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18歳以上ですか?
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ー芽生えー18
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……結局。
………僕は、
…ユリちゃんと神さんを尾行するのを、やめた。
だから、2人がランジェリーショップに入ったかどうかは見てない。
氷室威「はーい!みんな聞いてくださーい!まだの人もいますが、時間になりましたので、乾杯したいと思います。皆様グラスを持ってください!」
氷室威さんの声が響いて、みんなのお喋りをやめてグラスを持ち始めた。1年は未成年なので、ジュースを持ち、20歳を超えてる人はビールのジョッキ。
居酒屋に集まった恋研のメンバーは20人を超えたみたい。僕の参加を聞いて、やっぱり行くって言った人がいたって。
座敷の宴会場は掘りごたつになってて、30人入れる広さの個室だから、みんなゆったりと各テーブルに座ってた。
氷室威「グラス無い人いないですね?
それでは、部長から一言」
2年生の氷室威さんの仕切りでみんなグラスを掲げ、3年生の部長が立ち上がった。
部長「今日は、茉爲宮優絆君の歓迎会です。もう知ってる人はいいですが、今日初めての人は挨拶してね。それからもっとサークルに顔だしなさーい」
部長の言葉に笑いが起きて、何人かが返事をした。
部員は全員仲良しだから凄く楽しい空気の中、部長が僕の方を見る。
部長「茉爲宮君これからよろしくね。一言ちょうだい」
マキ「茉爲宮優絆です。みなさん宜しくお願いします」
僕はその場でペコリとお辞儀すると、温かい拍手を貰って、全員が個々によろしくって言ってくれた。
部長「それでは、皆さんこれからも良い恋研していきましょう。乾杯!!」
「「かんぱーーーーい!!」」
部長の合図で一斉に乾杯。
待ってましたとゴクゴク飲む人や、おしゃべりしだす子と場が賑やかになった。
僕は、川の字に並ぶテーブルの左側の壁側、真ん中らへんに座ってた。正面には礼ちゃんとみみちゃん、右隣には氷室威さんが居て、僕の左側には氷室威さんと同じ2年生が座ってた。
氷室威さんは、成人男子の中で1人だけ乾杯の時ビールじゃなくてカシスオレンジを持ってたから、目の前の礼ちゃんにからかわれた。
礼「あはは、氷室威さん乾杯にビールじゃなくてカクテル?」
氷室威「おしゃれだろ?」
なぜか自慢げな氷室威さん。
礼「お酒弱いんですか?強そうなのに」
氷室威「そんなことないよ、炭酸が苦手なだけ、可愛いだろ?」
おちゃめにウインクした氷室威さんだったけど、礼ちゃんに笑われ
礼「男らしくないー。ねぇー、みみちゃん」
みみ「ふふふ」
みみちゃん間で笑うから、僕も思わず笑っちゃった。
氷室威「あっ!マキちゃんまで笑ったぁ…」
拗ねた顔した氷室威さんに、謝ったけど、笑いは止まらないから氷室威さんが益々拗ねちゃった。
マキ「ふふふ♪」
みみ「…?。マキちゃん、疲れてる?」
マキ「え?、なんで?」
みみちゃんの唐突な質問に、礼ちゃんと氷室威さんが同時に僕の顔を覗き込んだ。
向かいの席のみみちゃんと礼ちゃんは居酒屋の明かりじゃよく見えないらしい。
だけど隣の氷室威さんは目と鼻の先まで近づいてきた。
マキ「氷室威さん♪近すぎ♪」
氷室威「んー、確かに…、緊張してるとか?」
マキ「僕が緊張するような奴じゃないって知ってるくせに♪」
氷室威さんは「ですよね」って納得してたけど…。
横目で見た女の子たちは納得いってないみたいで…。
礼ちゃんも何かに気がついてみみちゃんとコソコソ話して頷いてた。どうやら、みみちゃんが気がついたことと同じことを礼ちゃんも気づいたみたい。
ふふふ♪
「ちょっと氷室威、なに茉爲宮君独り占めしてんだよ」
僕らの席に、僕との初めて会う部員が何人かビール片手に現れた。
そこからは、いろんな人が入れ替わり僕と挨拶したりお喋りしたり、歓迎会は賑やかに過ぎていく。
同い年ぐらいの子と、しかもこんなに大勢と一緒にいるのは、今までなくて。この恋研に入ってからだから、なんか新鮮だった。
1時間経った頃、お酒を飲んでた人たちは酔いが回り砕けた話もちらほら、恋研らしく恋話に花が咲く。
「茉爲宮君モテるでしょ、彼女いる?」
興味津々の女の子たち。僕はニッコリ笑って〝恋人がいるよ〟と答えると、残念そうなため息が漏れる。
まぁ、彼氏だけどね♪
「彼女さんってどんな人?」
「年下?年上?」
いろいろ質問してくる人がいたけど、みみちゃんと礼ちゃんが誤魔化してくれたり話を僕に合わせてくれたり。勘のいい2人は僕にとって居心地がいいようにしてくれる。
部長「いやー凄い凄い、女の子みんな茉爲宮君に夢中だね」
僕のテーブルに、部長と副部長がやってきた。2人ともサークルの集まりですでに会ってたけど、僕の隣に副部長が割り込んできた。
副部長は茶髪でノリの軽い人。瓶ビールと空のコップを持って僕に渡そうとした。
副部長「茉爲宮君改めて乾杯しよう」
副部長が勧めたビールが、僕に手渡される直前。
隣にいた氷室威さんが割って入る。
氷室威「副部長、こいつは未成年ですよ」
副部長「固いこと言うなよ、茉爲宮君の歓迎会だし、お前だって去年飲んでたじゃん」
氷室威「それは、先輩達が伝統だとかって無理矢理」
副部長「そうそう、伝統行事だから、みんな心を開いて恋愛トークできるようにってさ、茉爲宮君緊張してるみたいでさっきっから口が固いからさぁー。さぁ茉爲宮、先輩が注いだ酒だぞ粗相すんなよ」
副部長は、確かに普段からサークル内でよく絡んでくる人だった。まぁ、恋研サークルなんだから恋愛トークぐらいしなきゃ駄目なのはわかるけど。副部長を含め何人かが聞きたいのは、僕の恋愛トークと、大学内に流れてる噂の真相だろう。
マキ「やだなー副部長、それって酔わせて根掘り葉掘り聞こうってことですか?♪。でも残念、口が固いんでも緊張してるんでもなくて、僕にはそんな人に言うほどの恋愛経験ないですよ♪」
僕がニコニコ答えると、副部長もニコニコしてる。その目は「うっそだぁー」と言うように。
副部長「茉爲宮君今年の1年の中で1番かっこいいっていわれてるんだから、そんな謙遜しなくてもいいじゃん、モテモテでよりどりみどりじゃん。そんな茉爲宮君のハートを射止めた恋人ってどんな人かみんな興味ある訳よ。イケメンが恋する心理を教えてよ、どんな気分?」
副部長を含め、部員の男子たちには確かにモテモテになりそうなイケメンはほぼいない。普通くらいのレベルが多くて、でもブサイクばかりって訳じゃない。
何人か顔のいい人もいるけど…。恋研で議題を話し合う時の話を聞いてると、その人達の恋愛感はモテる感じじゃない。
氷室威さんはイケメンに入る、性格もいいし優しいし頭もいいけど、男って感じで女心を分かってない事がある。女の子の買い物は長くて面倒くさいとか、ご飯をちまちま食べるより美味しいうちにさっさと食べればいいのに、とか。まぁ、ちょっとした事。
マキ「…ふふ♪僕はモテモテじゃないですよ。まぁ、多少〝この顔寄ってきた男(ひと)〟はいましたけど、顔が綺麗ってだけの話で、モテた訳じゃないです」
副部長「そりゃ、最初はそうかもしれないけど、〝女の子〟に言い寄られて悪い気はしないだろ?」
マキ「ふふふ♪顔だけイイって言われても」
副部長「何々?茉爲宮は彼女に条件厳しいの?それとも性格に難ありなの?それとも特殊な性癖でもあんの?」
マキ「ふふふ♪副部長、僕まだ一滴も飲んでないですから♪」
副部長「あっ、じゃあ飲もう!今夜はパァーッと飲んで全部話そうよ」
マキ「ふふふ♪僕、お酒強いから先輩が先に潰れちゃうと思いますよ♪」
副部長「あはは、イケる口?なら飲もうよ、俺もかなり強いから全部話してもらうぜ」
マキ「ふふふ♪僕が負けたら、何でも話しますよ♪」
僕らの話の流れを聞いてた氷室威さんとみみちゃんと礼ちゃんが止めようとしてくれたけど、集まってるみんながそれを止めさせなかった。
男は、大学内に流れてる噂の真相を知りたいって好奇心の目と、女の子は茉爲宮君の事知りないって好奇心の目に囲まれ
僕はどうでもよかった。
昼間見た光景が脳裏に焼き付いて、この胸の中の物を飲んで忘れたかった。
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