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承‐3
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「そんで?その後どーなってんのさ?」
及川が木兎に尋ねる。
「? 何が?」
木兎が不思議そうに聞き返す。
あー、もうコレだよ、と及川は肩をすくめ、赤葦に同情したい気持ちになる。
「あの週刊誌の件!赤葦くんとは仲直りしたの?」
及川が聞き直す。
「いや。そのまんまだけど」
木兎が悪びれずに答える。
「え?だってもう1週間になるんじゃない?」
及川が驚いて声を上げる。
木兎は、普段なら赤葦と2人でやって来る梟谷学園高校の体育館に、突如1人で現れた。
週刊誌が発売された日に、怒れる赤葦が1人でこの場所に来て以来、木兎が来るのは初めてだ。
そして、部員達が帰ったことを確かめると、顔にクエスチョンマークを貼りつけた及川に、問答無用でトスを上げさせ、飽くことなく打ち続けた。
やっと休憩を取り、及川は気になっていた事を尋ねた。
「? てか、喧嘩してねーし?」
「じゃ、何で今日 赤葦くんと一緒じゃないのさ?」
及川が唇を尖らせて言う。
「なんか忙しそうだぞ、あいつ」
あくまでも楽観的に木兎が言う。
そんな様子の木兎を見て、及川は諦めたように小さく息を吐き、話題を変えた。
「そう言えば、あの会見てスレ違ってたよねー」
熱愛発覚と騒がれた直後、女優の方は芸能記者に囲まれて、交際を認めるようなコメントを取られたが、木兎は同じく記者に囲まれた中で歯切れよく受け答えをした。
「あー、食事に行ったのは本当です。美味しいイタリアンでした!」
「お相手の方は、お付き合いを認めてらっしゃいますが?」
女性リポーターの質問に、木兎は爽やかな笑顔で
「皆さんに囲まれてそう言っちゃったんですかねー。オレも今、スゴい圧を喰らってますもん!
あんまり女のコを苛めちゃダメですよ」
と返した。
「それは、本当のコトを言っちゃった、という解釈で よろしいですか?お付き合いされている、というコトで?」
尚も食い下がるリポーターに、
「今ね、色々言えないんですよー。リーグ戦もあるので、そっちに集中しないと、だし。
スミマセンねー。お役に立てなくて!」
木兎が煙を巻くように答える。
「では、リーグ戦が終わった段階で正式な発表が?」
「リーグ戦、頑張りますんで!応援、ヨロシクです!んじゃ、これで!ドモです!」
ひときわ爽やかに大きな声で答え、木兎は手を振って立ち去る。
快活さに誤魔化されているが、真実は何も語っていないのにも関わらず、スポーツ選手の特権か、何となく許されたような雰囲気になり、どのメディアも
好意的に続報を伝えてきたが、次第と落ち着きを見せている。
及川が面白そうに、会見の話題を出して木兎の顔を見ると、
「なあ。及川が写真を撮られた時さ、」
木兎が及川の眼を捕らえて言う。
「何で急にオレ?てか、またスレ違ってるよ?」
ハナシ、聞いてた?と及川が突っ込む。
「スガ君は何か言った?」
かまわず木兎が続ける。
「え……。それ、聞くの?」
及川が一瞬たじろぐ。
「あー、でも参考にならないか!オレと赤葦の関係と、及川とスガ君の関係は同じじゃないからなー!」
「いや。………いやいやいや」
「何だよ?お前ら、レンアイ的要素なかったの?付き合ってただろ?」
「それは確かに、なんだけど。……いやいやいや」
及川は言葉を探しながら首を振る。
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