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餌のやりかた(1)
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友人がいなくなっても、次の日はやってくる。
そして次の日がやってきたら、会社に行かなくちゃいけない。
俺は機械メーカーの研究開発部門で勤務している。仕事はなかなか忙しく、家に帰る時間は遅い。
…まこちゃん、とりあえずそのまま部屋に置いといたけど、大丈夫かな。お腹空かないように餌をたくさん入れといたんだけど。
会社に着き、デスクに座ってひと息つくと、後ろの席の同僚が話しかけてきた。
「おい津島、お前ついに愛想つかされたらしいじゃん」
「は…何の話?」
「大平だよ。家出てったんだろ?」
「え、なんでお前がそれ知ってるの?」
俺の驚く顔を見て満足したのか、同僚で同期の沢口はにやっと笑った。
「いやさ、俺たまたま出くわしちゃったのよ。大平が大荷物抱えてお前の部屋から出てくるとこ」
沢口は俺と誠の住んでいたアパートの、隣の部屋に住んでいる。だからまあ、そういうことが起きてもおかしくないわけだけど。
「誠、何か言ってた?どこに行くとか。…もしかして、お前の部屋に泊まってる?」
「お前何も知らんのな。行き先は知らんけど、大平、会社もやめたって言ってたぞ。どっか遠いとこに行くつもりなんじゃないの?お前らどんだけひどいけんかしたんだよー」
「別に、けんかしたわけじゃ…」
「はいはい。どうせ津島が怒らせたんでしょ。お前ら長かったのに、ついに破局か〜」
「うるせえな、破局って何だよ」
「えー?付き合ってたんでしょ?同棲してたんでしょー?」
「してない」
俺と誠の間には、何もない。
ただの友達。同居人。
「仕方ないな〜。じゃあ大平がいなくなった代わりに、俺がお前の面倒みてやるよ。津島、1人じゃ暮らしていけないでしょ」
「暮らせるわ。家事全般可能だわ」
「違う違う。1人じゃ寂しくて生きていけないでしょって言ってるの。俺の部屋に来いよ。俺が毎晩抱いてやるからさ」
「気持ち悪いこと言うな。…それに誠のやつ、ペット置いてったから、部屋は空けられない」
「ペット?何飼ってたっけ?」
「…なまず」
「なまずぅ?!あっはっは、何それ」
笑い転げる沢口にむっとする。
「おい津島、そろそろ実験やるぞ」
班長に声をかけられ、俺は実験室へ向かった。
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