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転‐14
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食事をして、少し酒も飲んだ。
「カラオケでも行くか」と岩泉が言い、「はい」と短く答えた赤葦の肩を軽く押した先に、ラブホテルの入り口があった。
「……!」
息を呑んだ赤葦が岩泉を見れば、
「帰るなら今の内だぞ」
と、ニヤリと笑う。
据わったようにも見えるその瞳に圧倒されて、赤葦は岩泉の背を追う。
部屋は、思いの外シンプルで照明も落ち着いている。場違いのような大きな鏡がなければ、どこかのペンションと言っても通じるような。
しかし、部屋の主のように置いてあるベッドが、その目的と意味を必要以上に主張しているように思えて、赤葦は照れ隠しに、
「カラオケ、無いですよ」
と言う。
岩泉は、Yシャツの首元を弛めながら、
「あ?マジでカラオケやりたかったのか?」
と面白そうに笑う。
「シャワー、浴びてくる。……一緒が良けりゃ入って来い」
「まさか……!」
と、首を振る赤葦を見て、岩泉はバスルームに消える。
なんか、……岩泉さんのペースだ
赤葦はベッドに腰掛けて辺りを見回す。
たまに行きずりの男と寝る時もラブホテルを使うので、抵抗がある訳ではない。
ベッドにピンと張ったリネン独特の匂い。テレビ。小さな冷蔵庫。大きな鏡。
本当にオレ、岩泉さんと、ヤるんだろうか……?
このような場所に居るにも関わらず、実感がわかない。
食事の時だって、至って普通だったし……
そのくせ、シャワーに一緒に入るように誘って(?)きたりして。
真意が今一つ読めない、と赤葦は眉を寄せる。
「おう。先にシャワー使って悪かったな」
岩泉がバスローブを羽織った姿で、赤葦に声を掛ける。
「早いですね」
赤葦が戸惑いがちに言う。
「あ?取り敢えず、ちんこ洗っときゃ良いだろ」
岩泉がタオルで髪を拭きながら赤葦を見る。
「……っ」
赤葦は、反応に困り、逃げるようにバスルームに向かう。
ちんこ、って……ちんこ、って……!
シャワーの水量を強めにして頭から湯を浴びる。
あの、バスローブ。……軽く羽織っただけの、紐も適当に結んだだけの……あの合わせ目から見えた気がするのは……黒い影になってはいたけれど、一瞬、揺れたのは……
赤葦は改めて、岩泉を『そういう存在』として意識した。
取り敢えず、今晩。オレを1人にしないでくれるのなら。……オレは、それで救われる筈だ。
余計なことは考えまい、と赤葦は全身を湯に包み、
岩泉が触れるであろう身体を清める。
「お待たせしました……」
どんな顔をしたらいいか分からずに、赤葦は視線を足元に落としたままベッドに向かう。
答える声がなく、怪訝に思って顔を上げると、岩泉はベッドに横になり、ニュースを映しているテレビを見ているかのように赤葦に背を向けている。
「……あの?」
岩泉の肩越しに覗き込むと、目を瞑り軽くイビキをかいている。
「寝てる……?」
緊張が一気に解けて力が抜けた赤葦は、岩泉の肩に頭を押し付ける。
「ヤるつもりじゃなかったのかよ……!」
少しの安堵と肩透かしを喰らったような怒りとが、思わず口を吐く。
その気になっていたのが馬鹿みたいだ、と赤葦は岩泉の顔を睨む。
ついでに指で頬を突つく。
「うーん」
と、声を漏らして岩泉が仰向けになる。
バスローブの合わせ目がはだけて、太腿が露になる。
イタズラ心が沸いて、赤葦がバスローブを捲る。
下着を着けていない岩泉自身が現れる。
勃ってない……
何となく癪に障り、こわごわ触れてみるが、特に反応もない。軽くしごいてみると、いくらか硬くなる。
結構……太いな……
どんなヒトとヤってきたんだろう、と、岩泉の性遍歴を想像してみる。
せっかく、洗ってきたんだろ?
と、顔を寄せれば、赤葦も使ったボディソープの香りが鼻をかすめる。
訳もなく切なくなって、赤葦の手が動きを止める。
すると、尻の辺りに違和感を覚える。
バスローブの上から、岩泉の手がまさぐるように動いている。
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