アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
森の館⑧
-
40分ほど走ると、あたりは建物がまばらになり、ついには車窓から見えるものは両側にうっそうと茂る高い木々だけとなった。
深い森の中に、まっすぐにのびる1本の道路。
その道を、湊の運転する車はひたすら走っている。
陽もすっかり落ちてしまい、時々照らす街灯のオレンジ色が、ぼんやりと道を照らしている。
コウタは、こんなにひと気がない場所なのに、道がきれいに舗装され、街頭で明るく照らされていることに、奇妙な印象を持った。
このあたりを走っているのはコウタ達が乗るSUVだけだ。
もう、しばらく信号機すら見ていない。
この辺に来たのは初めてだ。
こんな場所があったなんて、全然知らなかった。
いったいどこに向かっているのだろうか…と湊を見ると、湊はコウタに応えるように片手をハンドルから離し、コウタの太ももの上に置いた。
「さっき泣いてたろ?なんで泣いてた?」
「…さっき?」
「待ち合わせの場所で。」
「あぁ… 夕焼けが綺麗で…。」
湊が来るのが遅いからだとは、口が裂けても言えない。
そんなことを言ったら、今すぐに車から放り出されてしまうに決まっている。
コウタが湊を求めることは、許されていない。
湊はコウタの返答にクスリと笑って、コウタの太ももにのせていた手を足の付け根までゆっくりと滑らせた。
それだけでビクンと反応するコウタを視界の端で満足そうにとらえながら、湊は独り言のようにつぶやいた。
「お前もすぐに、負けないくらい綺麗な赤色に染めてやるからな。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 463