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ハロー、生きてますか
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王は不機嫌であった。
王は本日も不機嫌であった。
原因は皆が存じていた。
王のご機嫌をとるものは誰もいない。
ほとほと諦めているのだった。
王は悩んでいた。
王は顔には出さないが悩んでいた。
原因は不明である。
王の悩みのタネを解決できるものは誰もいない。
否、唯一いるとすればそれは……。
「パートナーが見つからないってだけでそんな不機嫌オーラムンムンにしないでよ、王様」
一人の男が王に近づく。
随分と馴れ馴れしい態度だが、これは仮にとってもはや当たり前のことだった。
そして、訂正というか語弊を招かねないためここで説明をすれば王は正しい王ではない。
王的存在であるが故の愛称のようなものである。
学園という小さな環境の中で、皆に認められ、皆に敬われ、頂点に君臨するが故の結果がそれなのだ。
「会長、仕事が成り立たないのでしたらどうぞご帰寮いただいて結構ですよ。生徒会室(ここ)に無能は要りません」
「わぁ、スーちゃん容赦ない〜」
「当然ですよ。朝早くからいたと思えば昨日から全く仕事が進んでいないのです。無駄にため息を吐いて、気分が悪い」
敬愛の眼差しを向けられてはいるが、彼らの所属する生徒会内部ではそうでもないらしい。
容赦なく叩きつけられる罵詈雑言。
しかし、当人は全く反応を見せなかった。
それに腹を立たせたスーちゃんこと、スーリアムは自席から立ち上がると普段歩く姿とはかけ離れた乱暴な足取りで王の席へ向かえばその王の胸元を片手で掴みあげ、ガラリと開いた窓の外へと放り投げたのだ。
「スーちゃんエグい……」
「これしきのこと、なんともないですよ」
なんともなくはない。
一般的な男子学生の平均を易々と上回る体躯の王を片腕だけで持ち上げ、窓の外に放ったのだ。
馴れ馴れしい男の心配をよそにスーリアムは窓をピシャリと閉め、さらには鍵まできっちりとかけた。
完全なる拒絶。
「さぁ、邪魔者はいなくなりました。滞っていた仕事を続けましょうか」
心配どころかすっきりとした表情で自席へ戻った。
「スーちゃんだけは敵に回したくないよね」
恐ろしい、と体を震わせ次の矛先にならないようにと大人しく席に着いた。
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