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転‐16
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「あ……あっ……」
嗚咽のように赤葦が声を出す。
こんな、……オレだけを、……こんなの、って……
岩泉は手をティッシュで拭うと、自分がさんざん弄り倒した赤葦の乳首を指でさする。
「や、ん………っ」
赤葦は、快感の余韻の中、思わず艶めいた声が出る。
岩泉の手は、人差し指と中指で引っ掻くように摘まむように、惰性にも似た体で動いている。
一度、射精の済んだ赤葦の頭は妙に落ち着き、胸に与えられる快感を愉しみつつ、岩泉の様子を観察する。
真剣な目つきで赤葦を見つめ、無造作に赤葦の体に触れる。
バスローブは着ている意味を失くし、前がすっかり開いてしまっている。
……その股間に存在する物の猛りを認め、赤葦は内心安堵する。
オレで、勃つんだ……
自分ばかり嫌だ、と、赤葦が身を起こして岩泉の猛りを確かめるべく手を伸ばす。
「今更なんだが」
赤葦が伸ばした手を受け入れながら岩泉が言う。
「?」
眼で問い返した赤葦に、
「オレはオレの都合の為にお前を、……赤葦くんを抱こうとしている。……分かってるだろうけど」
と岩泉が続ける。
分かってる、と赤葦は心の中で答える。
わざわざ、そんなこと言わなくたって良いのに、と口を『へ』の字に曲げる。
「だけど、オレは、お前の今日の孤独を引き受けてやりたい、と思った。……ちょっと違うか……オレ達は慰め合えるんじゃないか、と思った。
その為に、お前の孤独も引き受けてやれると思っている。……だから、」
岩泉は、一度言葉を切って赤葦を強く見る。
「だから、今日、お前がオレのことを……オレじゃない名前で呼んだとしても、オレは咎めたりしない」
「……それ、って、………どういう……?」
赤葦は躊躇うように尋ねる。岩泉自身を弄っていた手が止まる。
「お前の、……赤葦くんの好きなヤツの名前で呼んでくれて、かまわない、ってことだ」
「岩泉さん……!」
「そいつの面影をオレに被せれば、いい。そして、お前の今日の屈託を晴らせばいい。晴らせなくても、薄めてやる。何度でもイかせてやるし鳴かせてやる。オレを使って、お前自身を救えばいい。……オレも、そうさせて貰うから」
何て自分勝手なことを、と赤葦は内心ムッとする。
目の前の相手を使って、本当にセックスしたい相手を想え、というのか。
そんなの、まるで互いの体を使った自慰行為と同じじゃないか。そんなことを、わざわざ告げる必要があるのか。何も知らさず、その情熱でオレを融かしてくれれば良いものを……!
そこまで憤ってから、違う、と、赤葦は気づく。
きっとオレは分かる。
オレを抱いてるんじゃない、ってことが。
オレを通して誰かを……菅原さんを愛おしんでいるのだ、ということが。
承知の上でオレは連絡をした。
オレも同じだから。
それで良かったのに。この人は……言わずに傷つけるのではなく、宣言して、割り切って、それでも尚、オレを救おうとしてくれている。
真っ直ぐだな。………不器用過ぎる。
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