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(裏)ー芽生えー2
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未成年の癖に酒なんか飲みやがって、ヘラヘラヘラヘラ無防備な顔晒したんか、この馬鹿タレが!
酔う=モブどもの餌食、と、ついつい考えてしまう俺の沸点の低さ。
ここが菫の店だろうと構わず怒鳴ってマキの肩を掴むと、目が合ったマキの表情に息が止まるほど驚いた。
マキ「………」
なっ、泣くッ!?
ヘラヘラしてたはずのマキの表情は、一瞬にして崩れ去り、涙目に潤む瞳を悲しそうな悔しそうな、そんな複雑な表情で歪ませて俺を見上げた。
百目鬼「ッ!?」
マキが俺の前で泣いたりするのは普通のことだが、こんな大勢人がいる前で、感情的な泣きそうな表情に歪んだのに驚いた。
それぐらい、ビックリするような悲痛な表情だった。
マキの表情に驚いたのは俺だけじゃない、この場にいた、普段のヘラヘラ笑うマキを知ってる全員が、ヒヤッと焦るほど驚いていた。
もちろん、普段からかってばかりの賢史も、思わず俺とマキの間に割って入った。
賢史「…、はいはい、神君落ち着いてぇー、女王様だって付き合いってもんがあんだから、いちいち怒鳴ってたらこの先どうすんの?」
一瞬ひやっとした空気を、賢史がすぐさま元に戻す。
俺も、ここでマキの素顔を晒して問い詰めることはしたくない、泣いたり怒ったりすりマキは、俺だけが知ってればいい。
自分で泣かしそうになりながら、助け舟を出してくれた賢史の軽い口調にあわせた。
百目鬼「刑事がそんなんでいいのか」
賢史「今はプライベートですから。それに俺たちだって20歳前に味見くらいしたろ?」
賢史に文句を言いながら、内心俺は焦りまくりで、賢史のフォローに感謝しながら、マキの様子を伺った。
賢史の後ろに庇われたマキは、もうヘラヘラ顔に戻ってた。
…なんだったんだ?
普通なら、誤魔化し笑いしてもちゃんと謝るやったのに…
賢史「そうだ女王様、もう酔ってるなら俺からも美味しい酒一杯奢るよ」
マキ「ふふ♪遠慮しときます。賢史さんに奢られたら後が怖いから♪」
酔って普段と違うようには見えない。むしろいつも通り賢史のちょっかいをキッパリ断ったマキ。
大量のお酒の匂いが確かにするのに、足元はしっかりしてるし、ろれつも変じゃないし、酔っ払い独特の陽気さも特にない。
ただ、俺の嫌いなヘラヘラ笑いでニコニコしてるだけ。
さっきの表情…。
飲み会で何かあったのか?
それとも俺が怒鳴ったから?
クソッ、こんな時、誤魔化されたら俺にはマキの気持ちが見えない。
俺には、修二や奏一みたいに察してやれない…。
取り敢えず、菫ママから水を貰って飲ませたが、マキは、酔ってないからの一点張りで、かと言ってこれ以上突っ込んでさっきみたいな表情されたんじゃ困る。
百目鬼「おいマキ、帰るぞ」
マキ「…えー、今来たばっかりじゃん、菫ママともっとお話ししてたい♪」
マキは珍しく反発して、甘えた顔で菫ママに抱きついてを誑かす。
大柄の着物着た化け物が、可愛い子に鼻の下を伸ばし、化粧で隠しきれない青髭の目立つ顔を押し付けるようにマキを抱きしめ大喜び。
菫ママ「私もマキちゃんとお話ししてたいわぁー」
酒焼けした野太い完全なる男声で甘ったるい喋り方をされるとゾゾッと悪寒が走る。
百目鬼「マキ!何抱きついてやがんだ、離れろ!」
マキ「なんでぇ?」
反抗的なマキ。どうやら俺を怒らせたいらしい。
百目鬼「とにかく離れろ」
菫ママ「ちょっと神、乙女同士が抱き合ってるだけじゃない、器のちっちゃい男ね」
百目鬼「お前はれっきとした男だ、化粧じゃ誤魔化せないほど男丸出しだろうが」
菫ママ「なんだとこの若造が!!」
本性丸出しのヤクザも尻尾を巻きそうな怒鳴り声を出した菫、だがマキに止められて我に帰ると、「私ったらっ、テヘペロ♪」ってな気色の悪いぶりっ子になりやがる。
菫ママ「あんた、何処まで嫉妬するの?そのうちマキちゃんと目が合った人みんなに噛み付いて歩くつもり?」
…。可能性を否定できない。
そう思っていたら、その心を読むかのように、賢史が笑い出す。
賢史「許してやってよ菫ママ。神はお子ちゃまなんだ、オモチャが手放せないガキなんだよ。誰にも貸してやらずに一人占めするようなガキンチョなの」
そう言いながら、菫と抱き合ってるマキの肩を抱いて自分の腕の中に引き寄せた。
すぐさま睨みつけると、賢史は鼻で笑う。
賢史「だから、リハビリしろよ。マキちゃんを一人占めしっぱなしにはいかないだろ?」
百目鬼「離れろ賢史」
賢史「おいおい、肩抱いてるだけだろ?」
なぜか、賢史に肩を抱かれて大人しくしてるマキ。
俺がこんなに不機嫌なのに、賢史の手を払おうとしない。
百目鬼「…マキ、帰るぞ」
賢史「そうピリピリしなさんな、なんだよ、肩抱くのダメ?なら手を繋ぐのは?」
百目鬼「ふざけんな」
賢史「撫で撫でするのは?」
百目鬼「いい加減にしろ」
賢史「何々?隣にいるのも駄目?」
百目鬼「賢史!」
賢史「おー怖ッ」
お手上げだってやっと賢史が両手を挙げて離れた。
百目鬼「マキ、帰るぞ」
マキ「…」
百目鬼「マキ」
マキ「……、…して…くれたら…帰る」
百目鬼「あ?」
マキはボソボソ何か言ったが聞こえず、もう一度言えと言ったら、マキは、ヘラヘラ笑ってとんでもないことを言い出した。
マキ「キスして抱っこしてくれたら帰る」
百目鬼「はぁあッ!?」
冗談だろ?!
驚いた俺がマキを睨むと、マキはヘラヘラしながらも真剣な目で俺を見てる。
冗談じゃないならなおさら悪い。
百目鬼「ふざけてないで帰るぞ!」
マキ「ふざけてないよ♪本気だよ♪チューして抱っこしてくれなきゃ帰らないもん♪」
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