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俺たちの軌跡【修二】
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ずっと、薄暗い池の底から、水面に見える眩しい太陽に憧れ、安らぎを与える春の暖かな風に憧れていた。
それはもう、二年も前の話。
高校に入った時。まさか高3になったら2人と付き合うことになるなんて想像してなかったし。
高校を卒業する時、まさか本当に2人と同棲するなんて夢のまた夢だと思ってた。
太陽のようなむつと、安らげる場所をくれる華南と、もう1年半も一緒に暮らしてるなんて。
同棲して二度目の冬。
僕ちゃんは大学2年生。
むつと華南は社会人2年目。
華南は順調に仕事に慣れたけど、担当が付いたり、新人を教えたり、2年目は2年目で色々大変みたい。
むつは色々あったけど今年の11月から始めたマッサージのお店は、オネエ様方に人気だし、マキや菫ママの協力で、そこそこ忙しくやってる。
僕ちゃんは特に波風なく過ごし、大学で勉強して家で家事して2人とご飯食べて一緒に眠る。
高校の時ほどべったり一緒にはいないけど、不安は無いし、充実した毎日。
心配事があるとすれば、僕ちゃんのことじゃなくて、マキと百目鬼さんの事だったり、兄貴は結婚しないのとか、実はアヤちゃんが兄貴を好きな事だったり、自分の事より僕ちゃんの周りが全然落ち着かない事。
みんな幸せになって欲しい。
修二「お疲れ様兄貴、僕ちゃん帰るけど、兄貴は今晩家来るの?」
バイト終わりに兄貴に声をかけると、兄貴は営業スマイルから素の顔に戻った。
奏一「お疲れ修二。あー…さっき彩さんからメールがあって良い酒手に入れたからって誘われたから飲み行ってくるわ」
アヤちゃん結構攻めてる?
…兄貴は、アヤちゃんが兄貴を狙ってるの知ってんのかな?。うぅ、学生の時散々お世話になったからなぁ…。なんとも複雑。兄貴には、苦労かけた分誰より幸せになってもらいたいんだけど…。
羚凰「あー!ズルいズルい!」
奏一「煩いなぁ羚凰」
羚凰「また彩さんと2人きりなんて!俺も混ぜてくださいよ!」
奏一「修二、気をつけて帰れよ。マキに宜しくな」
羚凰「無視ッすかぁ!!」
奏一「ハイハイ仕事する。仕事のできる男ってカッコ良いなぁ」
羚凰「仕事するっス!だから一緒に連れてってくださいよぉぉー」
今日も賑やかな羚凰さん、兄貴にデッカい尻尾フリフリ大型忠犬だけど、兄貴にはいつも軽くあしらわれて可哀想だけど、兄貴は嫌いな人間にはあしらいもしないし、信頼を置ける人じゃ無いと仕事を任せたりとかもしないから、羚凰さんのこと気に入ってるんだと思う。
兄貴は、僕ちゃんが家出たら彼女できると思ったのに、1年半経って女の人と一緒にいる社員の夏さんくらいとしか無いし…、いつもアヤちゃんと谷崎と最近じゃ羚凰と宅飲みばっかで、ホント大丈夫かな?
後ろ髪引かれながら兄貴の店を後にして、帰りがけに商店街でお買い物。
すると、人混みの中で男女の学生カップルにチャラい茶髪の男が絡んで言い合いをしているのが見えた、何だろうと思ったら、その男の人達は良く知った顔だった。
修二「こんにちは、北斗君に東紫さん、どうしたんですか?」
華南の弟で高校3年生の北斗君と、華南の兄で大学四年生の東紫(とうし)さんが、なんだか揉めていた。
北斗「修二さん!助けて下さい!東紫が僕の彼女をナンパしてきて、有る事無い事僕の悪口吹き込んでるんです!」
北斗君の後ろには、同じ高校のエンブレムの入った制服を着た女の子が、顔を赤くして隠れてた。
東紫「やだなぁ、栞ちゃんが俺をカッコ良いって言うから、俺と付き合っちゃえばって言っただけじゃん。後は悪口じゃなくて俺の方が勝ってる事のアピールじゃん」
東紫さんはケラケラ笑って北斗君の肩を叩いたけど、北斗君は本気で嫌そうにその手を払いのける。
華南の兄の東紫さんは、見た目もチャラいが恋愛はもっとチャラい。僕ちゃんの知ってる限りでは、1人の人と長く続かなくて浮気当たり前、だけど超イケメンだし頭が良くて将来有望だからモテモテ、女の人はみんなこの状態を知った上で東紫さんと付き合いたいと殺到する。
華南は、経験は豊富だけど、二股掛けたりとかはした事なかった。東紫さんを反面教師にしてて、1人を誠実に愛したいって昔から言ってた。
そういえば、長男の西牙さんも来るもの拒まず去る者追わず、だけどみんなを平等に愛してる人で、本人曰く遊んではいないらしい。
こういうのを見ると、華南が性欲強いのは橘家の遺伝なんだなぁって思う。
修二「東紫さん、北斗君からかうのやめなよ、華南に言いつけますよ」
東紫「おー怖、修二君は北斗の味方なの?」
修二「華南が家を出てから、東紫さんのおふざけが全部北斗君に集中してるって北斗君からSOSがあったから、それ以来華南が止めるよう言いに行ってる筈ですよ」
東紫「だって、華南いないとおこぼれもらえなくてさぁ」
華南は昔、年上から凄いモテた。
そのお姉さん達の中には高級車持ってるセレブな人もいて、東紫さんは好みがいるとちょいちょい手を出してたみたい。
まぁ、華南は今もモテるんだけど。
東紫「それに、西牙ニィが最近結婚したいとか言い出してさ、俺にも女遊びやめたほうが良いとか言い出すし、華南は結婚したようなもんだし」
修二「えっ…」
一瞬なんの事を言ってるのかと思ったけど、東紫さんはいやらしい笑いを浮かべて僕ちゃんの肩を抱いてこっそり耳打ちする。
東紫「同棲随分続いてるじゃん♪華南は性欲強いけど修二君ちゃんと大学行けてる?」
エッッッッ!?!?!?
なんで!?なんで!?なんで東紫さんがそんな事言うの?!華南がバラしたの?!華南がッ…
固まった僕ちゃんを見て、北斗君が東紫さんと僕ちゃんを引き剥がしてくれた。
北斗「修二さんが困ってるだろ!何吹き込んでんだよ!」
東紫「ハハッ、吹き込んでないさ、華南と仲良くやってるかって聞いただけだよーだ」
まさか北斗君も?西牙さんも?
もしかして、家族にカミングアウトしたんじゃないよね??そんな話聞いてない!?
流石に冷静じゃいられなかった。僕が引きずり込んでおきながら、僕は母さんにはアミングアウトしてない。もし華南が家族にカミングアウトしてて、家族との間に溝が出来てたら、僕のせいだ…
華南はそんな事一言も…
東紫「あー…」
笑ってかわせなかった僕がいけないんだけど、僕の動揺を感じ取った東紫さんが、マズイこと言ったかな?って反省した頃、北斗君が僕らの様子に気が付いた。
北斗「修二さんと華南は仲良しだよ。東紫みたいに女取っ替え引っ替えして男友達とトラブってないし。華南は一途だからね。〝東紫も見たろ、華南が大事に隠してる恋人と華南が、仲良くイチャイチャしてる姿をさ〟」
えっ??
仲良くイチャイチャしてる所を見た??
あっ、もしかして華南の家に泊まりに行った時、東紫さんに見られてた??
北斗君とは脱衣所で出くわした事あったけど、誤魔化せたと思ったのに。
うわっ!マジ?!
イチャイチャって一体どんなとこ見られてたの!?
知ってて同居の話反対しなかったの!?
嘘でしょ!!
うわっ恥ずい!!
東紫「ッ!?。…そ、そうなんだ!」
東紫さんが僕の肩を抱き寄せて、北斗君と彼女と違う方に向かって急に向きを変えた。
少し焦ったような東紫さんの小声が耳に落ちてくる。
東紫「北斗が言った通り、偶然見ちゃっただけだから。だから、そんな顔すんなよ。今の話で顔赤くしたら女の子に怪しまれるぜ」
修二「ッ…」
東紫「ってか、修二ってそんな可愛い反応しちゃう子だったんだね、昔はずっと鉄仮面だったのに、華南がハマるのも分かるわ」
修二「違ッ」
東紫「まぁまぁ、俺は自由人だから人にも自由なわけよ、あんま気にすんなよ、俺と北斗だけだから」
そうニヤニヤ言われて背中をバシバシ叩かれたけど、なんだか別の意味で心配になってきた。
東紫「おっ、剥れた。そんな顔もするんだね。修二君って可愛いなぁ、俺とも試してみない?」
ッ!!
華南!助けて!!
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