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承‐4
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「及川。お前、変だぞ?そんなに首 振ってると、もげるぞ?」
木兎が不審そうに言う。
「ぼっくんに、変、とか言われたくないよね!て、言うかさ!ぼっくんて赤葦くんのコト、どー思ってんのさ?」
及川が耐えかねて核心をつく。
「どー、って?」
きょとんとした顔で木兎が聞き返す。
「ほらさ、好き、とか、嫌い、とか、気になる、とか、居なきゃ困る~、とか」
「うーん………居てくれりゃ助かるけど……居なきゃ困る、てのは、どーだろ。勿論、キライじゃないし、何てったってオレのシンパだし!カワイイ奴だ、と思ってるけど?」
成人男性が同性の友達に抱く、ごく普通の感情を聞いた及川は、赤葦の片想いを憂えて気の抜けたような声を出す。
「あ、あ~~………うん、そうだよね、ぼっくんだもんね」
「どーゆー意味だよ?」
「でもさ、それをそのまんま赤葦くんに言ってあげたコトってある?」
「んー……」
曖昧な声を出して木兎が体育館の天井を仰ぐ。
自分の未熟だった頃を見続けてきたであろう、この場所は、今でも郷愁と初心を思い起こさせる。
「オレさぁ。今まで赤葦の掌で転がされてきたじゃん?」
「自覚あるんだ」
「オレがショボくれた時とか、あかーしの一言で立ち直るコトも多かったし」
「分かってんじゃん」
「オレ、言葉に弱いから、あかーしに教えて貰ったりとかさー」
「ぼっくんのが先パイだよね」
茶々を入れる及川を気にすることなく、木兎が続ける。
「でもさぁ。オレだってダテに主将をやってきた訳じゃねーし、エースを張ってきた訳でもねーんだよな 」
「……うん」
それを言うなら自分もだ、と及川は静かに頷く。
チームの中心でいることの誇りと責任の重さを知る者としての共感だ。
「赤葦の掌で踊ってるのを楽しんできたのは確かだけど。これからは、ソレだけじゃ駄目な気がしてさ」
「……あの『彼女』がらみ、って、やっぱりそういったコト?」
及川が探るように木兎の目を覗き込む。
「うん」
瞳に強い光を宿して木兎が及川を見る。
「そっか。……良いなぁ。オレはフラれちゃったからなー」
及川が肩をすくめる。
「フッたんだろ?スガ君が居たから?」
「難しいよね。オレのせいだけどさ。条件とか、色々……でも、遅かれ早かれダメになったよ」
薄く笑った及川が視線を落とし、
「早く赤葦くんに教えてあげればイイのに」
と諭すように言う。
「もう少ししたらな。あいつはオレのこととなると、結構 顔に出るから危うくて」
木兎がニヤリと笑う。
「よく見てるね。さすがに主将歴任してるだけのコトはあるね!」
「茶化すなよ」
木兎が口を尖らす。
「茶化してないよ。何か悔しいけどさ。決まったらパーティーだね!」
及川が笑う。
「早く発表したい!黙ってるのは性に合わねぇ!」
あはは、と声を上げ、及川は木兎の肩を抱く。
「頼むよ、ぼっくん!『彼女』がらみはウチにとって結構な火種なんだから!」
「また、モメたのか?」
「もー。そのハナシ聞きたい?聞きたいよね。じゃ、飲みに行こ」
及川がニッコリと笑って木兎を誘った。
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