていて下さりありがとうございました。今後は着いてこないように十分気をつけますね。お世話になりました。ほらキングもご挨拶して」
キング「ワンッ!」
俺の元気な声で、マキが保健室を後にした。
保険医の先生はちょっと残念そうに手を振ってた。
廊下を歩いて出口へ向かう途中、礼が可笑しそうに笑いだす。
礼「先生ってばマキちゃんとお近づきになりたかったのにバッサリで寂しそうな顔してたね」
氷室威「ハハッ、マキは美人で成績優秀だしモテるけど、茉爲宮って名前に寄ってきてるのバレバレ」
みみ「…先生の場合、単にイケメン好きなだけでしょ。目の保養になるって公言してるから、そこまで黒くは無いと思うよ」
苦笑いした氷室威に、みみが冷静にツッコム。
俺にはなんのことか分からないけど、マキが大学でモテモテなのはなんとなく分かった。
礼「イイね♪愛と欲はどっちが勝るのか!いいテーマだと思わない?」
みみ「研究テーマ増やしすぎると調べられなくなっちゃうよ」
礼「あはは♪そうでした」
仲良しな2人が、毎回テンポよくおしゃべりしてて、なんだか漫才を見てるみたいで楽しい。
女の子ってこんな風にクルクル表情が変わるもんなんだと可愛く思う。
杏子はクールな女だから、キャピキャピ可愛いのとは縁遠いし。でもでも杏子は俺をいっぱい構ってくれるから大好きだ。
氷室威「マキ、今日は部室寄ってくだろ?」
マキ「うーん、キング居るし…」
氷室威「いいじゃん、キング君もいて大丈夫だよ、ウチの部活少人数だし、子犬嫌いな奴なんかいないって。ヨシ!今日のテーマはキング君にちなんで、なぜ赤ちゃんを可愛いと思うのかってことにしよう」
氷室威はまた馴れ馴れしくマキの肩を抱いて強引に歩き出した。
なんだお前!さっきっからベタベタしやがって!
マキを狙ってんのか!?マキは俺が守るんだからな!
エイ!やあ!その肩を抱いたとを退けろ!触んな!噛み付いてやる!
キング「ウ¨ー。」
マキ「どうしたのキング。ああ、まだ氷室威さんを紹介してなかったね、大丈夫氷室威さんはいい人だよ」
俺が唸るとマキがあやすように背中を撫でてくる、それが気持ちいのなんの…
ふぁああ…、マキの手が気持ちいい…。
マキ「氷室威さんは、僕やみみちゃんの2つ上だけど2年生なんだよ」
氷室威「うぅ…ダブってんのバラさなくても…」
マキ「氷室威京(ひむろいきょう)さん、キングも仲良くしてね」
氷室威「氷室威京です。よろしくねキング」
キング「ワン!ワンワン!」(やだね!)
マキには悪いけど、マキの肩をガッチリ抱いてるこいつは気に入らない!離れろ!離れろ!
氷室威「あははっ、嫉妬か?さっきもマキを守ろうと勇敢だったんだってな、かっこいいぞ」
氷室威は俺が吠えるのも物ともせず、大きな手で頭を撫でてきて、首を撫でたり背中を撫でたり、いかにも動物の扱いに慣れていた。
あっ、そこ気持ちいい!
俺そこ弱いんだ、あぁ…。
礼「やん♪マキちゃんを取り合う三角関係♪」
みみ「もぉ、礼ちゃん」
俺たちのやりとりを喜んでる女子2人。しかし、この2人をもっと喜ばせる事がこのあと起こる。
女の子たちは喜ぶ事だが。
俺にとっては天敵との再会!
そして今、俺が冒険している間に、仕事中の鬼がふつふつ怒りを沸たぎらせている事など、呑気な俺はこの時、知るヨシも無い…。
ーゴゴゴゴゴゴッ!!
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