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亨さん②
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夏樹は、座る前に室内を見渡したが、亨以外に人がいる気配も、いた気配もしない。
「あいつは?」
見える範囲には、あの不快の塊のような奴の存在を感じさせるものは何もないが… 奥の寝室か?
「あいつ?…あぁ、佑斗だったら、帰らせたよ。宿泊できるのは、会員とそのパートナーだけだろう? あの子はまだ、どっちでもないからな。 …何か飲むか?」
ふぅん。何言ってんだか。
宿泊に関するルールくらい、その気になれば、亨さんだったら、どうにでもできるくせに。
ソファの前のローテーブルには、年代物のウイスキーと飲みかけのグラスが置かれている。
「ハイボールで。」
夏樹がそう笑うと、亨はキッチンからソーダ水と氷の入ったグラスを持ってきて、L字型になっているソファに夏樹と角を挟んで、少し距離を取って座った。
亨がグラスにウイスキーを注いで、細いマドラーで一回かき回すと、カランと小さな音が響いた。
酒を作る亨の仕草は、色気がある。
この人、これ仕事にしたらいいのに…。
夏樹は、亨の手元に見惚れながら、そんなことを考えていた。
「…それで?」
亨は、グラスにソーダ水をゆっくりと注ぎながら、のんびりと訊いた。
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