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転‐1
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菅原が勤務する病院は、午後5時で外来の受付は終了するが、6時を過ぎた現在も診察を終えた患者が会計を待っていたり、入院患者の面会時間の7時に間に合うように来院する人がいたりと、そこそこの人が、そこかしこに居る。
これから目に見えて人気がなくなっていく、その潮目のような時間帯に、赤葦と菅原は、外来病棟の喫茶コーナーにいた。
赤葦がチームメイトのスポーツ外傷のリハビリに付き添い、彼がマッサージやトレーニングを受ける間「お茶するべ」と菅原が声を掛けた。
「たまたま覗いてみたら赤葦が居て、たまげたべ」
なんて菅原さんは笑ってたけれど……
赤葦は、コーヒーを口に運びながら菅原を盗み見る。
そんな訳、ないよな。月島あたりから連絡が行ったんだろうな……
赤葦は、自身の立場や態度が色々な人に心配を掛けていることは承知している。
ましてや、菅原さんは及川さんの恋人だ。あの日、すぐに愚痴ってしまった及川さんから自分の状態は伝わっているよな……
ところが、赤葦の予想に反して、菅原は記事のことには一言も触れない。
「こないだ、日向が生徒の付き添いで来た時に、ちょうど影山も居てさー。2人揃うと高校の時と ちっとも変わらねーんだよなー」
などと、いずれも菅原の後輩で、中学校の体育教師をしている日向翔陽と、全日本のセッターである影山飛雄のハナシを面白おかしく聞かせる。
「月島はこの病院で働いてるし……日向や影山も やって来るなんて、菅原さんの人徳ですかね?」
赤葦が思ったことを口に乗せる。後輩に慕われているのだろう。
慕う気持ちは分かる。オレだって、菅原さんと居ると何だか気が安らぐから……
「人徳!赤葦、イイこと言うなー。ま、あいつら限定、てとこがビミョーだけどなー」
と、菅原は笑い飛ばす。
自分が、どうして人を集めるのか知らずにいる者特有の無防備さに、赤葦は羨望を覚える。
自分もこんな風に笑えたら……あの時、木兎さんを許せたのだろうか?
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