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はじまり
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城島太史(きじまたいし)は、昔から性根が悪いことで有名だった。国のトップ3に入る大企業の御曹司にしては、その立場をあまり快く思ってはおらず、反発ばかりを繰り返す学生生活を送ってきた。
性別はと言えばこれまた恵まれたα(アルファ)性で、何でもそつなくこなす優等生であり、教師からの評価も高かった。
そんな城島が、両親が主催するパーティーにすんなりと顔を出せば、驚く者は多い。今まで頑なに断って無理矢理出席させられていた彼が、高級な素材で作られたタキシードを颯爽と着こなし、来賓者と酒を酌み交わす。
そんな光景を想像出来たものは、恐らく誰もいなかっただろう。
「太史さん、変わられたのね」
「とても美しく立派になられて」
「・・・ありがとうございます。光栄です」
内心、城島には諦めが芽生えていた。
22歳になり、性の昂りもそれなりに抑えられるようになった。そして次第に聞こえるのは、跡継ぎを待つ声。何度か見合いをしてみたけれど、同じαの高飛車な女達ばかりだった。
“αは性に合わない”と、父親に対して啖呵を切った事もある。その度に衝突してきたのだが、最近になってまた見合いを勧めてきた相手が、希少なΩ(オメガ)性だと知って、少しの好奇心があったのは父親には秘密にしている。
Ωなんて、所詮は虐げられる存在だと思ってはいるけれど、顔を見るだけなら構わないと、軽い気持ちでやってきた。
今回、城島が珍しく華やかなパーティーに進んで出席したのは、そのΩの見合い相手に会うようにと言われていたからだ。
「これで決まらなければ、勝手にしろ」
父親の呆れた声を脳裏に浮かべて、ぼうっと宙を眺める。
そして一瞬、背中に何かがぶつかった。
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