アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー芽生え歌うー16
-
檸檬さんに声をかけられて、僕がハッとするより早く、百目鬼さんが腕の中に僕を抱き込んで隠すみたいにして檸檬さんをギロッと睨む。
百目鬼「チッ…、取り込み中だ」
ふえ!?
神さんいつの間にかキレてた。
神さんの言葉に驚きを隠せない。神さんは仕事人間で、事務所の人間にバレるのをあんなに嫌がってたのに、今は隠そうともしないで檸檬さんを威嚇してる。
あっ、僕はしっかり隠されたけど。アハッ♪
檸檬「カワウィーマキちゃんとお取り込み中すいませんが」
百目鬼「見んな!あっちいけ!」
檸檬「残念ながらお電話でーす」
百目鬼「チッ」
神さんがいつの間にかキレてたことにも驚いたけど、それ以上に、神さんの子供みたいな態度にビックリ。
子供みたいに剥れて口を尖らせて、檸檬さんを見てはガルルッと威嚇してる。
神さんは悔しそうに僕を離すと、なぜかスーツの上着を脱いで僕の顔に押し付けてきた。
マキ「ニャ!?」
百目鬼「顔を隠して上に行ってろ」
物凄い不機嫌な声で、僕の火照った赤い頬を見せるなとギロッと睨む神さんは、もう、僕にとっては目眩がするほど可愛いんですけどォォ。
神さんの背広に顔を隠していると、檸檬さんがニヤニヤ神さんをからかう声が聞こえてきた。
檸檬「もう見ちゃいましたよ、マキちゃんの可愛いキス顔」
百目鬼「今すぐ忘れろ」
檸檬「そんな睨んでも恐くないしぃ」
百目鬼「テメェ」
ゴゴゴゴゴッと地鳴りが聞こえ出し、どうしよう、でも可愛いって思ってたら、杏子さんがピシャリと言い放つ。
杏子「百目鬼さん、仕事中です。お電話ですよ急いで」
百目鬼「むぅぅ…チッ」
まるでお姉ちゃんに叱られた子供みたいにムスッとした神さんは、ドカドカ足を踏み鳴らして事務所に戻って行く。杏子さんがため息まじりに追いかけて電話の内容を伝え、二人は見えなくなった。
僕は神さんに言われた通り、背広を被ったまま三階自宅に帰ろうと、背広の隙間から自分の足元を覗き見て階段を登ったら、僕のじゃない足が目の前に現れた。
そっと背広の隙間から足の主を覗くと、それは事務所の前に立ってる檸檬さんの足で、檸檬さんはニコニコしながら僕を見てる。
檸檬「よかったね」
マキ「へ?」
背広に頭を包んだまま、変な声が出た。
だって、良かったって何が?
キスしてもらったこと?
檸檬「俺、なんか安心した」
嬉しそうにホッとした様子の檸檬さんは、イタズラっぽく笑う。
檸檬「これからは、雪哉さんのところにお菓子買いに行くのはマキちゃんに任せたから、そんで、梅さんの話し相手もね。百目鬼さん、かなり悩んでたけど、これからもマキちゃんが事務所に出入りできるようにしてくれるよ」
あっ…
檸檬「百目鬼さん心配性だから、マキちゃん自身も危ないことしないように気を付けてね」
マキ「…うん」
檸檬「ならよかった。そしたら少しづつ、百目鬼さんと一緒にいる時間増やしてもらえるから。まぁ、一緒にいたいのは百目鬼さんなんだけどね」
マキ「え…」
檸檬「ふふふ、背広なんかで隠すくらいなら見えるところでイチャつかなきゃいいのにね。百目鬼さん気づいてないみたい、今日はマキちゃんが事務所にいる間ずっと百目鬼さんの頭はお花畑だったし」
お花畑…
神さんがお花畑って…、ウハッ、何それ。
檸檬「ほんとよかった。マキちゃんが百目鬼さんを好きになってくれて」
マキ「えっ…」
檸檬「さっきの熱烈な告白、聞こえちゃった♪」
檸檬さんはテヘ♪っと、おちゃめに上唇を舐めるように舌をペロッと出し。
僕の思考は停止した。
さっ…
さっき…の…
き、聞こえた?…
えええ¨え¨ーーーーッーーーーッ!!!!
檸檬さんがニヤニヤ僕を見つめる。
僕は背広に隠して顔に出さないように必死だったけど、あまりの恥ずかしさに態度に出たんだと思う。
檸檬さんが嬉しそうに言った。
檸檬「俺はさ、ずっと百目鬼さんばかりがマキちゃんにメロメロで戸惑ってワタワタしてるのかと思ったけど、マキちゃんも百目鬼さんのこと凄く好きなんだね。さっきのスッゲー愛を感じた」
ギャアアアーーーーーーーー!!!!
改めて言われると、顔が沸騰しそう。
だってだって!神さんに伝えなきゃって思ったから!
神さんに素直な気持ちを言わなきゃって思ったから!
それを神さん以外に聞かれたとか恥ずかしすぎるから!!
うわーん!!
檸檬「あっ、マキちゃん照れてるの?手まで真っ赤になっちゃった」
ピギャッ!!
檸檬「マキちゃんも照れるんだねぇ、可愛い。ねぇねぇどんな顔してるの?背広とって顔見せてよ」
マキ「ッ、ダメですぅ」
冗談じゃない。こんな顔見せられるわけないよ。
神さんにメロメロなのさらすようなもんだ。
檸檬さんから逃げようとしても、背広の隙間から見てる僕の視界は狭くて、すぐに檸檬さん逃げようと捕まっちゃた。
檸檬「え?何々?そういう顔は百目鬼さんにだけ見せるとか?ふふふっ、余計見たいんですけど」
そういうんじゃなくて!
弱みをホイホイ見せられるわけないし、神さん以外には僕の素の顔を教えたりしないって約束だもん。
マキ「やん、檸檬さんのエッチ!」
檸檬「えー、いいじゃないのぉー」
マキ「だめよぉーダメダメ」
檸檬「アハハッ、ノリいいね、なら見せてよ、ちょこっとだけ」
マキ「檸檬さんのスケベ、百目鬼さんに怒られちゃうもん」
檸檬「怒ったって怖くないよ、マキちゃんが大好きすぎて嫉妬してるだけだし」
マキ「やーん、ダメぇー!」
檸檬さんがイタズラに神さんの背広を引っ張って僕の顔を見ようとするから抵抗してたら、遠くから地響きが聞こえてきた。
ーゴゴッズゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!!!
百目鬼「れーーもーーんーーきーーさーーまーー」
檸檬「ウハハハハッ、怒ってる怒ってる♪」
怒りの波動で岩とか浮かして従えてそうな神さんを恐れもせず、檸檬さんがお腹を抱えて笑ってる。
檸檬「ギャハハッ、ウケる、さっきまであんなにブツブツ言ってたのにキレちゃうの?嫉妬しまくりじゃん百目鬼さん」
百目鬼「黙れセクハラ野郎」
檸檬「セクハラなんかしてないですよぉー、顔見ようとしただけじゃん」
百目鬼「それがセクハラだ、重罪だ」
檸檬「もぉ、百目鬼さん心の広い男になるって言ってたばかりじゃないっすか。顔見ようとしただけで心狭いっすよ」
百目鬼「狭くて結構!マキはモブ取りホイホイなんだよ!見るだけで害虫引き寄せる魔性のクソガキなんだよ!」
檸檬「うわぁー、今俺サラッと害虫認定?」
百目鬼「害虫だ」
檸檬「嫉妬丸出しじゃん、マキちゃんのこと大好きじゃん」
百目鬼「それがどうした。近づくな!触んな!見るな!」
檸檬「うわぁー、子供じゃん」
百目鬼「うっさい!」
檸檬「百目鬼さん、別に面白いからいいけどさ、百目鬼さんの後ろでマキちゃん萌え殺されて魂抜けちゃってうずくまってるよ」
百目鬼「ハアッ?!」
うぅウゥ……
神さん可愛い神さん可愛い
神さん可愛い神さん可愛い
神さん可愛い神さん可愛い
百目鬼「ウオッ!?マキッ!?マキ!!」
檸檬「ギャハハハハハハッ!!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
968 / 1004